3日目の朝。

この日は台南に別れを告げ、高雄へと移動する日である。


*前回の台湾滞在記はこちらからどうぞ!


今回の旅ではさらに台南への愛が深まったのでとても寂しい。

とは言え、高雄も大好きな街だ。

寂しさとわくわくを胸に、朝ごはんを食べるため6時過ぎに台南の街へと飛び出した。


ホテルがある成功路を西へ向かい、ひとつ目の角で公園路に入る。

そのまま北上し、公園南路まで来たら目的の店はすぐそこである。


↑台南公園。

「公園路」という通り名は当然この公園から来ている。

朝の台南の街にはまだ車もたくさん走っておらず、清々しい空気を漂わせる。


目的の店へと向かう途中、公園南路でも朝市をやっていた。

色とりどりのフルーツが「朝の果物は金だよ」と語りかけて…来ているような気がする。


↑オレンジ・黄色・緑…。

果物って見ているだけで元気になれそうな色ばかり。

↑まだ眠いワン。


普段朝には何かしら果物を食べる事にしているので、今昨夜食べたようなフルーツの盛り合わせが食べられたら言う事無いんだけどなぁ…と独りごちるが、残念ながら台南の果物店(朝市の果物店ではなく、その場で食べられる店)の1日の始まりはこぞって遅め。夜型なのだ。


しかし、今朝は果物が無くても思わず元気になれてしまう朝ごはんが待っている。

道南館の奥さまが教えてくださった、とっておきの朝ごはんを「西羅殿牛肉湯」で食べるのである!


↑「へ」みたいな字を何て読むのか(そして意味も)わからないが、おそらくは「台南人の朝ごはん」的な事が書かれているのだろう。


ここは前日道南館で教えてもらった店の中でも、とりわけ奥さまの紹介に美食熱がこもっていた(ように感じられた)店だった。


そして、私は牛肉湯が大好物。

台湾で一番好きな食べ物は牛肉湯だと言っても良い。

そんな牛肉湯は台南以外では食べられない朝ごはんなのである。

↑の店の看板にも「新鮮」と書かれているように、台南では捌きたての新鮮な牛肉が手に入るため、牛肉湯のような食べ方が出来るのだ(スライスした生の牛肉に熱々のスープを注いで食べる)。


すでに活気あふれる店内に、「早安(おはよう)!」と迎え入れられる。

親切な店員さんが席まで案内してくれ、注文表を渡してくれた。


↑テーブル番号がトランプで併記(?)されていて可愛い!


奥さまがこの西羅殿牛肉湯で強力推薦してくれたメニューは3つ。


・牛肉湯

・肉燥飯(何と牛肉湯を頼むとサービスで白飯or肉燥飯が付いてくる!)

・牛レバーのごま油炒め(麻油炒・牛肝)


*全て大・中・小サイズがあるのが嬉しい。


という事で、その3点(全て小サイズ)とテーブル番号である「3」を書き入れ、合計金額260元と共に渡した(請先付款=先払い)。


待つ事しばしで運ばれて来る豪華な牛肉湯定食!

う〜、これはたまらない!


↑待っている間に店員さんが小鉢に辛いソースを入れてくれた。

↑赤いソースは「とても辛い」。

でも、適度に加えてみるととても美味しい!

ちなみにこの西羅殿牛肉湯はミシュランのビブグルマンに選定された店である(道南館の奥さま談)。

私的にも味・店員さんの親切度が最高得点!

文句無しにお勧めの店となった。早起きして行ってみてね。


牛肉は食べる国によってそれぞれ肉質や食べ方が異なる。

アメリカだったら赤身の分厚くてジューシーなステーキが気分だし、日本では柔らかく上質な和牛を求める海外からの旅行者が多い。

台湾だったら…牛肉麺のファンも多いとは思うけど、私はやはりこの牛肉湯だ。


この西羅殿牛肉湯の澄んだスープは朝の寝ぼけた身体に優しく沁み、そのスープから肉を引き出して生姜が添えられたたれにつけて食べると真的好吃!


そして、初挑戦の牛レバーのごま油炒めもひと口。

「これ、本当に牛レバー?」と思うほど、火を通した牛レバーが柔らかい。

おまけに牛レバーの臭みや癖も一切感じられない(昔は苦手だった)。

一緒に炒められている青ねぎも非常に良いアクセントになっている。


これまた美味しい!思わず目を丸くしてしまう。


そして肉燥飯。

実は私は「牛肉湯には白飯派」なので(スープにご飯を投入して食べたい)「牛肉湯に肉燥飯かぁ…」と思っていたのだが、この肉燥飯がめちゃくちゃ美味い!

これは今まで食べた肉燥飯(魯肉飯も含む)の中ではトップレベルの美味しさだ。

ぱっと見「あんまり具が掛かってないんじゃないの?」って感じに見えるが、この量がベストマッチなのである(後半、やはり…とスープに投入した)。


いやはや、超大満足。

スペシャルな朝ごはんの時間を過ごす事が出来た。

またまた道南館の奥さまに感謝!


来た時と同じように親切な店員さんたちに見送られ、再び街へ。

次に向かうのは台湾さんぽの達人・奥谷道草さんに勧めて頂いた鴨母寮市場である。

台北ではあまり朝市には行かないが(朝市より朝ごはんについ夢中になっちゃって…)、せっかくの台南、いろんな朝を見ておきたかった。


鴨母寮市場に向かう途中でPXマート(全聯福利中心)を発見!

まだ開店していないようだが、Googleマップでチェックすると後10分以内には開店するようだった。


…というわけで待つ事にしたのだが…。

そこで同じように開店を待っていたおじさんがひっきり無しに話しかけて来るのである。


いや、話しかけられる事が迷惑なのではないが、何を仰られているのかわからなかった(おそらく台湾語?)ので、訳がわかってないのに頷き続けるのもさすがに失礼だろう、と思ったのだ。

「對不起。我是日本人」という伝家の宝刀(?)を使ってみたが、おじさんは「おぉ、日本!」と言っただけで「いいよいいよ」と言い、さらに何かを語り続けてくるのだった…。


しかし、おかしいな。

もう7時なのに開かへんやんか(涙目)。


という事で周りを見回してみると小さな字で「7時30分開店」的な事が書いてあるのを見つけ、「こりゃダメだわ」と思っておじさんに「私、行きますね」と暇を告げた。


そうこうしているうちに鴨母寮市場に到着。

まずは場外と言うのだろうか?路上に出ている露店を見学させて頂く。


花や…



野菜や…



果物や…


*「保証甜(甘さ保証付き!…って感じかな?)」だって!

食べたい…。



そして、自助餐(食べたいおかずを指差して盛り付けてもらうスタイルのお店)。

ここはとても賑わっていた。



お肉もいろいろと(鍋用の薄切り肉や焼き肉用のスライスも)!



そんなに広いスペースではないが、どこも賑わっていて活気がある。

しかし、単なる旅行者(しかも海外からの)の私には買えるものが何ひとつない(…あれ?デジャブ?)。


*デジャブではない。

前日にも同じ事を言っている私だった…


しかし、ここでは唯一私にも買えるものがあった。

それは大好きな「パン」である!


露店の1つにパン屋さんがあり、すぐに食べなくてはならない調理パン(菓子パン的なものやウィンナーが入ってるようなやつね)ではなく、ハードめなパンにいろんな具材(ドライフルーツやナッツなど)が混ぜ込まれているもの各種が売られている。


これなら買える!自宅にも持ち帰れる!


興味深く見ていると、店員のお姉さんが試食を勧めてくれた。

1つ目は柑橘系のドライピールやレーズンなどが混ぜ込まれたもの。

噛み締めた瞬間、ふわっと柑橘系の爽やかな風味がしていきなり気に入ってしまう。

他にも次から次へと試食させてくれたが、やはりファーストインプレッションには勝てず、1つ目を購入する事にした。


↑自宅に持ち帰り、スライスして冷凍。

端っこだけトーストしてつまみ食い。やっぱり美味しい!

しかもあらゆるものが無添加で、卵やバターも使われておらず、塩や砂糖も少量だという身体に優しいパンだった。

もっと買ってくれば良かったなぁ。


パンを手に、次は市場本体(?)に突入。

熱気や湿気がこもっていて、働く人たちは大変だなぁ、と思う環境だった。

生物を扱っているので当然それらの匂いもする。



子供の頃にあった近くの市場はこんな感じの場所だった。

昭和50年代生まれの私の子供時代はまだそんな風だったが、いつの間にか近くに大きなショッピングセンターが出来、買い物はその中にある大型スーパーのみでするようになってしまったのだった。


台湾、とりわけ台南には私の子供時代の風景がまだたくさん残っている。

街は変わり続けて行くものだから、そんな風景が見られなくなっても余所者である私には口を挟む権利はない。


しかし、また次来た時にも出会えたなら…とてもありがたい事である。


そろそろホテルに戻ろうか、と成功路を歩き始めてふと気付く。


「そう言えば、モスがあったな…」


という事で、2度目の朝ごはんにモスバーガーにニヤつきながら寄り道。


注文したものは、台湾モスオリジナルメニューのサンドイッチである。


↑お供にはアイスミルクティー(小杯)。


これは「火腿蛋三明治」と表記されているようにハム卵サンドなのだが、パンに塗ってあるのがピーナッツバターなのだ。

いかにも台湾らしい甘じょっぱいサンドイッチが好吃である。


これを食べずに台湾から出てはいけない…。←大げさ?


*ちなみにこのサンドイッチに関しては前述させて頂いた、台湾さんぽの達人・奥谷道草さんのご本で知った。

今回の台南旅も師匠にお世話になりっぱなしだった。

本当にありがとうございました!



ではでは、そろそろ部屋に戻ってパッキング(先ほど買ったパンも入れねば!)をしないといけない。

それを済ませたらチェックアウト…。


とうとう、台南とお別れの時がやって来たのである。