前回の台湾滞在記はこちらからどうぞ。

台中バスターミナルを出発し、滞在する予定のホテルに向かった。
飛行機やバスで少し寝たとはいえ、身体は疲れている。
しかし、ホテルにはまだまだチェックイン出来ない。
何せ朝の9時前なのだ。
とりあえず大きな荷物だけ預かってもらおう。
台中はまだ3回目の私だが、台中駅からもわりと近いこのホテルの場所は大体把握出来ていた(方向音痴なので珍しい)。

台中駅に近いエリアはいかにも昔ながらの台湾らしい商店が軒を連ねているが、台北や台南とは街の雰囲気がどこか違う。
人も多過ぎない所が好きだ。
しかし、前に来た時と比べると周辺に小洒落た感じのホテルが増えているようなので、旅行者も増えつつあるのだろう。
新市街近くの大きくて綺麗なホテルも素晴らしいだろうが、こんな懐かしい街並みの中にぽつんとあるそんなに大きくないホテルが私は好きだ(前回の台中旅行で滞在したレッドドットホテルもすごく良かった)。
何だか落ち着くのである。

私のような日本人観光客にとって、このエリアのランドマーク的な存在はやっぱり宮原眼科(姉妹店の台中第四信用合作社も)であるように思う。
店内は日本人も含む観光客だらけであるが、この台中駅周辺の旧市街のレトロな雰囲気によく似合う宮原眼科は、台中にしかない台中ならではの店だと思う。
そんな宮原眼科の建築設計チームがリノベーションを手掛けたのが、今回滞在する1969ブルースカイホテルだった。
*滞在ホテルについては後日別記事にて詳しくご紹介します。

やはりまだチェックインは出来なかったが(当たり前か…)、可愛らしい制服姿のホテルのスタッフ嬢に荷物を預け、再び出発。

↑1969ブルースカイホテル名物(?)。
壁面にスーツケースを重ねたエントランス。

とにかくまずは朝ごはんを食べようと、近くにある第二市場へ向かった。
台湾のガイドブックの台中のページには必ず掲載されている第二市場だが、前回の台中旅行では来られなかったため、初めての訪問だった。


一瞬「どこから入るんだろう?」と思ったが、店と店の間に空間があり、市場はそこから奥へと広がっていた。
狭めの通路には小吃店、水果(フルーツ)店、肉や魚を扱う店など様々な店が見え隠れしていたが、コーヒースタンドがいくつかあるのが何となく意外だった。
しかし、そういえば日本でも市場の中や近くには喫茶店のようなお店が多い気がする。
夫に「とにかく一回りしてから入る店を決めよう」と言って市場内を闇雲にぐるぐると回る。

↑何という魚だろう?
再び通りかかった時にはいなかった…。

奥の方には廟もあったので、台湾に来られたことへの感謝と旅の無事を願ってお祈りした。


いろいろと心惹かれる店が多かったが、美味しそうなものがあり、賑わっていて店も綺麗な「嵐肉燥専賣店」に入った。

↑お店の方も優しく親切で入りやすい雰囲気の嵐肉燥専賣店。
夫はこういう綺麗な店に入りたがる。
最初に通りがかった時「ここがいいって言うだろうな」と思った…。
↑メニューはこんな感じ。

「どうぞこちらへ!」と店員さんに促されたので、早速席に陣取った。
さて、何を注文しようか…。
「肉燥専賣店」と言うぐらいだから、肉燥が看板商品なんだろう。
疲れてるので肉燥飯よりはスープがいいな。
夫は好きな乾意麺を食べたいと言っているし、私もそれを一口もらうとして、この鷄捲湯(つくねフライスープ)を注文する事にしよう。
後は燙青菜(茹で青菜。この店ではさつまいもの葉)で決まりだ。
肉燥は肉燥飯だけでなく、意麺や青菜にもかけてあるらしい。

それら三品を注文し、会計をしてもらう。
その時、壁に貼られていた張り紙の「洛神花茶」も気になったので注文しようとしたが、残念ながらこの日は品切れらしく、店員さんはすまなそうに「ない」と告げて来た。

注文した品はすぐに運ばれて来た。

↑左から乾意麺、鷄捲湯、
燙青菜。
私は炒青菜より燙青菜派なのだ。

最近なぜか大根入りのスープが好きなので、台湾でも見かけるとつい注文してしまう。
スープには揚げたつくねが入っていて、柔らかくなった衣にはスープが染み込み、さらにスープにもコクがプラスされていて美味しい。大根も柔らかだ。
乾意麺も燙青菜も真的好吃である。
この第二市場には観光客にも有名な店が二軒ほどあるが、とりあえず最初は自分たちの直感で入る店を決めてみたかった。


空腹も満たされた事だし、どこかでお茶でも…と思った瞬間に思い出した。
台湾街歩きの達人である奥谷道草さんに教えて頂いたお店がこの近くにあったはずだ。
早速Googleマップにあらかじめ保存しておいた、その店の場所と情報を見てみると、まさにこの第二市場のすぐ近くにあった。
ただし、開店まではあと30分ある。
こういう場合、「後で来よう」と言ってもなかなか来られない事が多いことは経験でわかっている。
しばし市場周辺をうろついたり、気になっていたドリンクスタンド「KEBUKE 可不可熟成紅茶」(後から調べて知ったが、台中発祥の店だった)でジンジャーミルクティー(今からお茶をするのに!)を飲んだりして時間を潰した。

↑台北でもちらほら見かけるKEBUKE。
ジンジャーミルクティーは寒い日に飲みたい感じのお茶だった(この日は日本の初夏のようなお天気)。

いよいよ10時になり、夫が「もう入っていいみたい」と言うのでふと店内を見ると、店員さんがにっこりして迎えてくれた。
店内でお茶を飲みたいと言うと、注文表とペンを渡してくれ、「どこでもお好きな席へどうぞ」と案内してくれたので、店内中ほどの席に腰を下ろした。

↑居心地の良い店内の漢潮東方智慧x茶。

この「漢潮東方智慧x茶」では、普通の台湾の高山烏龍茶や日月潭紅茶なんかも頂けるのだが、やはりせっかく来たからには漢方を用いたお茶を飲みたい。
夫は高麗人参が入ってるらしいお茶を、私はいつも高麗人参を頼みがちなので今回は天王茶と名付けられたお茶を注文してみた。
奥谷さん情報ではカラフルなタピオカをお茶に入れる事も出来るようだったので、タピオカもプラスしてもらった。

↑私の天王茶&タピオカ。奥は夫の元氣蔘茶。
タピオカにはスプーンが添えられていたので、そのまま掬って食べた。お茶に入れて飲んでも良いようだ。

「漢方」と聞くと「めっちゃ苦そう」と思う方もいらっしゃるだろうが、こういうカフェで出される漢方茶は濃く煮出した本格的な漢方茶では当然ない(万人向けであるはずだし)ので、ご安心頂きたい。
言うなればハーブティーみたいな感じだろうか。
むしろ普通のお茶より優しい味だし、身体や美容に良いものが入っているのだから、積極的に飲みたくなってしまう。

そして私はここで「あるもの」に一目惚れしてしまう。
タピオカに添えられていたスプーンである。
掬う部分が花のモチーフになっていてめちゃくちゃ可愛いのだ。
夫にも「可愛くない?これ可愛くない?」と言いまくり、案の定「うん、まぁ…」というリアクションをされる…。

↑これがそのスプーン。可愛くない!?

この店の茶器も使いやすそうなデザインですごく好みだったが、こちらはラッキーな事に店内で販売されていた。
「高かったらどうしよう?」と思ったが、またまた嬉しい事に予想に反してお手頃な値段だった。

ここでようやくひと息ついたので、台中に来ている事、そして漢潮にいる事を奥谷さんにメッセンジャーで報告する。
ついでに「スプーンが可愛いです」という事まで書いてしまう。
すると、何とこのスプーンが手に入るかどうかをオーナーの方に訊いてくださるというお返事が…!
本当にお忙しいのに申し訳ないと思ったのだが、お言葉に甘える事にした。
そしてこの後も、達人には滞在中ずっとお世話になりっぱなしの不肖の弟子の私なのであった…。

漢潮を出た私たちは、のんびりとして暖かい台中の街(まさに奥谷さん曰くヌクユルな)を再び歩き始める。
今日これから、素敵なものにたくさん出会える事を確信しながら。

↑ちょっと気になる看板。おじさんが可愛い。