手術が終わったのは それから一時間ほどした頃でした。
呼ばれて手術室前に行くと そこには既に話が出来るくらい覚醒した息子(もちろん全身麻酔)と先生の姿があり 先生の手には大きめのお茶筒みたいな透明な円柱の入れ物が。
「かなりの量だったので 時間がかかってしまいました。」
と先生が見せてくれた筒の中には 泥団子を砕いたようなモノが筒の三分の一ほど入っていて
ずっしり感がハンパない。
「ひぇ~~~こんなに膀胱の中に入っていたなんて!これじゃ不具合が出るのも仕方ないわ!」と思わず声を上げてしまい 先生もうなずきながら笑っちゃってましたよ。
「じゃあ これから膀胱の洗浄をして 退院は明後日・・・」と言いかけた先生に息子が
「明日 退院できませんか?」と食いつきました。
「う~ん 明日一日様子を見てね・・・。」
「いや 大丈夫ですから明日!」
「そうかぁ じゃ、明日の2時頃なら・・・。お母さん、いいですか?」
心の中で「え~~~~!?」と叫びましたが 息子がどれほど入院を嫌がってたか知ってたし 何より息子の視線がぐさぐさ刺さりまくり ダメとも言えず了承しました。
そして ポーチを息子に返し 「明日ね!」とは病室に運ばれる息子を見送りました。
ハイ!お気づきですね?
そう 私は金庫のキーを返し忘れたのです。
これは大きなミスでした。
息子と私の用心深さが仇になってしまいました。
いえ 全面的に私が悪いんですけどね・・・。
つづく