翌朝 母を家に残し 私と臨終に立ち会ってくれた叔父(父の妹の夫)が父を迎えに行くと いつものように父はベッドに寝ていました。
「お父さん おはよう! 迎えに来たよ。」
顔に白い布をかけられているわけでもなく 本当に いつものように寝かせてもらっていました。
ただ 口がパカーっと開いてしまっていて・・・これはどうにかならないものだろうか・・・などと 思っていたところに 看護師長さんが 何と 花束を持って挨拶に来てくださったのです。
こちらの方がホスピスの皆さんに感謝してもしきれないほど良くしていただいたのに 反対に大きな花束をいただいてしまいました。
まさか 花束をいただけるとは・・・それに こんな朝 早い時間なのに ちゃんと花束を用意してくださるとは 本当に驚き 胸がいっぱいで言葉に詰まってしまいました。
私に花束を渡してくだると 師長さんは 父のそばに行き 開いていた父の口を優しく閉じ 手を離すと 又 開いてしまう口を くるくると巻いたタオルを顎に挟んで 開かないようにしてくださいました。
「大丈夫ですよ。 こうやっておくと開かなくなりますからね。」
私が気にしていたのをご存知だったのでしょうか?
たぶん 皆さん 気にするんでしょうね。
「もう少し 長く いらしていて欲しかったですね・・・。」
そして こちらに振り向きながら言った師長さんのこの言葉がとても印象的でした。