(お父さんとお別れも十分させてもらったし 死亡確認もしてもらったし 体もきれいにしてもらったし さて 次は・・・そうそう 霊安室。)
(病院の霊安室が ホスピスを出て すぐのところにあるから きっと あそこに行くんだわ。)
「霊安室に行くんですね?」
私は看護師さんの答えを待たずに 自分たちの荷物をセッセとかき集め 手に持てるだけ持ち 準備オッケー!という感じで 看護師さんの方を振り返りましたが 看護師さんは ちょっと困ったという顔をしていました。
「あ、あの いいんですよ。 このまま このお部屋で・・・。」
「へ?」
亡くなったら霊安室に行くものだと頭から思い込んでいた私は両手いっぱいに荷物を抱えたまま 数秒 固まりました。
今 思い出すと まるでコントの一場面ですねぇ。
でも 病院の建物内ではあるけれど ホスピスを出て 数メートルのところに霊安室があるのを知っていた私は てっきり そこに行くものだと思っていたのですが あれは病院のもので どうやら ホスピスには 『霊安室』 というものは無いようです。
実家は 母が圧迫骨折で動けなくなった時に 母のベッドを1階に持って来て 母の生活の場が すべて1階になったため 父を寝かせるには 1階の荷物の大移動をしなければなりませんでした。
そのため すぐには父を連れて帰れなかったので 朝まで 父を預かってもらうことにしたのですが その際も そのお部屋で そのまま寝かせておいてもらえることになりました。