意識がなかった間、息子はいろいろな夢を見ていたそうだ。
魔女が出てきたり、自分が空を飛んだり、冒険活劇なんてのもあったらしい。
夢というのは見ている時、本人が「これは夢だ。」と自覚していることはほとんどないけれど、息子のように意識がない場合、意識が戻っても、それが本当に夢だったのか現実だったのかわからないものも沢山あったらしい。
その一つが小さい頃、住んでいた家を上空から見ている、というものだったリ、また、とある家におじいさんと二人で居て、とても居心地の良い家だったのだけれど、ある時、そのおじいさんに
「コタロウ、お前、そろそろ、そのバイクに乗って帰れ。」
と言われ、息子はバイクを運転して帰ってきたらしい。
後日、息子が話したそのおじいさんの風貌が夫が幼稚園の頃、亡くなった夫の祖父、つまり、息子の曽祖父とそっくり
亡くなった夫の祖父もバイクに乗っていたらしい。
・・・・・そのおじいさんが息子を生還させてくれたんだろうか?
もし、おじいさんが帰れって言ってくれなかったら、息子はどうなっていたんだろう
この手の話は死線をさまよった人の話としてよく聞くけど、本当にそういうことってあるんだろうか
息子の場合、医師から「意識レベルはそんなに下がってないので、どんどん話しかけてください。」と言われていた。
「意識レベルが下がってない。」というのはどういうことなのか私には理解出来なかったけれど、意識が戻るきっかけになるということかもしれないと思って、毎日、毎日、ピクリとも動かない息子に向かって一生懸命、話をしていた。
息子は自分でもいつから意識があったのかわからないけれど、私たちが息子に反応があると気づく以前に既に意識はあったらしく・・・
「お母さん、毎回、同じ話するんだもん。また、その話かよっ!ってツッコミ入れてたんだよ。」
オイッ