前回の記事で医師から「覚悟をしておいてください。」と言われた時、「息子さんは劇症型のギランバレー症候群です。」とも言われたことを思い出したので付け加えておきます。
劇症とは「病気の進行が急激で予後不良である症状」
予後不良とは「治療後の経過あるいはその見通しが良くないこと」
つまり・・・とっても良くない状態なのね。
どうして、こんなことに!!!
どうして息子がこんなことになったの?
この子が何か悪いことした?
それとも私が何か悪いことしたの?
何かの罰を受けてるの?
どんなに考えてもここまで罰を受けるようなことをした覚えがない・・・。
ベッドの息子は相変わらずたくさんの管を付けて、呼吸器やらモニターやら血漿交換の機械に囲まれて横たわっている。
回復のきっかけになるかもしれないから、どんどん話しかけてあげてください、と言われてたので、一生懸命、話しかけるけれど、毎日、何時間もの間、話すことなんかなくて、「今日は良いお天気だよ。」とか「寒いよ。」とか。
私や夫が居ない時はラジオを大音量でかけている。
そういえば、このICUに初めて入った日、お隣のベッドのおじいさんの枕元で演歌がガンガンかかってて、何て迷惑な!と思ったけど、あれも意識を回復させるための治療の一環だったのね。
ICUにはたくさんの看護師さんがいて、皆さん、良くしてくださったけれど、中でも男性看護師のⅠ君は息子と同い年だということで、やはり思うところがあるらしく、特に私たちに気を使ってくださった。
もちろん、息子と同い年だけあって世間慣れしてなくて、何と言うか・・・そうだなぁ、「不器用な優しさ」という感じ(笑)。
でも、本当にお世話になりました。
生きているのか死んでるのかわからなくても、ちゃんと爪は伸びてきて、息子の爪を切ろうとした私にⅠ君は「お湯で爪を柔らかくしてから切るといいですよ。」と洗面器にお湯を入れて運んで来てくれたりした。
当時、世間では血液製剤が原因によるC型肝炎の訴訟が話題になっていて、連日、ニュースで流れていて、しかも、90年代に投与されたガンマグロブリンからもC型肝炎のウイルスが検出されたという記事も読んでしまい、私はにわかに不安にかられた。
それでなくても、元の体には戻れないんじゃないかと思うほど、いろいろな薬を投与されて、それがよりにもよって話題の血液製剤だなんて・・・。
もちろん、90年代の血液製剤から検出されたのだから、今はちゃんと処理されてるとは思ったけれど、それでも私は医師に大丈夫なんでしょうか?とたずねてみた。
「今は大丈夫だと思っていても将来、未知のウイルスが検出されるかも知れません。でも、そのリスクを背負っても、今は目の前の命を救うことの方が重要ですから。」
目の前の命を救う・・・・そうか、この薬を使わなきゃ、息子は命がなくなるのか。
それじゃ、しょうがないな。
後でどんなリスクを背負っても、今は、やっぱり生きてて欲しい。
でも、一週間たっても息子は目を開けなかった。