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島原・天草旅行記の続きを書こうと思ったのですが、
先日とても素敵なことがあったのでそのことについて
書いておくことにしました。
神戸市垂水区にあるカトリック垂水教会の聖堂において
12月6日(日)にミサが執り行われ、その後に
「高山右近・細川ガラシャと共に捧げる祈りの歌」と題して
献歌が行われました。
カトリック宮津教会前の広場に建つ細川ガラシャ像の
建立資金を寄付してくださったM夫人が垂水教会で
活動しておられ、今回ぜひにと誘ってくださったので
出席させていただきました。
歌を奉納されるのは、合唱・カトリック垂水教会聖歌隊の
みなさん、指揮・濱嵜繁一氏、オルガン・宍戸祐子氏。
そしてゲストとしてソプラノ・豊田喜代美氏、
カウンターテノール・増田勇人氏です。
プログラムは
聖歌隊
♪ W.A.モーツァルト作曲 アヴェ・ヴェルム・コルプス
♪ チェ・トクシン作曲 詩篇23編(日本語訳) 他
豊田喜代美 増田勇人
♪ V.ヴィヴァロフ作曲 カッチーニのアヴェマリア
♪ G.H.シュテルツェル作曲 BWV588
あなたがそばにいるなら (Bist du bei mir)
♪ B.シュタウト作曲 ウィーン・イエズス会音楽劇
『勇敢な婦人(細川ガラシャ)/Mulierfortis/
1698年ウィーン初演』より
ガラシャのアリア「不変の信仰・勇敢な婦人を探すのか」
合唱「ほめたたえよ」
♪ G.B.ペルゴレージ作曲 悲しみの聖母
(スターバト・マーテル/Stabat Mater)より
全員賛美
♪ 「ガリラヤの風かおる丘で」
指揮とオルガン奏者の方は音楽学校を卒業された音楽家で、
聖歌隊の方々とともに心が温まる素晴らしい演奏を
披露されました。
豊田喜代美先生は著名なソプラノ歌手で、沖縄県立芸術
大学で教授職を勤めておられ、数百年埋もれていたオペラ
「勇敢な婦人 細川ガラシャ」を現代に復活させた方です。
細川ガラシャの死はイエズス会によって、その死後すぐに
ヨーロッパに知らされました。
ガラシャの最期はハプスブルグ家のこどもたちの教育の
ために役立つと考えられ、その生涯がオペラ化され、
1698年、ハプスブルグ家の宮廷で初演されました。
かのマリー・アントワネットも観賞し、アントワネットが死を
迎えるにあたりガラシャの殉教を心の支えのひとつと
したそうです。
その後、数百年忘れられていたオペラ・細川ガラシャの
源譜がウィーン国立図書館に所蔵されていることがわかり、
上智大学名誉教授・故トーマス・インモース神父の助言を
受けたウィーン在住の日本人女性が見つけだし、
その源譜を託された豊田氏が校訂。
細川ガラシャ・細川忠興生誕450年祭×上智大学創立
100周年記念事業の世界蘇演として、2013年に
東京紀尾井ホール、2014年に京都府長岡京市
文化センターにおいて、バロック・オペラ
「勇敢な婦人 ―細川ガラシャ―」が上演されました。
わたしは長岡京での公演を観劇しました。
ガラシャ役の豊田氏をはじめとするキャストのみなさんの
真摯な演技に感動して帰ったことを思い出します。
今回垂水教会の献歌に参加された増田氏は「勇敢な婦人」で
ガラシャを介錯する小笠原少斎を演じられた方です。
豊田氏に師事する学生というお若さです。
ミサの後、約30分の献歌があり、素晴らしい音楽に包まれ、
なんとも幸せな気持ちになりました。
終了後、M夫人がわたしのことをみなさんに紹介してくださり、
素敵な指揮者の方と名刺交換などしているうちに信徒さん
たちは帰られました。
その後、この日は来られないはずの大司教さまが急遽
おいでになり、M夫人の紹介で大司教さま、豊田先生、
増田氏にもご挨拶させていただくことができました。
みなさん歓迎してくださり、緊張しながらもとても嬉しい
気持ちでいたところ、なんと豊田先生と増田氏が
大司教さまのためにあらためて歌を披露してくださる
ことになりました。
美しい聖堂の中で大司教さまを囲み、大好きなカッチーニの
アヴェマリアやガラシャオペラの曲を聴けるなんて、まるで
奇跡のようです。
人生で最高のクリスマスプレゼントでした。
信徒でもないわたしがこんな光栄にあずかれて
申し訳ないような気持でした。
それから、この日の歌を聴いていて、ガラシャの
最期は決して不幸だったわけではなく、よろこびに
満ちて天に召されたのだと確信しました。
教会を出た後は食事の席にお誘いいただきご馳走に
なってしまいました。
みなさん気さくで暖かい方ばかりでした。
食事の席では豊田先生から、ガラシャオペラに関するお話を
色々とうかがうことができました。
数百年忘れ去られていたオペラの楽譜が不思議な縁で蘇り、
収まるべき人のところに収まり復活上演となったというのは
本当に奇跡的なことです。
蘇らせてくださったみなさんに感謝いたします。
ご自分の道に精進されている方たちと出会うことができ、
わたし自身のするべきことを今一度考える機会となった
一日でした。
そして、豊田先生の濁りのない華やかな歌声、増田氏の
繊細なカウンターテノール、すっかりお二方のファンに
なってしまいました。