《当て勘》
ひとりの先輩が組手を始めると、
道場中に「スパーン!スパーン!」と快音が響き渡ります。
よく見ると、その先輩には無駄な動きが一切なく、更に動きには「パターン化」されたものも感じられず、自然と「いい間合い」と「いい角度」から素早く技を出しているのがわかります。
当然その先輩に蹴られた場所は「今ここを蹴られました!」と言わんばかりに大きなアザとなって現れます。

この先輩のような人の事を最近では「当て勘がいい」などと言います。
わかりやすく言うと、「どの位置で」「どの距離で」「どの角度で」技を当てれば効くかを感覚でわかっている人の事です。
その代表がボクシング界の「モンスター」こと井上尚弥選手でしょう。
もうパーフェクトですね!

技が上手くきれいにヒットする為には「当てる場所」も大事ですが、自分の「当てる部位」や「角度」も非常に重要です。
少しでもそれらがずれてしまえば、力を発揮する事が出来ないからです。
そこで、日々のミット練習がいかに大事なのかがわかりますよね。
ミットも出来れば小さめのミット、例えば「ハンドミット」や「パンチングミット」等を使って蹴りや突きの練習をすると、より効果があると思います。
あと面白いところでは、「芯に当てる感覚」をつかむ為に野球のバットを使って、実際にボールを当てて「インパクト」をつかむ練習を取り入れてるところもあるようですよ。

「当て勘」を鍛えるには、当然「組手」も数多くこなさなければなりません。
実際に相手と対峙しながら、「ベストなポジション」、「絶好の間合い」、「技を出すタイミング」、「相手との駆け引き」などを学ぶのです。
勿論、持って生まれた「俊敏さ」はそれらの動きを左右しますが、「相手の動きを読む目」や「瞬発力」、「出す技を瞬時に決める判断力」などは意識して練習すればいくらでも上達するはずです。

「動きの無駄」をなくす事も大切な課題のひとつです。
動作の大きな突きや蹴りは「パワー」を生みますが、動作の小さな無駄のない動きこそが「スピード」を生み、スピードが「技のコンビネーション」を豊富にし、展開を有利に導くのです。

どんなジャンル先生でも「基本稽古が最も大切だ」と口を揃えて言います。
それは何故かと言うと、「基本稽古」をする時の「大きな動作」を繰り返し繰り返し行う事で「身体の使い方」を覚える為です。
身体の使い方とは「腰」「ひざ」「足首」「肩」「肘」「手首」「足」「腕」すべての部位がうまく連動して動かせるようになる事です。
「基本稽古」を何度も繰り返して、各技の「身体の使い方」をマスターしたら、次は徐々に動きを小さくしていき、コンパクトな動きでもしっかりと「重心の乗った身体の動き」を獲得していくのです。

「当て勘」のいい人は「自分の技が当たる間合い」と、「相手の技を貰わない間合い」の見極めがとても優れていて、「ディフェンス」も非常に巧みです。
「防御力」を鍛えるには、例えば交互に技を出し合ってそれを「捌く練習」や、相手の攻撃を出来るだけ手を使わずに、「ステップ」や「上半身の動き」のみで「かわす練習」を積むことで格段に上達します。
練習を積んで、状況に応じた「技」が瞬時に出せるようになれば最高ですね! 
  
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