【試合】
「フルコンタクト空手」の子供の試合で、後ろから相手の後頭部を蹴るという痛ましい事故が起こってしまいました。
問題の動画を観て、すべてを判断する事は出来ませんが、いろんな事が瞬時に重なってしまったように感じます。
まず、「子供の試合なのに防具を付けていない」事が最初にあげられます。
 そして、「双方が技の応酬の中、一方が顔面にパンチを当てた」 
「ダメージを負った相手は主審の指示も仰がずに勝手に自分のセコンドに向かって歩き出した」 
「殴った方のセコンドが行け!行け!と少年に続行の指示を出した」 
「指示を受けた少年は背を向け戦う意思のない少年を迷わず背後から蹴飛ばした」
「予期せぬ出来事にその場にいた者が皆一瞬固まってしまい、負傷者の救護が遅れた」といった具合に次々と問題行動が起きてしまっています。
これはやはり、試合を裁く審判員にやや問題がありそうですね。
一方の少年が背を向けて歩き出した時点で、主審がそれを「制止」してコート中央の停止線に戻るよう「指示」を出せば、このような事態には至らなかったでしょう。
本来はその少し前、相手の少年が「顔面殴打をした時点」で二人を分け、まわりの人にもわかりやすく「注意」を与えるべきでした。
そもそも「ヘッドガード」を着けていれば、それ程のダメージを負う事もなく、このような展開にはならなかったはずです。
何事も「最初が肝心」だと言う事を、この一件は教えてくれています。

今やフルコンタクト空手界は何百もの団体が存在し、全国いたる所で試合が行なわれています。
「子供やシニア」の試合においては、どこの団体もみな「防具着用」を義務付けているものだと思っていましたが、今回のこの試合のように防具無しで行なっているところもあると知り、かなりの衝撃を受けました。
第一歩目から子供の「安全」が守られていないのは悲しい限りです。

そもそも昔はフルコンタクト空手に「子供の試合」はありませんでした。
それは「フルコンタクト空手を習う小学生以下の子供の数が少なかった」のと、「サポーターなどの防具がまだ普及していなかった事」や、「安全なルールが整備されていなかった事」、そして何よりもフルコンタクト空手の基盤を築いた大山倍達館長が「子供や女性の試合を推奨していなかった事」等が挙げられます。
現在でも厳しく「年齢制限」を設けている国や「子供の試合」そのものを禁止している国は少なくありません。
また、2018年に子供の死亡事故が発生したタイの国技「ムエタイ」も12歳以下の子供の試合を禁止する方向で議論を始めました。
日本においても、2022年に全日本柔道連盟が「まだ心身の発達途上にある子供が勝利至上主義に陥るのは好ましくない」との理由で、小学生の全国大会の廃止を決定しました。
徐々にではありますが、子供にとって、不必要で危険なものは排除する風潮が高まりつつあるように感じます。

基本的に「剛体」である人間の身体が動く限り、100%「安全」なスポーツや武道、格闘技はこの世に存在しません。
しかし「安全な試合」に1歩でも近づける事は出来るはずです。
フルコンタクトにおいては、今のところ「安心」して子供達を試合場に送り出すには、まだまだ課題が多いようにも思えます。
「防具類の見直し」や「競技時間の短縮」など思いきった対策が必要な時期なのかもしれませんね。

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