【合理的な身体の動かし方】

普段私達は「歩いたり」「屈んだり」「物を引っ張ったり押したり」と意識する事なく自然と無駄なく動いています。
しかし例えば「突いたり」「蹴ったり」と日頃あまりやらないような動きになると、たちまちぎこちない動き方になってしまいますよね。
それは「突くぞ!蹴るぞ!」と手や足ばかりに意識が集中し過ぎてしまって、身体が上手く「連動」出来ずに、パーツパーツで「分断」されてしまうのが原因なのかも知れません。

「合理的な身体の動かし方」は「無理なく」「無駄なく」「楽に強く」身体を動かせる事です。
無駄なくスムーズに動くことが出来れば、そこに必ず「スピード」が生まれます。
「スピード」は身体の動きを豊かにしてくれます。

少年野球は「身体全体を使う事」を覚える為に、まず下から上へのアッパースイングの素振りを子供達は繰り返し練習します。
下から上への動きは、より足腰を使うので身体全体を使って打つ事を、そうして覚えてゆくのです。
空手もアッパースイングの「下突き」や打点が自分の身体に近い「肘打ち」などの技は、身体全体を使って打たないとパワーが乗りません。

「連動した動き」のポイントは、その目的の動き(例えばまわし蹴り)の「ひとつ前の動き」を意識することです。
空手で言えば、蹴る「足」や突く「手」ばかりに集中するのではなく、「他の部位」を意識することで目的の動きを作り出す訳です。
走りならば「腕の振り」、蹴りならば「引き手」、突きなら「膝の向き」と言ったところでしょうか。
そして「自分の重さ」を利用して動くのも「合理的な動き方」のひとつです。
身体の動き出しには「筋力」も必要ですが、「動く力」と「自分の重さ」をうまく利用して動けば「無駄な力」を使わずにすみます。
最適な位置に「重心」を置く事も身体の「力み」も無くすのには大切なことですね。

人は自分の中心に向かって近付く動きをするそうです。
安定感のある「中心」に向かって動くのは「理にかなった動き」とも言えますが、中心を必要以上に意識し過ぎると、かえって窮屈な動きになってしまい、伸びのある動きが出来なくなってしまいます。
そもそも中心を貫いている「軸」は「回転」する為や「止まる」為の軸でもあります。
どちらかと言うと、動きを作り出す軸の方は「側軸(そくじく)」と呼ばれる肩から左右の足を貫く2本の軸です。
この「側軸」を意識する事で「中心軸」とは逆の「遠くへ向かう動き」になるのです。
「楽に動く」には、この「遠くへ向かう動き」の意識も重要になってきます。

身体の性質を知る事も大切です。
一般的に人の身体は左の股関節に乗っかりやすいと言われています。
そして身体は「左股関節」に乗ると「前に進み」やすくなり、「右股関節」に乗ると「後ろに下がり」やすくなるのです。
また、「つま先」で地面を踏むと身体を「うしろに進む力」が働き、「カカト」で踏めば「前に進む力」が働きます。
私達の空手の「準備運動」には、「つま先(中足)」と「カカト」を交互に踏む運動が盛り込まれていますが、これは「部位鍛練」と「重心移動」の2つの要素を学ぶ為のものでもあります。
あと身体は右に回すと締まり、左に回すと緩むと言われています(まるでネジですね!)

犬や猫などの動物は何をするにも「疲れにくい動き」を自然と選んでいるそうですよ。

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