【握力とパンチ】
日本が誇るボクシング世界王者の井上尚弥選手は、意外にもその「握力」は男性の平均よりも低いそうです。
「握力」は無いよりかはあった方が何かと役に立ちますが、「パンチ力」とはそれほど深い関係にはないようです。

パンチは最初から強く握らず、インパクトの瞬間に握り込むのが基本ですが、その握る力はせいぜい「握力」の半分ほどだと言われています。
全体的な握力の強さよりも、拳を握る時の「タイミング」と「素早さ」、そして「押し込む力」がパンチ力には必要なのです。
井上選手はそれらに加えて、「技が相手に効くポジション」への体勢作りが瞬時に出来るからこそ、あのKO率が実現できるのでしょうね。

「強い力」が出せる位置取り(ポジショニング)は非常に重要で、例えばボールを蹴る時や重い物を持ち上げる時などは、最大限に力が発揮出来るように、ベストな位置に自然と私達は身体をもってきています。
ほんの少しズレるだけで、力が伝わらない事を私達は良く知っているからです。
ただ「戦い」になれば、それが一秒でも早く出来るか出来ないかが勝負の分かれ目となるのです。

自分が最も力が出せるベストポジションは、体型などによって一人一人微妙に違うので、それを知る為には、「フットワーク」を使った「ミット練習」や「組手」をたくさんこなす事です。
特に相手が攻撃を仕掛けた時の自分の位置取りが、最も大切な課題となります。
理想は「小さな動きで大きな力を生む」ことです!

氷の上やぬかるんだ場所では、身体の「力」を発揮する事はかなり困難ですよね。
足がしっかりと決まらないと「力」は伝わらないと言う事がよくわかります。
地面と足裏の摩擦力、そしてそれに伴う前への体重移動が「パンチ力」には大いに関係しているのですね。
摩擦で得た「力」は足裏から上半身、そして拳へと伝わります。
特に右足は左手に、左足は右手に力は伝わりやすくなっています。
空手の「逆突き」を思い浮かべてみて下さい。
腰が切りやすいと言う点もありますが、同じ側の足で踏み込む「順突き」よりも「力」が入りやすいです。
また、基本的に私達の身体は「脱力」しないと力が出せないようにもなっています。
何故なら普段私達の身体は、「緊張」と「緩和」を繰り返して動いているからです。
緊張ばかり脱力ばかりでは、当たり前ですが、私達は動けないのです。
「力み(りきみ)」と「脱力」の絶妙なバランスがあるからこそ、日々私達は動けているのです。
しかし不慣れな事をすると「力み」は、たちまち身体を支配します。
特に上半身、それも肩や腕まわりが「力み」ます。
もし構えた時に「力が入ってるな」と感じたら、両手を上に挙げて「ストンと脱力」また挙げて「ストンと脱力」を繰り返してみて下さい。
「力み」がとれて身体も軽くなるでしょう。

「握力」は「パンチ力」にはあまり影響しないようですが、拳の固さとは多少関係がありそうですね。
拳の固い人は概ね関節が丈夫で、しっかりと握り込むタイプの人が多く、一発一発ズシッズシッと打ちます。
なので当たると痛いですよ、これが!

「握力」の平均は男性50㎏、女性で30㎏ですが、世界記録はなんと192㎏だそうです!
リンゴを潰すのに必要な握力が70㎏ほどなので、掴まれただけで腕がどうにかなってしまいそうなレベルですね!
この男性はアームレスリングで活躍されたそうですが、本格的に格闘技の世界に足を踏み入れる事はなかったようです。

最強ボクサーの一人、マイクタイソの「握力」はいかほどだったのかはわかりませんが、その「パンチ力」はすさまじいものでした。
蹴りはパンチの倍の威力があり、「下段、中段、上段」の順に強い力が発揮出来ますが、現役時代のマイクタイソのパンチは、下段廻し蹴りと匹敵するほどのパワーだったと言うから驚きです!

男は何故か「パンチ力」の強さに憧れますよね。
もしかしたらDNAにそういったものが刷り込まれてるのかも知れません。
興味深いことに男性の「ヒゲ」はライオンの「たて髪」と同じように、相手からの攻撃を和らげる為のものだと、最近の研究では考えられてきているようですよ。
 
             【花咲く空手教室】






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