普段私達は自分の身体の事は、ほぼ自分の意思で決めていると思いがちですが、実際はそのほとんどが「無意識」のうちに起こっています。
その司令塔は主に「脳」ですが、脳の基本的な役目は私達が生き延びる為の「防御」だそうです。
それを担ってるのは「脳幹」や「大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)」と呼ばれる「古い脳」です。
その古い脳を新聞紙一枚(厚さ約3㎜)ほどの「新しい脳」が覆っているのです。
あのシワシワの部分ですね。
人間の進化と共に発達し、今では大脳の90%を占めると言われています。
新しい脳は「考える脳」とも言われますが、しかし「司令塔」としての立場はまだまだ「古い脳」にはかないません。
当然と言えば当然ですが、生き抜く為のものが何よりも優先されるのです。
新しい脳と古い脳の関係は「ダイエット」に現れています。
「考える脳」が「痩せる為に食事を減らそうよ?」と言っても、「古い脳」が「いやいや生きる為には食べなきゃいけないでしょ。さあ食べなさい!」と指令を出すので、ダイエットはなかなか上手くいかない訳です。
物事の「好き嫌い」や私達にも関係のある「闘争本能」なども全て「古い脳」で生まれます。
そもそも私達の身体は「危険や恐怖」を感じると身体機能が高まるように設定されています。
古い脳からの指令で「ここ一番!」の時に「ホルモン」が分泌されるからです。
その代表的なホルモンのひとつ「アドレナリン」が血流を良くしたり、心拍数を上げたりして身体能力を高めます。
空手の試合中に殴られても蹴られても痛く感じないのは、このホルモンのおかげなのです。
私達はここ一番の時、身体からこれらのホルモンが分泌される事によって「戦うか?逃げるか?」の準備を整える訳です。
「闘争心」の有る無しは人によって違いますが、勝負事にはとても必要になります。
「闘争モード」に入るには心も身体も同時でなければなりません。
身体が「闘争モード」に入る時間は、「わっ!」と驚かされて「ドキッ!」とする、ほんの一瞬です。
気合いを入れて「いち、にぃ、さん、ダアー!」で準備万端です。
空手で言えば、名前を呼ばれて試合場に上がり「正面に礼、主審に礼、お互いに礼」で構えて、「闘争心」はマックスに達する寸法です。
気合いは顔の表情からでもスイッチON出来ます。
戦ってる時、穏やかな顔の人はひとりもいません。
「闘争本能」の持続時間はそう長くはありません。
「ストレス反応」の一種なので、長引けば長引くほど身体が疲弊してしまうからです。
競技で言えば、ボクシングのワンラウンド3分くらいがギリギリと言ったところのようですね。
空手の本戦試合もマックス3分です。
闘争本能にスイッチを入れる役目の「アドレナリン」は出過ぎてしまうと、身体にとってマイナスになります。
必要以上に緊張したり心配したりすると過剰に反応してしまいアドレナリンも増え、身体がこわばり動きも鈍くなってしまうので、
そんな時は「深呼吸」です。
心を落ち着かせ、分泌量を抑えるのです。
何事も内面が大事なんですね。
新極真空手にも「のがれの呼吸」と呼ばれるものがあり、それと同じ効果が期待できます。
戦いの途中、相手にわからないように「深呼吸」する事によって心身を整えるのです。
人は一日のうち「ポジティブ」な面より「ネガティブ」な面が勝っていると言われています。
確かに幾つになっても、あれこれ心配したりする事が次から次へと出てきます。
テレビのニュースや報道も不安なものばかりです。
それもこれも脳の基本が防御だと知って、成る程と納得もします。
スポーツ選手が試合前に「楽しみたい」とよく口にするのも「ネガティブに支配されがちな心」をよく知っているからでしょう。
生き延びる為に設定されている私達の「脳」ですが、あまりにも複雑になり過ぎた人間社会の中で「脳」もまた複雑化し、本来の目的とは違った方向に私達を導いていってるようにもみえます。
あっ!適量ならば私達の身体にとって活力源である「アドレナリン」は朝にシャワーを浴びる事でも出るそうですよ。
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