
【微生物】
もし地球上の「微生物(寄生虫、カビ、酵母、細菌、ウイルスなど)」を全てかき集めて山を作り、全動物も同じように山にして並べてみたら、微生物の山は動物の山の25倍もの大きさになるそうです。
「微生物」は人の身体にもたくさん住み着いていて、その数は何十兆とも言われています。
ちなみに鼻の中に900種類、口の中には2100種類、食道や胃、腸などの消化管には何と!36000種類の微生物が住んでいて、それらを全部かき集めると脳の重さ(約1.4kg)ほどにもなるのだそうです(体重の1.4㎏は微生物の重さです)。
しかしその大きさは髪の毛の太さ(0.1㎜)よりもずっと小さく、中でもウイルスは0.1マイクロメートル(0.0001㎜)だと言われており、例えば「ウイルス」がテニスボールぐらいの大きさだとすると、人間は身長800㎞にもなるそうです!(宇宙まで到達します)
ちなみにその場合「細菌」はドッジボールぐらいの大きさだそうです。
人間に住み着いている「微生物」は微生物同士の闘いに勝った強者達ばかりで、そのほとんどは私達の健康を守ってくれています。
人に住み着く「微生物」は主に「細菌」ですが、様々な微生物が大気中や土壌や水などから人の身体に入り込んで色んな病気を引き起こしてしまうのが「感染症」と言われるものです。
基本的には外と接している皮膚や消化管などへの感染が多く、風邪、結核、中耳炎、水虫、風疹、肝炎、O―157など病名は多岐にわたります。
人間の身体には菌が入り込めない無菌部分(筋肉や骨など)も結構あり、例えば無菌の膝に注射する場合は菌が入り込まないよう何週間置き、何回までと厳密に決められています。
私達の最も身近な「感染症」は「風邪」ですよね。
この風邪のウイルスは200種類以上と言われており、あまりの多さに予防出来る免疫の獲得さえ難しい状態です。
中でも特に多いのは「ライノウイルス」と呼ばれるもので、そのウイルスだけで100種類以上と言われています。
次に多いとされているのが「コロナウイルス」で、人間に広くまん延する4種類のタイプと動物由来で重症化する二種類のタイプ(SARS、MARS)があります。
SARS(サーズ)はコウモリ、MARS(マーズ)はラクダから人へ感染しました。
今もなお猛威を奮い続けている「新型コロナウイルス」もコウモリかサンゼンコウからの感染が疑われていますが、それに関しては、まだまだ謎の部分も多いようですね。
生きてるのか死んでるのかさえよくわからない「ウイルス」ですが、ひとたび生きた細胞に入り込むと誰よりも元気になる厄介者です。
自力では移動出来ないので、ただひたすらじっと、そのチャンスを窺っている忍耐強さもあるようです。
そのウイルスの忍耐強さを表すものとして最も身近な例は、私達が子供の頃にかかる「水ぼうそう」のウイルスです。
ヘルペスウイルスの一種でもあるそのウイルスは、そのまま身体の中に何十年も潜み続け、宿主の抵抗力が落ちてくると今度は帯状疱疹(たいじょうほうしん)となって現れるのです(ウイルスは手強い訳です)。
1928年にイギリスで発見された抗生物質の「ペニシリン」は第二次世界大戦で数多くの兵士を感染症から救いました。
しかし感染症によく効く「ペニシリン」の長所は一番の短所だとも言われています。
身体の中の良い菌も根こそぎ退治してしまうからです。
(良い菌の多くは二度と回復出来ないと言われています)。
抗生物質の乱用によって、世代を経るごとに身体に住み着く微生物の数も減っていくのではないかと推測されています。
そしてそれは同時に「耐性菌(薬が効かない)」の誕生でもあります。
今後、微生物の減少と耐性菌の出現は、私達にとって「感染症」への最大のリスクとなるでしょう(外科手術のリスクも高まります)。
ちなみに1000兆個近くいると言われている「腸内細菌」は良い菌が20%で悪い菌が10%、あとの70%は日和見菌(ひよりみきん)と言われていて、絶妙なバランスがそこにはあるようです。
腸内の状態によっては、その70%の日和見菌が良い菌にも悪い菌にもなるのです。
常々、腸内環境は大切だと言われる所以ですね。
ウイルスの進化の早さを、今私達は目の当たりにしています。
例えば大腸菌は栄養状態が良ければ30分に1回分裂し、1日でコップ一杯分になり、2日でちょっとした山のかたまりになり、3日で地球の重さを上回るほどの数になるとも言われています。(実際はそんな栄養素もないので、そこまでは増えない)
これら微生物の繁殖力には、ただただ驚きます。
「進化」には「その場にとどまる為には、全力で走り続けなければならない」と言う考え方があります。
これは小説「鏡の国のアリス」に出てくる女王の有名なセリフからとったものだそうです。
種、個体、遺伝子が生き残っていくためには進化し続けなければならない‐‐‐‐‐‐私達にも当然当てはまる言葉ですね。