
【骨】
「骨」は身体を支えるばかりではなく、内蔵を守ったり血液やリンパ球を作ったり、時には自分の身を削りながら、全身の細胞にカルシウムを供給したりもしています。
大人はおよそ206本の骨があり、その重さの合計は約9㎏ほどしかありませんが、ほとんどの骨は1トンの圧力に耐えられます。
特に両手両足に骨は集中しており、足だけで52本もあります。(脊椎の2倍!)
足は元々、物を掴むように設計されているので、複雑な動きが要求される足や手に骨が集中しているようです。
しかし重い物を支えるようには設計されておらず、それが足が痛む理由のひとつとなっています。
手は27本の骨と17の筋肉、123本の靭帯で構成されています。
意識してよく見ると、意外にも親指は横を向いています。
横向きに付くことによって、他の4本の指すべてに触れることが出来、物を器用につかむ事が出来るのです(拳を握れるのもこのおかげです)。
骨はサランラップ2枚分ほどの厚みの「骨膜」に覆われていて、骨に打撃を受けると痛みが走るのは、骨膜に神経が通っているからです。
骨の成分はおもにコラーゲン(タンパク質)とカルシウムで、約5年で全身の骨が入れ替わる生きた組織です。
最近の研究では運動などで骨に刺激を加えると「若返りのホルモン」と言われる「オステオカルシン(記憶力、筋力、精力など)」が分泌されることがわかり注目を集めています。
また、骨は力や刺激を加えると骨密度が増すと言われており、空手の部位鍛練などでは巻き藁を突いたり、砂袋を蹴ったりして拳やスネを鍛えます。
骨の強さは骨密度(カルシウムとリンの量)と骨質(コラーゲンの硬さ)を合わせたもので、強さの70%が骨密度で30%が骨質だと言われています。
骨密度も骨質も中年の終わり頃から年に1%の速度で失われていくそうです。
「骨折」は大まかに「怪我によるもの」「疲労によるもの」「病気によるもの」に分けられます。
「疲労によるもの」は同じ部位の使い過ぎで起こります。
足の甲やスネまわりの骨に起こりやすいと言われています。
子供の骨折で一番多いのは上腕骨と前腕骨と手の骨折です(転んで手をついた時に起こる)。
空手でよく骨折する部位は手足の指、中足骨(足の甲の細い骨)、肋骨などです。
ポキリと完全に折れる骨折を「完全骨折」と言い、ひびが入るだけの骨折を「不完全骨折」と言います。
更に、腱や靭帯から骨が引き剥がされるものは「剥離骨折」、皮膚から折れた骨が突き出た状態は「複雑骨折」と呼びます。
大昔は複雑骨折をしたら、感染症から命を守る為に足を切り落としていたそうです!
結合部分である「腱」は筋肉と骨をつなぎ、「靭帯」は骨と骨をつなぎます。
両方とも伸縮性に乏しく、無理に力が加わると伸びたり、切れたりしやすい場所です。
スポーツではアキレス腱断裂や膝靭帯損傷などが多いですよね。
伸縮性のある「筋肉」は人体に600以上もあり、腱や靭帯とのコラボによって、人は様々な動きが出来るのです。
「屈筋」は関節を閉じ、「伸筋」は関節を開き、「挙筋」は持ち上げ、「下動筋」は引き下ろし、「外転筋」は身体の部位を外側に遠ざけ、「内転筋」は内側に戻し、「括約筋」は収縮に使われます。
骨と骨のクッションなどの役割をしている「軟骨」は、ガラスの何倍も滑らかで、もしアイスホッケーの選手が軟骨の上でホッケーをしたら氷の16倍ものスピードで動けるそうです(なんと時速800㎞!)
この世の中に匹敵するものが無い最高のテクノロジーが、身体の中にはあるのです(軟骨維持の為には、よく関節を動かして常に軟骨を関節液に浸しておく必要があります)
ちなみにチンパンジーやゴリラなどの類人猿が人間のようにスムーズに歩けないのは、腰から下に脚が真っ直ぐに伸びているからだそうです。
人の脚は骨盤から膝へ下りていくにつれて、内向きに角度が付いているのだそうです(前蹴りにはもってこいです!)
両方の脚が近づく事によって、滑らかに美しく歩けるのですね。
