12月の中頃から、関東・関西圏以外の中学校の入試がスタートしています。特に岡山中学校は、関西圏中学受験生にとって、最もメジャーな12月実施の前受け校となります。
そして、1月になれば、関西会場を持つ地方校も入試があり、関東では、1月10日に埼玉入試が解禁となり、いよいよ前受けの本格時期の到来です。
本日は、そんな前受け校入試についての小話をお届けします。
関西での主要前受け校
埼玉入試や千葉入試が前に控えている東京の中学受験生に比べて、関西の中学受験生は、やはり前受け校の選択肢がとても少なくなります。それに…埼玉受験における「開智所沢」や「栄東」、千葉受験における「渋幕」のように、“目玉”と言えるような学校も存在していません。恐らく、関西の前受け校は、通うとなれば入寮前提の地方校が多い。だから…というのもあるのかもしれません。
ド定番校
- 愛光中学校 (愛媛)
入試: 1月初旬
最難関受験を考えている生徒ご用達 - 岡山中学校 (岡山)
入試:12月下旬
難関校志望者による年内の腕試し校
この2校は、関西圏に近い学校ということもあり、多くの受験生が前受けに使います。特に「愛光」は少ないながら女子寮も整備されていて、実際に入学しても良いと思われている学校の一つでもあります。
定番校
- 海陽中等教育学校 (愛知)
入試:12月中旬~下旬
特給入試は、猛者たちの集まり? - 函館ラ・サール (北海道)
入試: 1月初旬
難関~最難関前受けの定番校 - 北嶺中学校 (北海道)
入試: 1月初旬
癖のない入試問題で人気? - 香川誠陵中学校 (香川)
入試: 1月初旬
中堅~難関志望者向けの定番校
まぁ、くせ者の「海陽」は、関西会場での受験者は多くありませんが、関西だけではなく関東も含め、ここの入試が中学受験の号砲と言っても過言ではありません。あとは、北海道の2校が比較的上位校向けの前受け校になっています。
前受けの意味
前述のように、関西における前受け校は、どこも通学圏から大きく外れた地域にあり、全寮制の「海陽」は当然としても、それ以外の学校も、もし合格して通学しようと思えば、寮に入ることが前提になります。
このことから…
現実の「合否」が出る模擬試験
という意味合いが濃いのが、前受け校受験になるのでしょう。
そういう意味では、関西中学入試本番前に、本気で合格を勝ち取りに行く「前哨戦」にはなるのでしょう。
ですが、結果「合格」でした…だけでは、もったいないです。ぜひ、次につながるような使い方をしませんか?
得点や平均点、順位情報
前受け校の多くで、「合否判定」以外にも、各教科の得点や平均点、そして受験者内での順位等を開示してくれます。学校によっては、大問別の得点や平均点まで開示してくれます。
これ、非常にありがたい情報なんですよね。
- 本当の入学試験という環境下で、実力を出し切れたのか?
- 苦手分野の補強は成功したか?
- 本番での第一志望校への手ごたえを得るだけの順位になったのか?
直前1週間前ではありますが、最終チェックに使える情報が多いです。ぜひ活用していきましょう。
前受け校の落とし穴
ただし、上記のような活用ができるのは、あくまでも「合格」という結果だった場合のみであることは、言っておきます。
いくら入学の意志があまりない前受け校の入試だったとしても、本当の入学試験で「不合格」の画面を見ることになるショックは、計り知れないものがあります。
そのあたりのリスクを十分考慮した前受け校を設定したとしても、入学試験本番では、何があるかわかりません。「不合格」ではなかったとしても、「奨学金給付コース」や「特待コース」が余裕だと思ってたのに、「一般コース」での合格しか得られなかった…とか、何が起こったのかわからないまま「不合格」になっていたり…とか、万が一のことも起きるものです。
その際には、ショックを受けているお子様が、自ら関西入試本番への“気持ちの引き締め”をされるようなら、何の心配もいりません。ですが、“意気消沈”しているようであれば、メンタル回復の為のフォローをしていく必要があります。
メンタルフォロー
お子様の性格により、「不合格」を引きずってしまっているお子様への親の介入方法は、それこそ十人十色、千差万別なんでしょうが、「そんなことは一旦忘れてしまいましょう」的な話はあまりしない方が良いと思っています。
「不合格」だったという事実は事実として受け入れて、まだまだ次の志望校入試本番へ活かせる経験だと思ってもらうことが大事だと思っています。
まぁ、『言うは易く行うは難し』なんでしょうが、瓜兄(息子)も前受けでは、かなりやらかしてしまったので、かなりショックを受けていました。幸い、そこまで引きずるようなそぶりを見せていなかったので、
- 模試と入試は、本当に違う。
- 関西中学入試本番じゃなくて、良かった。
- もし、気持ちが引きずられるのなら、失敗したと思った分野や単元を見直してみよう。
この3点だけ、私から瓜兄にアドバイスしておきました。そのアドバイスが効いたのか、それともスルーされたのかはわかりませんが、幸い瓜兄は関西中学入試本番初日には、メンタル的に平常状態に戻っていました。
まとめ
前受け校受験、上手く使えば志望校への入試本番へメンタルのピークを持ってくるための「起爆剤」に使えます。そのおかげで“ジャイアントキル”と言われるような結果が生まれることもあります。
ですが、なんだかんだ言っても、中学受験は「入試当日の結果」のみで判断されるものです。それは、当日の運だけでは決まりません。やはり実力がないと結果は伴わないのです。その実力を100%に近い形で出すためには、メンタルの調整が重要になります。
本番環境を経験させるという意味で、前受け校受験は有効な手段ですが、「ただ受けさせれば良い」というだけのものでもないというのも、覚えておくと良いかもしれません。
MikeNeko




