⑪の続きです。
寝室に行って、ベッドに座らせました。階段を上がるのに時間がかかったので、疲れているようでした。ここで少し休憩して、またリビングに戻るために階段を降ります。階段は上がる時よりも降りる時の方がはるかに緊張します。また一段一段時間をかけて、どうにか戻ってくることが出来ました。再びリビングの椅子に座らせて、ソーシャルワーカーが母に言いました。「退院したら、寝室は1Fにした方がいいですよ。」当然です。一人では絶対移動出来ないし、万が一階段から落ちたりしたら、それこそ命を失います。でも母は、今の寝室にこだわりがあるのか、納得していないようでした。
次はお風呂に移動です。お風呂も大きな段差があり、今更ながら大変危険な場所だと認識せざるを得ませんでした。そして再びリビングへ戻り、しばらく休憩させました。すると飼い猫(人見知りが激しい)がそーっと近づいてきた事に母が気付き、「あら、ネコちゃんいたの?おいで」と懐かしんでいました。入院当初も「ネコちゃんに会いたい」と言っていたので、私は「あぁ良かった。猫の事は忘れてなかったんだ。」と安心しました。でも、これも母にとって愛猫との最後の対面だったと思います。
この時はまだ、私も父も、そして病院関係者も、近い将来母が退院して自宅で生活出来る日が来ると信じていたので、ソーシャルワーカーのアドバイス通り今後介護保険を申請し、手すりやスロープなど少しでも母が生活しやすいように自宅を改修しようと思っていました。
そして再び病院に戻る時間になりました。病室に戻ってからもなんだかボーっとしています。先生の話によると、やはり認知機能テストの点数が悪くなっており、先生も原因が分からないため、近いうちにCTを撮ってみるとのことでした。
次回に続きます。