脳出血忘備録⑪ | 脳出血になった母

脳出血になった母

仲良しだった母が突然脳出血になり、意識障害・寝たきりの状態・・・同じ境遇の方に聞いてほしい。

⑩の続きです。

 

 やっとの思いで母を車に乗せ自宅へ帰る途中、母はどこへ向かっているのか分かっていないようでした。何十年も通い慣れている道を「ここ、通ったことある?」と聞いてきました。

 自宅と病院は車で10分ほどの距離です。この10分間が、母と私の最後のドライブになってしまったのかもしれないと覚悟しないといけないんだな、と思っています。でもそんな簡単に覚悟できるわけありません。今も、このブログを書きながら涙がこぼれます。

 

 自宅が近くなって近所で仲良くしている人が母を見つけて手を振ってくれましたが、それにも応えることができません。ようやく母にとって約一カ月ぶりの自宅に着きました。「家に着いたよ。分かる?」と聞いたら「分かるよ」と答えてくれました。

 

 車から降ろし、玄関先まで時間をかけて歩いていきます。築30年の自宅はバリアフリーとは程遠く、早速玄関ポーチの段差が第一関門です。手すりもなく、両脇を抱えてあげないと一歩足をあげることが難しいのです。やっと家の中に入り、リビングへ連れていきました。椅子に座らせ、ソーシャルワーカーが母にいくつか質問をしました。「どこに座ってご飯食べてるんですか?」「ごみを出す日はいつですか?」「寝室はどこですか?」「お風呂はどこですか?」など。答えられることもありましたが、質問自体が頭に入ってこないのか答えられないこともありました。

 

 次に寝室へ連れていきます。2Fなので、二人がかりで階段を上っていきました。一段一段が高く、急勾配の階段です。作業療法士が「僕でも怖いです」と言っていました。


次回に続きます。