『シミ取り放題』レーザー照射後の「色素沈着」（『トレチノイン療法』の有用性）

今日は『シミ治療』を希望して来院された患者様をご紹介します。

診察室でお顔を拝見しますと、両頬に目立つ大きな日光性色素斑が見られました。

「色素沈着」が出やすそうなお肌とシミに見えましたが、角質が厚いタイプのシミでしたので、『シミ取り放題』のいくつかあるプランのうち、Qスイッチルビーレーザーとピコシュアを併用する『お任せプラン』をご提案しました。

レーザー照射から３か月後の状態をご覧ください。

一部残っているシミもありますので、もう１回レーザー照射が必要な状態ですが、かなりシミが改善していることがお分かりいただけると思います。

３か月間、どのような経過をたどったかをご紹介する前に、レーザー照射前に患者様にお話していたことをご説明します。患者様には、事前に「色素沈着」が起きる可能性が高いこと、色素沈着が起きた場合には『トレチノイン療法』を行うことがお勧めであることをお話ししていました。トレチノイン療法で使用するトレチノインは、表皮の細胞を活発に増殖させるため、表皮の細胞はどんどん押し上げられていきます。このとき表皮の深い層にあるメラニン色素も一緒に持ち上がっていくため、メラニン色素を外に出してしまいます。この期間、漂白剤であるハイドロキノンを同時に作用させ、メラノサイトに新しいメラニンを作らせなくしておきます。結果、表皮はメラニン色素の少ない、きれいな新しい皮膚に置き換えられることになります。有名なゼオスキンのセラピューティックプログラムもトレチノイン療法の一種です。

みかこクリニックでは『トレチノイン療法』にも複数のバリエーションがあります。HQ（ハイドロキノン）にアレルギーがあって使用できない場合にも他の薬剤で行えるようにしています。また、部分的に行う方法、全体的に行う方法など、患者様のご希望に応じて複数の治療パターンをご用意しています。

それでは、経過をご覧ください。

レーザー照射後11日目の再診時には、すでに強い色素沈着が出ています。特に右頬のシミの一部に非常に濃い色素沈着が出ています。色素沈着が濃く出ている部分は照射前にやや灰色がかったシミをしていました。これはシミの中でも、LPLK（扁平苔癬様角化症）というタイプのシミであったと思われます（ある高名な先生のインスタグラムでも、このタイプのシミは色素沈着が強く出るのだと投稿されていました。ただ、色素沈着は通常のシミより早く改善する傾向があるとのことです）。予想以上に色素沈着が強く出ていましたので、より早く改善させるためにトレチノイン療法を行うことをお勧めし、実際に行っていただくことになりました。そのトレチノイン療法の経過と併せてご覧ください。

トレチノイン療法開始から２週間で、もう色素沈着が薄くなっていることがお分かりいただけると思います。トレチノイン療法には「赤み、皮むけ、乾燥」などの副作用のデメリットがありますが、効果が出るのが早いのが最大のメリットだと思います。副作用とうまく付き合いながら最大限の効果が出せるように、経過を見てアドバイスを行っていきます。幸い、早期に色素沈着が落ち着き、患者様には「化粧しなくても外に気軽に出かけられるようになって本当に楽になった。」と喜んでいただけました。今年の秋以降に２回目のレーザー照射を行い、さらに美肌を目指していく予定です。

シミ治療で常に問題になるのは『レーザー照射後の色素沈着』です。色素沈着が極力起きないように、ピコレーザーまたはルビーフラクショナルレーザーで回数をかけてシミを薄くしていく方法もありますが、今回のような角化傾向の強いタイプのシミには、やはりQスイッチルビーレーザーのスポット照射は有効だと思います。色素沈着が出てしまっても、しっかりと改善するまで経過を見させていただきますので、少し気長にお付き合いいただければと思います。

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