春のドタバタで、ブログの更新がすっかり滞ってしまいました。
年度末はいろいろと変化の多い時期ですが、皆様お変わりないでしょうか?
私の周囲でも転勤や引っ越し、出産準備などが相次ぎ、慌ただしくも賑やかにやっております。
さて、眼瞼下垂の記事をシリーズで書こうと思っています。
この際、眼瞼下垂の基本的なことをすべてまとめてみるつもりです。
「眼瞼下垂」(がんけんかすい)とは、
先天的(生まれつき)または後天的に瞼が持ち上がらない状態になることを言います。
原因としては、以下のようなものがあります。
先天的な眼瞼下垂・・・・眼瞼挙筋の形成不全、欠損など
後天的な眼瞼下垂・・・・腱膜性眼瞼下垂、重症筋無力症、外傷、など、
後天的な原因の中で、最も多いのが『腱膜性眼瞼下垂』です。
今回は、この腱膜性眼瞼下垂について詳しく説明してみます。
まずは正常な眼瞼の模式図です。
瞼を挙げる際には、眼瞼挙筋(動眼神経支配)とミューラー筋(交感神経支配)が協調して働き、瞼板を持ち上げ、瞼が挙ります。この時、眼瞼挙筋と瞼板をつなぐのが、挙筋腱膜という膜組織です。
この挙筋腱膜と瞼板の連結が緩んだり外れたりすることで生じるのが、『腱膜性眼瞼下垂』です。
腱膜性眼瞼下垂になり、挙筋腱膜と瞼板の連絡が緩くなった状態を示したのが下の模式図です。
腱膜性眼瞼下垂は、若い方でもコンタクトレンズの長期使用、花粉症などで目を擦る習慣のある方などに起こるのですが、加齢によっても起こってくるため、誰にでも起きる可能性がある疾患です。
腱膜性眼瞼下垂の手術では、緩んだ腱膜を瞼板に糸で固定することを行います。
腱膜の固定は、非吸収糸で瞼板に3か所行います。
正面から見た図と断面で見た図です。
上記の術式は、信州大学形成外科の教授であった(現在は名誉教授)松尾清先生が考案された方法で、現在は一般的に『信州大方式』と呼ばれている方法です。この方法については、最初に愛知医大の梅本先生にご指導いただき、その後、実際に信州大学の松尾清教授のもとに何度かおじゃまして手術を見学させて頂きました(その際の記事はコチラやコチラ)。 そのご縁で、実は私自身も松尾先生にこの方法で手術を行って頂いています。その際、自分が手術されている術中写真などを頂いたのですが、それが今でも非常に参考になっています。
以上、腱膜性眼瞼下垂の手術を模式図で簡単でにご紹介しました。
次回は、「腱膜性眼瞼下垂になると、どのような症状が出るのか」ということについて説明したいと思います。