エキスパンダーの留置期間について | Life can be beautiful. (みかこクリニック院長 高木美香子のブログ)

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『エキスパンダーはどのくらい留置しておくのか。』

これも患者さんの気になるところだと思います。

 

エキスパンダーの取扱説明書を読んでみると、

最初の欄に使用方法の警告として、

 

『5.十分に組織が拡張した後、必ず本品を抜去すること。[本品は一時的に用いる医療機器であり、6 ヶ月を超えて留置することを意図していない。]』

 

と、書いてあります。

 

ですが、実際には6か月で入れ替え可能な状態になるケースの方が少ないのではないかと思います。

 

エキスパンダーの留置があまり長期に及ぶと、破損のリスクも高くなるため、学会の講義などでも1年以内には入れ替えるのが望ましいと聞きます。目標とする皮膚の長さまで拡張できた後、1年を超えない範囲でなるべく長い期間待つのが理想ですが、どのくらい待てばよいのか、明確な基準はありません。患者さんの都合が許せば、拡張終了から半年程度は待って頂きたいというのが私の希望です。

 

「時間の経過」という目安とともに、もう一つ、私が入れ替え可能かの目安にしているのが皮膚の状態です。拡張が終了した時点の皮膚は、もうまさに「ぱつんぱつん」という状態ですが、そこから保湿などの皮膚のケアをしながら時間を置くと、ある頃から皮膚に余裕が生まれてきます。皮膚に余裕ができると、皮膚を寄せてシワができるようになったり、つまめるようになります。自覚的にも、ぱつんぱつんだったのが、柔らかく変化するのが分かるようです。

 

 

先日の『下垂のない乳房』の回で写真使用をご了承いただいたAさんのケースをご紹介します。

 

Aさんは、二次二期再建の患者さんです。

TE留置から1か月後に予定拡張量に到達しました。

その時点ではまさに皮膚は「ぱつんぱつん」で、自覚的にも「張っていて辛い」とおっしゃっていました。

さらに2か月後、TE留置から3か月目の診察でも、まだ皮膚の張った感じは続いていました。

 

その次、TE留置から6か月目の診察の際には、皮膚に余裕が生まれ、自覚的にも「張った感じがなくなり、柔らかくなったのが分かる」と言われていました。

 

その時点での写真です。

 

 

拡張終了の時点では「ぱつんぱつん」だった皮膚に、シワが寄るようになっています。

 

この状態をさらに5か月キープし、TE留置から11か月目に入れ替えの手術を予定しています。