昨日、WBO世界ウエルター級タイトルマッチが行われた。
ボクシングマニアならウエルター級の世界戦が日本でしかも日本人が出場するという事実だけで正に夢の半分位は実現した
といっても過言ではないかもしれない。
結果は、、、夢ではなく現実を突きつけられた。
恐らく大半のボクシングマニアの方は結果はある程度予想はしていたかもしれない。
いやその内容は予想以上の差だったのかもしれない。
だが試合前にそんな野暮な事は口にしていなかっただろう。
多くの方が夢想した1rに佐々木が猛攻を仕掛け強烈な左フックがノーマンの顎をとらえる。。。。そんな淡い期待を最も
分かりやすい形で打ち砕く。
1rに2回のダウン。。。
興奮する前の段階で差を見せつけられて声を枯らして応援しようにもそのタイミングすら与えられなかった。
5rには意識を狩られるような強烈なパンチで終了。
余韻云々よりも佐々木選手の身体が心配になるような終わり方だった。
海外のボクシングも追っかけているような方なら佐々木を応援しつつも心のどこかでこういう世界の壁を見せつけて欲しいような
サディスティックともマゾヒスティックとも言える妙な気持ちがあったのではないだろうか?
私は正直あった。軽量級で日本で世界戦が連発され当たり前のように世界王者が生まれる事への反発なのか今の様に簡単に海外の
ボクシングが見れない時代に憧れもしかすると誇大妄想していたかもしれない中量級の頂。
キャリアの浅い日本人の若者が勢いだけで世界王者になってもらいたくない様な表現しがたい感情。
だが、現実に高い壁をみせつけられて 『ほら、見た事か』 という感情は自分でも驚くほど出てこなかった。
何故だろう?そんなに人間的に成長したっけw?
少し考えて、、、、
気付いた。ノーマンの一切隙の無い戦い方に見入ったからだ。
相手とかなり差があるという事は1rで理解したはずだ。けれどノーマンはほぼ隙を見せなかった。佐々木のパンチが当たっても
当たった素振りすら見せなかったしムダなパフォーマンスも見せない。
前回ブログでノーマンについて冷静なようでいて獰猛 と書いた。だが獰猛な時も頭の中は冷静だった。
私は色んなスポーツ観戦をする。一流と言われる選手はみんな揃ってこの特徴がある。
獰猛に動いている時ほど内面は冷静。筋肉は緊張と弛緩を繰り返している。
ノーマンはそんな一流アスリートの特徴を見せていた。勿論、相手との差がそれをみせただけかもしれない。
まだピークとも思えないキャリアでありとかくボクシングというのは相手次第で強くも弱くも見えるから。
一方で佐々木はそれが彼の良さとも言えたかもしれないが獰猛で頭も獰猛で筋肉は硬直しっぱなしだったかもしれない。
佐々木選手は惨敗したが彼のようなキャラクターだからこそ実現出来たともいえる今回の試合。
どうかこれを糧にして太いキャリアを積んで欲しい。
23才という若さで世界戦を経験出来たのだから。
ここにきて日本人のボクシング世界挑戦は連敗続きになっている。
これは対戦相手を見ていると納得もする。
近年のボクシングはアップセットは起こり難くなっていると感じる。