これまで本を読んでいて、
こんなにも落ち着かなくなることは
あっただろうか。
ページをめくる度、
出会う言葉に心を揺さぶられ、
何度も本を閉じた。
読み終わるまで、他のことが
手につかなかい日々が続いた。
それくらい、衝撃的だった。
もし、子どもの頃に、
周りの大人や私自身が
このことを知っていたら・・・。
読み終えた後、そんな風に
悔やむ気持ちと共にあったのは、
これまでの人生に対する納得感と、
微かな希望だった。
タイトル通り、本書は
「境界線」についての本だ。
といっても、土地関係の話ではない。
人と人との関わりという心理の話である。
帯に『「支配」と「共依存」から
あなたを守ります』とあるように、
境界線を適切に引くことで、
人間関係を苦しいものから
愛に満ちたものにするというのが、
著者の願いなのだと感じた。
これから、内容をかいつまんで
ご紹介していこうと思う。
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境界線の働き
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境界線には、良いものを内に保ち、
悪いものを外に追い出す働きがある。
しかし、人によってはこの機能が
正しく作動しないことがある。
例えば、他者からのひどい扱い
(=悪いもの)を拒否せずに
自分の内側に取り込み、
逆に、救いの手(=良いもの)を
断ってしまう、といった風にだ。
こうした境界線の逆転現象は、
虐待にあった人などに見られるという。
その人の人生が、その後どうなるかは
想像に難くない。
また境界線には、
自分の立場や輪郭を人に把握させる
働きがある。
「自分がどういう人間か」ということを
示すものなのだ。
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「ノー」と言うことの大切さ
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境界線を正しく働かせるためには、
「言葉」を使う。
良いものを取り込むには「はい」、
悪いものを締め出すには「ノー」。
中でも「ノー」と言えることが大事だと、
繰り返し述べられている。
「ノー」が言えないと、
- 他者の不適切な言動から
自分を守ることができない - 嫌なことをしぶしぶ引き受け、
内心、恨みがましく思う - 自分に正直に生きられない
などといったことが起こる。
そうならないようにするためには、
子ども時代に安心して「ノー」と
言える経験が必要なのだという。
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「ノー」と言えるようになるために
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まず、子どもにとって必要なのは、
情緒面において安定した、温かく、
やさしく、わかりやすい環境だ。
そのため、1歳までは子どもに
無条件の安心感を与える。
それ以降、親は次のようなプロセスで
「首尾一貫した現実的な境界線づくり」を
していく。
- 子どもの意見に耳を傾ける
- 自分の「限度」内であれば、
子どもの意見を尊重する - そうでない場合は選択肢を与える
子どもは自分の考えや気持ちを、
指している。
- 怒りを適切に表現できる
- 自分の所有物(時間、エネルギー、才能、
感情、行動、金銭など)を管理できる - 選択する力がある
- 他者の「ノー」を受け入れることができる
それらは、適切に境界線を引くために
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親が注意すること
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懇願したり、脅したり、罰を与えたり、
「自分を正直に出したら怒られる」
「お父さん・お母さんを傷つける」
「いい子でいないと愛されない」
しつけとは、
「結果を用いて自制を教えるための術」
であって、親が思うようにならない
子どもを罰するものではない。
暖かさを保ちながら、
選択の結果を刈り取らせるものなのだ。
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拒絶される傷つきについて
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罰するタイプの親だけでなく、
子どもの言動に傷つく親も
子どもの境界線づくりを妨げる。
「ノー」と言われたら、
誰でもいい気はしない。
しかし、
「ノー」と言ってはいけないと
子どもに教えることは、
「他人にほしいままにふるまわせよ」
と言っているようなものだ。
怒りを適切に表現できる子どもは、
誰かが自分を傷つけたり支配しようと
している時に、それを察知できるようになる。
自分の身体や思考を含め、自分の所有物を
誰かに明け渡さずに済む。
「ノー」を禁じることは、
そんな大切な力を子どもから奪ってしまう
ことになりかねない。
親からしたら、子どもが成長と共に
境界線を引くことを寂しく思うかもしれない。
けれど、
それで身を引いてしまったり、
愛することをやめてしまうと、
子どもは自分の攻撃的な部分や
真実を語ろうとする一面を
憎むようになってしまう。
子どもの境界線によって傷ついた
親の感情は、親が自分の責任で
管理しなければならない。
(後編に続く)
ミカヅキ🌙さと子
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