ニュージーランド ミルフォードトラック Day4 | * たびばな * 旅好き女子のあちこち歩き

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主に鉄道でヨーロッパ34カ国、世界57か国をぐるぐると駆け回り、とにかく歩き回った、充実した旅の記録です。いろんな人に出会ったり、いろんなものを食べたり、旅のワクワクを少しでもおすそ分けできれば嬉しいです。持ち物やルート、予算についても情報いっぱい。

2023年 12月。

 

ニュージーランドの旅 9日目、ミルフォードトラック 4日目の朝。

今日は、ミルフォードトラック最終日。

 

クインティンロッジから、ミルフォードサウンドの入り江まで歩きます。

アップダウンは無いながら、行程としてはいままでで群を抜いて長い 21㎞。

 

 

 

今日の天気は… まずまず、かな。ときおりシャワーのような雨が来るので、念のためザックカバーはかけたまま。

 

 

4日目ともなると慣れてきて最適なペースもつかめてきました。

 

ついついペースが上がるので、「せっかくニュージーランドまで山を歩きに来たのに、急いで歩いてしまったらもったいないよ、のんびり行こうよ」とUtaoから何度も声をかけらたり。

 

 

夜に雨が降ったのか、一昨日の雨がまだ残っているのか、水の量はやっぱり多い。

 

 

 

登山道に水が溢れていたこともこの日が一番多かったかも。

 

 

 

とはいえ今回は晴れが多かったので、まったく渡渉で困らなかった。

多少水量が多い川を渡るときには、必ずガイドさんが待機して手を貸してくれました。

 

本当に雨が多いときには川の水位が上がったり、登山道に水がたまったりで、膝まで、ひどいときには腰まで水につかる場合もあるらしいです。

 

 

それだけ水に恵まれている森なので、そりゃあジャングルみたいになるわけで。

 

 

原始の森というか… 恐竜が出てきそう。

 

 

シダのジャングルの向こうに顔を出す山の風景。

日本の登山ではなかなか体験できない山歩きです。

 

 

 

今日のコースとくっついたり離れたりしながら並走するアーサー川。

 

 

マッキノンパスあたりから雨水を集めて流れ出し、最終的にミルフォードサウンドに流れ込みます。

 

 

川沿いを歩くため、大小さまざまな橋を渡りながら歩く一日でもあり。

 

 

 

…で、水が多いということはサンドフライも多い日であり。

 

昨日は標高が高かったのであまりサンドフライに纏わりつかれずに済んだのですが、この日は水辺も近いのでそこそこ多かった。途中でチェックインした山小屋では、歩き続けていないとすぐに体中にサンドフライが寄ってくるので休憩にならないくらい。

 

 

 

普通のハエよりはかなり小さいですが、ちゃんとハエっぽい。

そして基本、集団でいる。

 

 

4日目の見せ場のひとつ、マッカイ滝。この日は水量が多くてかなりの迫力でした。

 

 

21キロも歩くとそれなりにダレるのですが、ミルフォードはときおりこうして大きな滝や湖を見せてくれたり、橋を渡ったさせてくれるので、ぎりぎりのところで飽きない。

 

…とはいえ、4日目ともなると少し単調に感じ出すのも事実で。とくに、4日目は 2日目と風景が似ているので、既視感があるんですよ。その上、距離が長いわけで。

 

最後のほうはただただ、淡々と、無になって歩いていました。

せっかくのミルフォードトラックなのにもったいない気もするけど、逆に、そうなるくらいひたすら歩くことだけに集中できるのがミルフォードトラックなんだとも思う。

 

 

最後の大きな橋を渡ります。

 

 

 

全長約 54キロのミルフォードトラック、ゴールまであと1キロを切りました。

 

 

ああ、やっと今日のこのロングコースを終われる!という気持ちと、ああ、もうミルフォードトラックの 4日間が終わっちゃう、という気持ち。

 

 

そしてついに、ゴール地点である サンドフライポイント に到着。

33.5マイル、約 54キロを歩き終えました。

 

 

ここの小さな小屋で、ミルフォードサウンドのホテルにわたる船を待ちます。

 

サンドフライポイントという名の通り、このあたりはサンドフライの数がすごかった。顔を刺されると跡が残りそうなので日本から持参した防虫ネットを被ってました。

 

 

小屋の窓の外に集まってくるサンドフライ。

 

 

うっとおしかったこいつともやっとお別れだ…!

 

 

時間が来たら、小型の船に乗ってアーサー川を下る短いクルーズです。

 

 

 

 

歩き終えた安堵、みんなで詰め合わせて乗る小型船、大きなエンジン音。川と空と山に囲まれていて、疲れで少し鈍ったような感覚、流れる景色、眠いような、でも落ち着かないような。

 

 

船は、ミルフォードサウンドに到着。

岩肌がむき出しの山々に囲まれたフィヨルドで、観光客がバスでやってくる観光地。

 

 

入り江のロッジに宿泊して、明日クルーズ船を楽しんだらツアーは終了です。

 

さすがに疲れたなと思いながら、ホテルをあちこち歩きながら衣類を乾燥させたり、洗濯機を使ったり、あちこちで同じツアーの参加者のみなさんと少し話したり。

 

 

「登山(山を登る)」という体験なら、たぶん日本の山のほうが良い場所がたくさんあると思う。でもミルフォードは…  なんか、ここじゃないと得られない体験だった。

 

 

夕食のとき、隣に座っていた大柄のオーストラリア人の女性がグラスにスプーンをチンチンとたたいて立ち上がりました。

 

彼女は普段山なんて全然歩かないような人で、でも素敵な景色のなかを歩くなんて楽しそう!と旦那さんと参加したのだけど、大柄な彼女には、この4日間の行程は厳しすぎた。

3日目に彼女たちがロッジについたのは夜 8時だったそうです。

 

4日目も大幅に遅れたけれど、それでも無事歩ききれて。

ずっとついていてくれたガイドさんや、励ましてくれた参加者のみんなに感謝するスピーチをしながら泣き出してしまった彼女は、拍手に包まれて着席し、旦那さんに抱きしめられていました。

 

ミルフォードって、なんかそういう場所なんですよ。

 

山を登る人ももちろん参加するのだけど、普段登らない人も参加してきて、結構大変なんだけど、頑張れば歩ききれる。

 

富士山に近いかもしれません。

 

 

そして、この日は、大晦日。

なんにもないニュージーランドはじっこの入り江で、年越しを迎えました。