ワシントンD.C. という街 | * たびばな * 旅好き女子のあちこち歩き

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主に鉄道でヨーロッパ34カ国、世界57か国をぐるぐると駆け回り、とにかく歩き回った、充実した旅の記録です。いろんな人に出会ったり、いろんなものを食べたり、旅のワクワクを少しでもおすそ分けできれば嬉しいです。持ち物やルート、予算についても情報いっぱい。

2016年のGWにワシントンD.C.を旅してきました。

 

このあたりで、ワシントンD.C.という場所の不思議について触れてみようと思います。

 


まず、ワシントンD.C.ってどこにあるのでしょう。

ここです。東海岸の都市です。

 



 

ニューヨークのすこし南、鉄道で 3時間の距離に位置しています。

アメリカ大陸の北西にあるワシントン州とは関係がありません。


もう少し寄ってみましょう。

ワシントンD.C.と書かれた赤い長方形が見えてきました。

 

これが、ワシントンD.C.の全体図です。たったこれだけの、とても小さな地区。

 

 


最寄りの空港ですら、D.C.内にはありません。
ポトマック川を渡った隣のヴァージニア州にあります。


もっとも、要人の多いワシントンD.C.では上空に何かを飛ばすことが禁止されているため、飛行機もワシントンD.C.上空を飛行することはできないのですが。

 

 

さて、D.C.というのは District of Colombia の略で、日本語では 「コロンビア特別区」 と呼ばれています。どういうことかというと、ここは独立した州ではなくて、連邦直下の特別な区域ということになります。

 

 

 

各州が独自の法律や議会を持ち、それが集まった 「合衆国」 であるアメリカで、連邦議会やホワイトハウスなど国政の重要な機関がどこかの州に置かれていては不公平だということで、この特別区が作られることになりました。

 

首都機能を持たせるために作られた計画都市なのですね。

 

 

議事堂やホワイトハウス、最高裁判所が置かれているだけではなく、200か国近くの大使館や、FBI本部、世界銀行や国際通貨基金など各分野の重要な機関がひしめき合い、街の中心のナショナル・モールと呼ばれる芝の広場の周辺には美術館や博物館、記念館や公文書館なども集められています。

 


 

都市の規模でいうと、ニューヨーク、ロサンジェルス、シカゴに次ぐ全米 4位だそう。

 

 

また、メリーランド州やバージニア州、ウェストバージニア州などから通勤してくる人たちを合わせると、昼間の人口は全米 7位。

 

ただし夜間の人口は全米でも最下位から 2番目。昼夜の人口比がとても大きいのですね。特に中心部はカラッポになってしまいます。そのあたりが夜間の治安の悪さにつながっているのかも。

 

 

さて、そんなD.C.の住民なのですが、アメリカの国政は、各州の代表者が集まる議会によって行われていますよね(上院は各州 2議席、下院は州の人口比で議席が決まります)。そう。独立した州ではないD.C.からは、代表者が選出されないのです。


議会を有し、国政の要の首都ワシントンの住民には、国政に声を反映させるためのしくみがないのですね。

 

 

 

なので、D.C.のナンバープレートを見ると、「Taxation without Representation (納税義務はあっても代表は出せず)」 と書かれています。

 

このことは、行ってみるまで気づきませんでした。ただし、大統領選の選挙権はあるそうです。

 

 

かつて首都建設のために当時たくさんの黒人奴隷たちが集められたそうですが、彼らの子孫がいまも暮らしているのでしょうか。中心部は政府や金融関係の裕福な白人たちであふれる首都ワシントンですが、実は人口比では全米1の黒人の街だそう (実に人口の過半数)。

 

黒人の権利拡大など時代の流れを戦ってきたキング牧師がリンカーン記念堂でスピーチを行った際には、モールの芝が黒人たちで埋まったそうです。彼らのソウルフードとして存在していたのが Ben's Chili Bowl かと思うと、お店の不動の人気がわかる気がしますね。

 

(Ben's Chili Bowl についての旅日記は こちら )。

 

そんなD.C.は、現在、議会に正式な代表を送るために運動中。

ナンバープレートもその一環です。いつかD.C.からも正式な上院議員の議席ができるようになるのでしょうか?