2011年 5月 2日。 「早い、早い! 今日、本当に今日、列車を降りてしまう日になってしまった。」
本当に、後半はなんだかあっという間で、毎日気がつくと夜になっているというか、何にもすることがなかったのに、不思議といつも、暇ではなかった。 充実した日々だった、と、今改めて思います。 降ったり晴れたりだった道中、最終日は、快晴。
以前は (もしかしたら今も?) 橋を撮影することは厳禁だったシベリア鉄道。 というか、とにかく撮影全般が良い顔をされないということで、フィルムを抜かれたり、デジカメのデータを消されたりという話を本やネットで読んでいたため、カメラについてはちょっと心配していたのですが、中国車両のせいか、一度もお咎め無しでした。
モスクワが近くなってきて、車窓に立派な教会が見えることが多くなってきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ えーと、いまさらですが、コンパートメント内のベッドについて書いておきます。 本来は 4人部屋なので、ベッドも両サイドに上下に 2つずつ、4台あります。
上の段には、ドアの両脇にある小さなはしごを引き出して、それを足がかりにして上ります。
上の段には上り降りの際に使用する手すりや、落下防止のバーがあって、わりと安全。 大きな荷物が入るようなスペースもあります。 上段は、直接振動が伝わる下段よりも、細かな揺れが少ないようにも感じました。 だから、ちょっと本を読んだり、30分くらいうたたねしたりするには上段のほうが快適。 ただ、「落ちないように」 と緊張するせいか、夜はリラックスしにくくて、よく眠れなかったです。落下防止の手すりのせいで、狭いベッドでは寝返りも打ちにくいし。 夏など込み合う時期に 4人で使用する場合は、下の段は日中みんなのソファになってしまうので、上の段のほうが、人に気兼ねなくダラダラと横になったりできるかも。 ちなみに、下のベッドの下は荷物入れになっていて、誰かが寝ている間は絶対に荷物が出せないので、相部屋で夜がちょっと心配な時も、安心ですよ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝 10時過ぎ、モスクワのひとつ前の駅、停車駅としては最後の駅に到着しました。 「黄金の環」 と呼ばれる観光地の町のひとつ、「ウラジーミル」 駅です。
今回の旅では、ほんとうにいろんな顔の列車を見たなぁ。
いままでヨーロッパを鉄道で回っているときもすごくいろんな列車に乗っていたのだけれど、停車中にわざわざホームの先頭まで行って列車の顔を撮るなんて考えもしなかった。
とにかく時間はたくさんあるし、そんなことすら楽しく感じるのが、シベリア鉄道マジック。 ウラジーミルを出発すると、列車内があわただしくなってきました。
モスクワ到着予定は 14時半。 あと 4時間を残すのみとなりました。 ●
なんだか焦りにも似た気持ちがわいてきたり。 まずは落ちつこう。モスクワに降り立つために、腹ごしらえをしておかなくては!
「お腹一杯だから」 と断ったのを、「じゃあ、あとで食べなさい」 と手渡してくれました。 なんとなく 「大事にとっておこう」 と思って最後まで食べずにきましたが、モスクワを前にして、いよいよ食べてみようかと。
たしかに、付 (フー) さんはスプーンをどこから出してきたんだろうと思ってたんですよね。 見ての通り赤いスープで、ちょっと辛めだけど、わりと普通の日本のカップ麺っぽい味でした。
付 (フー) さん、ごちそうさまでした。 食事を終えたら、いよいよ 6日目にして到着するモスクワの、ガイドブックをおさらい。
だけど、モスクワに着くということは、この列車の旅が終わってしまうということ。本を眺めていても、そわそわ落ちつかなくて集中できないので、ガイドブックを読むのはやめてしまいました。 車窓の景色は、田舎のそれから、大都市の近郊、という感じのものに変わってきています。
すれ違う列車も、長距離列車ではなく、モスクワ近郊を走るエレクトリーチカ (近郊列車) にかわり、通り過ぎていくローカル駅も様変わりしました。
もう、本当にモスクワが近いんですね。 そして 14時半。 いよいよ。 とうとう、モスクワに到着しました。 かなり早い時間から降りる準備をすませてしまっていたので、荷物は全部まとまっています。 嘘みたいだけど、この小さなお城を後にする時が来ました。
たった 6日とは思えないくらい、いろんなことがあったような気もする。 お世話になったお部屋にお礼を言って、列車を後にします。 いつも冗談めかして、わざと面倒臭そうにしながらも、わたしがしばらく部屋をあけていたら気を効かせて鍵をかけておいてくれたり、大声歌いながらトイレや車両の掃除をしていたり、ゴミを回収に来てくれたりと、こまごまと面倒をみてくれた車掌さん。6日間、本当にどうもありがとう。
なぜか懐かしく感じる古めかしい車両は、旅の情緒を膨らませてくれました。 お疲れ様、そして、これからもがんばって、たくさんの乗客を運んであげてください。 ロシアではすでに新型車両が走っているシベリア鉄道。この路線も、いつか新型に変わってしまうのでしょうか。今回、古い車両を満喫できるうちに旅ができてよかったです。 駅舎に大きく掲げられた 「モスクワ」 の文字。本当に、着いちゃったんだなぁ。
「ПЕКИН」 で 「北京」 です。整備を終えたら K4 として北京に戻っていくのでしょう。
感傷にひたってばかりはいられません。 さーて、まずはホテルに向かって、モスクワを散策しなくては。 これから忙しくなります!
モスクワ駅 (ヤロスラブリ駅) にあったモニュメント。 線路側に 「9298」、駅舎側 に 「0」 と刻印されています。
わたしは北京からですが、それでも 8,000キロ弱の行程でした。
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