シベリア鉄道の旅 - モスクワまで、最後の1000キロ | * たびばな * 旅好き女子のあちこち歩き

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主に鉄道でヨーロッパ34カ国、世界57か国をぐるぐると駆け回り、とにかく歩き回った、充実した旅の記録です。いろんな人に出会ったり、いろんなものを食べたり、旅のワクワクを少しでもおすそ分けできれば嬉しいです。持ち物やルート、予算についても情報いっぱい。

2011年 5月 2日。

 

「早い、早い! 今日、本当に今日、列車を降りてしまう日になってしまった。」

 


この日の日記は、そんな書き出しで始まっていました。シベリア鉄道の旅もいよいよ最終日。


本当に、後半はなんだかあっという間で、毎日気がつくと夜になっているというか、何にもすることがなかったのに、不思議といつも、暇ではなかった。

 

充実した日々だった、と、今改めて思います。

 

降ったり晴れたりだった道中、最終日は、快晴。

 

 

 

以前は (もしかしたら今も?) 橋を撮影することは厳禁だったシベリア鉄道。


というか、とにかく撮影全般が良い顔をされないということで、フィルムを抜かれたり、デジカメのデータを消されたりという話を本やネットで読んでいたため、カメラについてはちょっと心配していたのですが、中国車両のせいか、一度もお咎め無しでした。

 

 

 

 

モスクワが近くなってきて、車窓に立派な教会が見えることが多くなってきました。

 

 


このあたりは 「黄金の環」 と呼ばれる、とても教会が多いエリアに近い場所。

 

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えーと、いまさらですが、コンパートメント内のベッドについて書いておきます。

本来は 4人部屋なので、ベッドも両サイドに上下に 2つずつ、4台あります。

 


わたしの席は一応、下段なのですが、誰もいなかったので、何度か上の段を試したりも。

 

上の段には、ドアの両脇にある小さなはしごを引き出して、それを足がかりにして上ります。

 

 

上の段には上り降りの際に使用する手すりや、落下防止のバーがあって、わりと安全。

大きな荷物が入るようなスペースもあります。

 

上段は、直接振動が伝わる下段よりも、細かな揺れが少ないようにも感じました。

だから、ちょっと本を読んだり、30分くらいうたたねしたりするには上段のほうが快適。

 

ただ、「落ちないように」 と緊張するせいか、夜はリラックスしにくくて、よく眠れなかったです。落下防止の手すりのせいで、狭いベッドでは寝返りも打ちにくいし。

 

夏など込み合う時期に 4人で使用する場合は、下の段は日中みんなのソファになってしまうので、上の段のほうが、人に気兼ねなくダラダラと横になったりできるかも。

 

ちなみに、下のベッドの下は荷物入れになっていて、誰かが寝ている間は絶対に荷物が出せないので、相部屋で夜がちょっと心配な時も、安心ですよ。
 

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朝 10時過ぎ、モスクワのひとつ前の駅、停車駅としては最後の駅に到着しました。

「黄金の環」 と呼ばれる観光地の町のひとつ、「ウラジーミル」 駅です。

 

 


駅舎の向こうには、世界遺産にも指定されているウラジーミルの大聖堂が見えます。


今回の旅では、ほんとうにいろんな顔の列車を見たなぁ。

 

 

 

 いままでヨーロッパを鉄道で回っているときもすごくいろんな列車に乗っていたのだけれど、停車中にわざわざホームの先頭まで行って列車の顔を撮るなんて考えもしなかった。
 

とにかく時間はたくさんあるし、そんなことすら楽しく感じるのが、シベリア鉄道マジック。


ウラジーミルを出発すると、列車内があわただしくなってきました。
車掌さんたちが、いろんな荷物を整理したり、掃除をしたり、ばたばたしはじめたんです。

 

 

モスクワ到着予定は 14時半。

あと 4時間を残すのみとなりました。



普通の旅で 4時間も移動したら結構長いと感じるけど、ここでの 4時間はあっという間。

 

 

なんだか焦りにも似た気持ちがわいてきたり。


まずは落ちつこう。モスクワに降り立つために、腹ごしらえをしておかなくては!


というわけで、今日のランチは、満を持して登場の、付 (フー) さんの置き土産のカップ麺!

 

 

「お腹一杯だから」 と断ったのを、「じゃあ、あとで食べなさい」 と手渡してくれました。

 

なんとなく 「大事にとっておこう」 と思って最後まで食べずにきましたが、モスクワを前にして、いよいよ食べてみようかと。

 


ふたをひらくと、かやくやスープと一緒に、スプーンが入っていました!おお、カルチャーショック!

 

 

たしかに、付 (フー) さんはスプーンをどこから出してきたんだろうと思ってたんですよね。

 

見ての通り赤いスープで、ちょっと辛めだけど、わりと普通の日本のカップ麺っぽい味でした。

 

 

付 (フー) さん、ごちそうさまでした。


食事を終えたら、いよいよ 6日目にして到着するモスクワの、ガイドブックをおさらい。

 


出発前に何度も読んだページを読み返して、モスクワでの街歩きに備えます。ずーっと列車のなかで座っていたので、たくさん歩けるのかどうか心配。

 

 

だけど、モスクワに着くということは、この列車の旅が終わってしまうということ。本を眺めていても、そわそわ落ちつかなくて集中できないので、ガイドブックを読むのはやめてしまいました。

 

車窓の景色は、田舎のそれから、大都市の近郊、という感じのものに変わってきています。

 

 

 

すれ違う列車も、長距離列車ではなく、モスクワ近郊を走るエレクトリーチカ (近郊列車) にかわり、通り過ぎていくローカル駅も様変わりしました。

 

 


湿地の中にぽつんと駅舎があるようなシベリアのちいさな駅は、夢だったような。

もう、本当にモスクワが近いんですね。


そして 14時半。

 

いよいよ。

とうとう、モスクワに到着しました。

 

かなり早い時間から降りる準備をすませてしまっていたので、荷物は全部まとまっています。

嘘みたいだけど、この小さなお城を後にする時が来ました。

 

 


あっと言う間の 6日間だったような気もするし、

たった 6日とは思えないくらい、いろんなことがあったような気もする。

 

お世話になったお部屋にお礼を言って、列車を後にします。


いつも冗談めかして、わざと面倒臭そうにしながらも、わたしがしばらく部屋をあけていたら気を効かせて鍵をかけておいてくれたり、大声歌いながらトイレや車両の掃除をしていたり、ゴミを回収に来てくれたりと、こまごまと面倒をみてくれた車掌さん。6日間、本当にどうもありがとう。

 

 


そして、中国からはるばる、丘を越え山を越え、ここまで連れてきてくれた K3。

なぜか懐かしく感じる古めかしい車両は、旅の情緒を膨らませてくれました。

お疲れ様、そして、これからもがんばって、たくさんの乗客を運んであげてください。


ロシアではすでに新型車両が走っているシベリア鉄道。この路線も、いつか新型に変わってしまうのでしょうか。今回、古い車両を満喫できるうちに旅ができてよかったです。

 

駅舎に大きく掲げられた 「モスクワ」 の文字。本当に、着いちゃったんだなぁ。

 

 

 


右側の、「到着」 時刻のリストの一番上にある表示が、わたしたちが乗ってきた K3。

ПЕКИН」 で 「北京」 です。整備を終えたら K4 として北京に戻っていくのでしょう。

 

 

感傷にひたってばかりはいられません。

さーて、まずはホテルに向かって、モスクワを散策しなくては。

これから忙しくなります!

 

 

 

 

モスクワ駅 (ヤロスラブリ駅) にあったモニュメント。

線路側に 「9298」、駅舎側 に 「0」 と刻印されています。

 

 

 


実はこれ、シベリア鉄道 (ロシア号) の総走行距離。ウラジオストックからの距離かな。

わたしは北京からですが、それでも 8,000キロ弱の行程でした。



 

 

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