「クラフトマンシップの文化」を深掘りする-その22「働く喜びがなぜ深掘りされていないのか?」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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今の「学び」を「〇〇のため」で終わらせずに、「〇〇とともに」にしていくために、問題意識を教材化して、日本の教育システムで閉ざされたものを開き続けます。



今日の一日一読は本書の最後まで、「訳者あとがき、解説」でした。訳者の塚越悦子さんや解説を書いた藤原さとさんの問題意識はよくわかりましたが、教育の目線しか持っていないことに気づかされました。


クラフトマンシップを謳っていたので、日本の職人気質に通じるものがあると思っていましたが、ロン・バーガー氏も含めて期待できる内容はありませんでした。


なぜかと考えた時に、彼らはartを作る喜びとして捉える傾向が強いと感じました。その結果、美しい作品をいかに作るか、そのために教育はいかにあるべきかという論点しか出てこなかったです。


バーガー氏自身は「美」の捉え方については注意喚起していたようですが、20年前の本書の取り組みを見る限り、実際の行動レベルでは「作る喜び」に偏っていて、子どもたちに「働く喜び」を実感できるようにすることにはあまり力点が置かれていない気がしました。


しかし日本の職人育成のプロセスには、ただただ良いものを作るだけではなく、そこに自らがいかに主体的に関わり続けるか、つまり働くことそのものが一体としていると思われます。そして、働くことは単に自分のためだけではなく、関わり他者のためであったり、広がりを持った概念であると思います。


キャリア教育が見据える本質はそのあたりにあると強く感じ始めています。