「クラフトマンシップの文化」を深掘りする-その14「褒めることが自尊心向上につながらない?」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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今の「学び」を「〇〇のため」で終わらせずに、「〇〇とともに」にしていくために、問題意識を教材化して、日本の教育システムで閉ざされたものを開き続けます。



今日の一日一読は第3章「工具箱②エクセレンスを追求する学び方」の「自尊心は褒め言葉ではなく、「成し遂げる」ことで育まれる」までです。


今回の内容で興味深かったのは、バーガー氏がコンサルする学校の先生たちが思いがちなことです。

「先生たちは生徒をかばう気持ちから、防御的になりがちです。「作品の質はあまり高くないけれど、生徒たちは頑張っている」と言います。「彼らの生活はとても厳しく、住む場所をしょっちゅう変えなければならなかったり、十分なスキルがなかったりして、自信がないのです。生徒たちが質の高い作品をつくれるようになるには、まず彼らの自尊心を高めなければなりません」」(103ページ)


このような先生の心情は日本の多くの先生たちも、生徒に対して思いがちなんではないでしょうか。特に自己肯定感の低い日本人学生に対して、慎重に接することはよくあることではないでしょうか?


しかしバーガー氏はこの見解に反対だそうです。

「生徒の自尊心をまず高めて、そのあとに作品の質を高めることはできません。良い作品をつくり上げるその過程で自尊心が培われるのです。自尊心は褒められることでは育たないと私は考えています。良い作品をつくれずに悩んでいる生徒や、いい加減な作品を提出してくる生徒は、自分の作品の出来が良くないことを知っており、褒め言葉は真摯に響かないのです。いくら褒め言葉を尽くして彼らの自尊心を高めようとしても、生徒自身

が「これは価値があるものだ」と思えることをしない限り、自尊心は芽生えません。」(103-104ページ)


この考え方は生徒に対して、決して優しいものではないかもしれませんが、長い目でみれば、一番優しい考え方だと言えます。今だけ褒められて、煽られても、学校を離れれば、何も活かす手がないからです。学校外で自尊心をまた傷つけられて、いっそう学校に依存するだけだと思われるからです。


真に自立するようになるには、徹底的に自分自身で自信が持てるまで関わり続けることをバーガー氏がしているとすれば、すごく興味深いです。