文科省のキャリア教育を深掘る-その60「キャリアパスポートの何が新しいのか?」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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今の「学び」を「〇〇のため」で終わらせずに、「〇〇とともに」にしていくために、問題意識を教材化して、日本の教育システムで閉ざされたものを開き続けます。



2月29日の一読は第4章の続きで、「第5節 「キャリア・パスポート」の活用とキャリア・カウンセリング」の途中までです。ここで小学校や中学校でも出てきたキャリア・パスポートが取り上げられていましたが、高校生ならではの新規性は見当たりませんでした。


にもかかわらず、本報告書ではキャリア・パスポートの目的と定義を示した後に以下のように書いてあったことが謎で仕方がありません。

「ここで重要なことは、「キャリア・パスポート」が、これまで日本の学校教育おいて長年にわたって実践・活用されてきた「新年の抱負を漢字一文字で表そう」「最終学年としてこの1年の計画を立てよう」などのワークシート(=今後の自らの学習状況やキャリア形成を見通すための活動とその記録)や,「1 学期を振り返って」 「私がインターンシップを通して学んだこと」 などのワークシート(自らの学習状況やキャリア形成を振り返る活動とその記録) と,軌を一にするものであることだろう。「キャリア・パスポート」は、新しい学習指導要領が突然もたらした新奇な教育活動ではない。その一方で、「キャリア・ パスポート」は、「小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について」 継続して蓄積する, すなわち、小学校・中学校・高等学校等の学年・校種間で引き継がれながら活用される点は、これまで とは大きく異なる。」(112ページ)


このように指摘するからには、明確な違いが示せているはずなのですが、私は見出すことができませんでした。過去の日本の教育と比較して文科省の進めるキャリア教育が優れていることを示すことに成功できたとしても、キャリア教育の本来的な目的に至っていない現実を無視してしまうことの問題は看過できないと感じています。