MaxFritz in Mongolia! 私のモンゴル物語Vol.4
さてと。出すべきものは引っ込んだけれど、それでもお腹は空く。だって、人間だもの(笑)。
食堂(食事用のテントね)に行くと、昨日も美味しいホーショールを作ってくれた調理スタッフの女性二人が
可愛らしい目玉焼きを作ってくれていた。火のとおし加減もバッチリなSunny side up♪
言葉は通じないけど、かわいいね、って目で会話。
早くから目覚めてお腹空き空きの隊員たちはパンに乗せてみたり、更にはBOSS持参のタルタルソースをかけてみたり、テーブルの上にあまりにもさりげなく置かれていて(驚)気付くのが遅れたキャビアを豪勢に盛ってみたり!それぞれの工夫で朝食を楽しむ。
初めてのモンゴル旅。実は食についても、とても関心のあった私。
何を隠そうなにしろ、食いしん坊なのだ。初めて訪れる異国の食に興味津々。
昨年に引き続きモンゴル2度目の隊長からいろいろと話は聞いていた。
旅の間に多く登場するであろう羊肉も問題なし。
ゲテモノの類は別として、鹿だって猪だって熊だって「美味しい♪」と食べる私ですから、特別に食に関して心配はしていなかったし、調味料その他のインスタント食品類は初めて訪れる地ゆえに「邪道かな」、と敢えて持参しなかった。
前日のお昼は、準備の時間の都合からか、おそらくはどこかで購入したと思われるハンバーガー。
夕食は前記事のホーショールやサラダの他に、なんとご飯と味噌汁まで用意してくれていた。
モンゴル料理がメインではあるけれど、日本人向けに提供してくれる配慮がありがたい。
至れり尽くせり。
食事の後は、隊長が日本から音源持参のラジオ体操!というかスマフォ体操?
各々マイペースで動きが揃っていないところがオトナのラジオ体操らしいところ(笑)
ラジオ体操が終わると何か飲み物が回ってきた。
それは噂に聞いていた馬乳酒(アイラグ)だった。
酒と名はついているものの、生では飲めない馬のお乳を飲むために発酵させたのか、その過程で発酵したのか、アルコール度数1~3%のビタミンやエネルギーの素となるいわば健康飲料で、
肉と乳製品で生きるモンゴルの遊牧民には欠かせない飲料ともいえます。が。
乳白色のそれは、日本のカルピスのヒントになったというから少しは甘味のある例えばマッコリだとか甘酒を想像していたけれど、鼻を近づけるととても酸味の強いヨーグルトのような匂いがして、ちょっぴり口に含んでみると舌先にピリりと炭酸刺激。
味というよりは鼻に抜ける匂いがどうにもダメで、「もっとアルコール度数が高かったらどうなのだろう??もっと美味しく飲めるのではないか???」などど卑しい根性など出して、ちょっと涙目になりつつ2回ほど飲んだ54歳オンナなのだった。ぷはぁ~。
ところで、この日は特別なことが待っていた。
バイクでやってきたのは、まだ若い夫婦とその間に挟まれるようにして乗っていた幼子。
目の当りにするとイベントとはとてもとても呼べない、それは神聖な儀式のようでもあった。
まだ息のある、こちらを見つめる可愛らしい目に「はたして正視できるか?」の思いも正直あったけれど、思わず引き込まれていた。
その朝まで一緒にいたであろう大切な羊を苦しまないように屠り、傷つけぬよう、大地に血の一滴も流さぬよう、黙々と、おそらくは彼にとっては日常であり、私にとっては儀式、を進める若い羊飼いにゾクリとした。
たとえば、男が狩りをし女がその命を繋いでゆく。
太古のままの大自然の中でタイムスリップをしているかのような感覚は、本能をまでも呼び覚ますのだろうか?
もっとも、途中から内臓の処理を手伝い始めた、彼より一つ年上だと照れながら話してくれた奥さんの腸を片手に!の携帯電話通話に現代に引き戻されたのだけれど(笑)。
これはその後に彼らのゲルを訪れて、納得。
ソーラーとパラボラアンテナ完備!ですからテレビだって観れちゃうのです。情報は現代。
とはいっても、キッチンもお風呂もトイレも、冷蔵庫も洗濯機もない。暮らしは古代。
どのようにそのバランスを保っているのかな?の疑問は愚問であろう、と思う。
シンプルな外観からは想像もつかない可愛さで(このゲルだけが特別ではないのだろうけれど)
300頭もの羊を飼い、生きるためにそれを売り、見事としか言いようのない手さばきでそれを屠り、とてもオトナに感じた彼の若さが垣間見えた気がして、なんだかホッとしたというのか・・・。
22歳といえばウチの末息子と同じだけど、私がモンゴルの遊牧民であったなら若い夫婦のおばあさんの年代なのだろうな・・・なんて想像してみたり、朝から古代と現代の行き来でクラクラしたけど(笑)、
本日の目的地Harhorin(ハルホリン)を目指しツーリングスタートです。
本日も晴天なり!
前日の走行でいろんな路面走行にも慣れてきたとはいえ、自分の安全速度というものを自覚しているため皆よりどうしてもちょっと遅れがちになるけれど、そこはほらオバサンの強みというか(笑)
とにかく自分の技量を過信しないことは大切なのでして。
道はあったりなかったり。「轍(わだち)がかなり深いので道が交差する地点は注意するように」と事前に言われていたとおりで、その深さもさまざま。
慣れてくるとそれもまたおもしろかったりするのだけど、とにかく皆から大きく離れてしまうと自己判断で走る道を選ばなければならない。
おそらくは一番心配していたであろう、バイク歴5年・自分の母親より年上の54歳オンナ。
そこはハハをかばうかのように隊長が状況を見ながらさりげなく前についてくれるのだった。
ありがたし。ええ、その度にホッとするハハなのでした。
さて、緊張しつつも爽快なオフロードやドッキドキの川渡りを楽しみ、これまた楽しみなランチタイム♪
ゲルではない、通りすがりの?常設の遊牧民のお宅で、同行の調理スタッフがBOSSのリクエストで作ってくれたグェモン。
日本風にいうなら羊の肉うどんといった感じであるが、
出汁をひき、灰汁をすくい、上品におすまししているかのような日本のそれとはまったく別物だった。
以前に読んだエッセイの一節を思い出し、帰国後に読み返してみた。
大草原を渡る風に鋭い冷たさが混じり始めた秋の時分。わたしはモンゴルにいた。
・・・「今夜は『黒のスープ』よ」
彼女は煙突の下で鍋に湯を沸かし、薄切りに削いだ羊肉を入れて絶えずかき混ぜ続ける。次第に肉から灰汁が出始める。それを丁寧に丁寧にかき混ぜるうちスープは次第に濃い色合いを増してゆき、わたしはなるほど「黒のスープ」の名前の意味をすっかり了解した。
「この色にならなきゃ羊の味がスープに出ないの」・・・
灰汁も大事な味のうち、おいしさのうち・・・
なるほど。日本では「丁寧に灰汁をすくう」ところを「丁寧にかき混ぜた」スープは確かに灰色に濁っていた。
そして、羊の味をそこなわない、ごくごくうすい塩味。
血の一滴も無駄にしない朝の光景を思い出す。
一切の無駄のない食事なのだと、あらためて思う。だが。しかし。
口に運べど運べど、喉を通らない。食いしん坊のこの私が・・・。
またしても朝の光景が脳裏をよぎる。
昼食に準備されたのは朝の羊ではないけれど、それでも大切に、その命をいただきたいと思うのに箸が進まない。
またまた涙目になり、半分ほどでギブアップ。
幸か不幸か、その日のランチはなんともう一皿。グラッシュという羊肉のシチューのような一皿にはご飯ものっている。
それなら食べられるのではないかと「ジャーハン、ジャーハン」と連呼し(半分という意味)、ご飯一山にしてもらった皿に手をつけるが・・・やっぱりムリ。無理やり夫に押し付けてしまった。
ところで、モンゴルの人は大食なのであろうか?たとえグェモンがリクエストであったとしても、ゆうに一人前は超える量のもう一皿が出てくる。
どこからともなく不意に現れ近づいてくる遊牧民たちは、こぞって無駄のない筋肉質の体をしていたように思うが、はて。
ウランバートル近郊でこそ丘にきれいに整備された畑を見かけたけれど、不毛のこの土地では食料はとても貴重なものであろうと思う。
これが、モンゴル流の「おもてなし」・・・ということか。なおさらに「食べねば」と思うのだが・・・。
どんなに風邪をひいたって、熱があったって、食欲だけはある私だけど・・・そういえば、なんだか気分が悪い。
休憩時間に渡されたチョコレートもまったく食べる気がしなくてポケットに入ったままだったな、と思い当たる。
外の空気を吸いに出て、積まれていた材木の上にあおむけに寝転がってみるけれど、ああ気持ち悪。
このまま、でこぼこのオフロードを走ることに不安を感じ、なんたることかついに自ら大地にリバース。
おばあさん、助けてぇ~!
気分はちょっとスッキリ。したような気がして出発したけれど・・・。
結局次の休憩で、もう一度吐いた。
朝の馬乳酒が合わなかったか?? ぷっはぁ~。
気持ちの悪さで、景色を楽しむゆとりもなし。
ただひたすらに今宵の宿営地を目指して走る、走る、走る。
・・・と、その時にこの日2度目の、まさかの不意打ちをくらうのだった。ギャ~!!
デジブック max in モンゴル!Vol.4
MaxFritz in Mongolia! 私のモンゴル物語 Vol.3
興奮の一夜が明けて。
この晩はさほど気温が下がらなかったのか寒さで目が覚めることはなかったけれど、前室のファスナーが壊れていたテントのバタバタとはためく音で何度か目を覚ました。
特別、強風ってわけじゃないけれど、なにしろ木もなく障害物の何もない世界ですから。
すっかり目が覚めたのは4時過ぎだったか。
前夜の雲の多さに、満天の星空は諦めていたけれど・・・。
テントの外に出て、夜明け前の空のグラデーションに言葉を失った。
360度を見渡せる草原の一点から刻々と紅を広げてゆく東の空。まだ闇に包まれている西の空。
夜と朝が同居しているかのような、幻想の世界。
ゴソゴソとしているうちに次々と隊員も起きだしてきては、みな、その世界に静かに感動している。
BOSS撮影 特保マークの仙台女子~’s!
全身に、いえその指先にまで、感動とよろこびがあふれているのだから。
そういえば、大事なことを書き忘れていました。
私たちが、「どこに向かっているか」ということ。
今回の“MaxFritz Route”は首都のウランバートルから西に向かうツーリング。
前日はウランバートルから真西のDashinchilen(ダシンチレン)まで走り、ハルボヘン・バルガス遺跡という都城跡のすぐ近くにキャンプを張ったのでした。
9~11世紀に、この見渡すかぎりの平原の中にあった城。
おそらくは当時と何も変わっていないであろう、太古のままの草原。
日本にも城跡はたくさんあるけれど、城跡を一歩外に出ればそこにあるのは紛れもない現代で、
一瞬にして現実に引き戻される。
けれどここは、まるでタイムスリップしたかのような不思議な世界。
いろんなことに想いを馳せ、いろんなことを感じ、少しづつ明けてゆく空を眺めつつ
私のとった行動は「そうだ!ホントの青空トイレに行こう。」だった。これもロマン(笑)
ちょうど遺跡が土手に囲まれて小高くなっているため、テントサイトからの視線は遮られる。
ヤっさんに「誰かが来そうになったら待っててもらってね」と告げて土手を下ったら、隊員一のロマン派ミワさんが遺跡散歩をしていたのだけど、その彼も遠くに小さく見えているし、幸いにも丈の長い草が生い茂っているし。
明け行く空を眺めながら用を足す、って、なんて爽快だろう(笑)
などと思いつつ、思いきりよくパンツ(いわゆるズボンの方ね)を下げた瞬間。
えっ?・・・・・何かが来る!!こんな大自然の中では神経というか感覚も研ぎ澄まされるのだろうか。
何かの気配を感じ、まだ闇に包まれている西方向から土手を駆け下りてくる何か・・・に目をこらす。
と、そこに現れたのは馬に乗って駆けて来た男性だった。それはあまりにも突然でヤッさんも唖然と見送ったらしい。
一方私はといえば、びっくりしたあまり出るものも引っ込み、慌ててパンツ(ズボンの方ね、笑)を上げたけど
「そんなの関係ねぇ」のだ(笑)、まるで過去から駆けてきたかのような馬上の人には。
悠然と馬に跨りもう一方の土手を駆け上り、いかにもいつもの場所で・・といった風情で朝陽のシルエットとなった。
やっぱりロマンだね、びっくりしたけど(笑)。
こんな光景は見慣れているのであろう、陽が昇り淡々と動き始めたサポートスタッフ。
今日もお世話になりますね。
朝の不意打ちから始まる・・・長い長い一日が始まるのだった。
MaxFritz in Mongolia! 私のモンゴル物語Vol.2
迂闊にも今週は、つい風邪をひき熱を出してしまったみっちょんでございます。
通称モンゴル熱とかモンゴル症候群とか・・・の熱は隊員もあちらこちらで冷めやらぬ様子ですが(笑)。
さてさて、今回のモンゴルツーリングのメンバーはといいますと
言いだしっぺの隊長MaxFritz仙台店長 通称テンチョー(参加最年少!笑)昨年に続き2度目のモンゴル
陰の隊長?所謂ケツ持ち MaxFritzシャチョー 通称BOSS モンゴルは7度目のモンゴル熱重症患者
隊員
神戸店から参加のH氏通称ヒッキーは決して引きこもりではなく(笑)健全なるビーバー隊長!
東京店からのK女史は、曰く「エクアドルツーリングに参加のつもりがボツになったので」の2年連続参加 通称マダムはほぼ毎年世界をツーリングの・・・これは何病?笑
仙台店から参加の男子は
長岡在住のM氏通称つければ良かったね・・ヤッキーって変?(笑)通称はミワさんで 仕事柄海外経験の豊富さで何かと助けられたロマン派 いつも人数確認してくれたね
G氏が通称アッキーなものだから何かと「○ッキー」になるわけで「男になる!」決意で参加した?今回の旅で知った高所好きなアッキー
妻の夢に巻き込まれ、とある酒場で「(BOSS)ヤッさんが行くんならしょうがないっかぁ~」「(ヤッさん)BOSSが行くんなら俺も行く!」と、お互いのせいにしながら参加を決めた夫はもうすでにモンゴルの虜に・・・通称ヤッさん(参加最高齢!汗)
一方、モンジョになる覚悟を決めた仙台店女子~’sは
ええ、ほぼ不眠不休で?その華奢なカラダで九州まで走ってしまうタフさも持ち合わせる!!7年越しの夢をかなえた通称SALLYさんは今回もタフネス!
ご主人Kっちゃんから「7キロ痩せたら行っていいぞ!」と言われたとか言われないとか・・・結局行きの新幹線で「やっぱモンゴルで痩せる!」(笑)と宣言のムードメーカー通称しのちゃん
ビビり加減が一番私に近いかな?な彼女はこの日のために泥んこレースにも挑み無事完走!今回は苦手な「肉」にも果敢に挑戦!!の実は大胆なチャレンジャー通称ユミちゃん
う~む。こうやってみると自分のことは一番書けないな・・・な、みんなのハハ、美味しいもののためならば!な通称みっちょんこと私。行きたくない!と思えば思うほどそこに行っちゃうアマノジャク?好奇心旺盛ということで(笑) モンゴルは行きたいっ!!での参加です、素直に。参加最高齢オンナ。
話はちょっと戻って。
前夜に泊まったウランバートルのホテルからツーリングのスタート地点まではマイクロバス移動。
ウランバートル市内の恐ろしい交通マナーと渋滞とその中を縫うように渡る人々(ある意味車より恐ろしい)を抜けて郊外に出ると、もうゲルが見えてきます。馬に乗る人もちらほらと。
荷積みの甘かったトランクに時折隊チョーとしのちゃんが襲われワーワー叫びつつも、変わりゆく風景に「早く走りたい!」と逸るキモチはみな一緒。
での、スタート地点到着!だったわけです。もうソワソワわくわくウルウル♪
けれども、ここでちょっと問題が・・・。
これからの4日間を共にするセロー225。
数台がご機嫌ななめでして、これからの道先案内人でありバイクのことならなんでもござれ!のヂチゲとBOSSとで、ご機嫌取り。
もう一台のサポートカーであるランクルも未到着だという(汗)
準備の悪さで出発時間が1時間以上も遅れたらどうだろう。この状況が日本だったらきっとイライラ。
けれども、ここはモンゴル!最初はちょっとアレっ?と思ったけれど、大海原といってもいいような草原に放り出されると、そんな自分が恥ずかしくなる。
太陽とともに寝起きをして、羊とともに移動する。
大自然とともに生きる遊牧民の血が流れるモンゴルの人々には悠然とした時間が流れている。のだと思う。
過酷な自然を相手にすると「なんくるないさ~」とか「しょうがないっしょ~」といった、やはり日本でも厳しい自然の地のコトバが頭にうかぶ。
そう、何時何分何秒・・・だなんて。スケールの大きい自然の中では「そんなの関係ねぇ」(笑)のだ。
さてさて、曇り空のもとやっと出発!
写真に見えている舗装路を横断したら、もうオフロードの始まり。
舗装路もあるけど、わざわざオフロードを行く、そういうツーリングですから(笑)。
ビビりな私はヂチゲに続くマダムの後ろに付く。
なにしろ出発前に受けた注意事項に「先導バイクの後を走行していただければ、技術的な問題を除き、走行路面の原因による転倒怪我はほとんどありません。」とありましたので、ね。
技術的な問題’というくだりがいささかモンダイではありますが・・・。
これまで世界各地で武勇伝を遺してきたマダムは「もう絶対怪我しない!」の誓いでのトップ。
スタンディングは苦手なの~、と言っていたマダムが立ち上がる時は要注意!マダムの的確な走りには助けられました。
とはいえ、スタートから草原に到達するまで・・・今思えばちょっとの距離だったのだろうけれど、ゴロゴロと石の転がる道なき道に「ええ~っ!こんなとこ走るの!?」と緊張する私。
ええ、ええ、なにしろ林道では行きたくない側溝にはまり、泥んこレースのコブコブでコケる私ですから・・・こんな私来て良かったの?こんな道を4日間走り通せるの?と不安がよぎる。胃の縮む思い。はぁ~。
案の定、途中で深い轍から抜け出せなくなり隊チョーにヘルプしてもらった次第。

けれども。やっと出た草原!丘!に、ヘルメットの中の顔も思わずほころぶ。
やっぱり、オンナ心と秋の空!なのだ。
いつの間にやら広がった青空に吸い込まれていくかのように思い思いに丘を駆け上るバイク!
想像していた世界が広がった。
バイクの群れに挑発されたかのように突然近くで並走を始めた馬の群れ。
遠くにポツリポツリと佇むゲル。
あるのは果てしない草原の緑と、その中を縫うように走る道の茶と、空の青と、雲とゲルの白。
この4色だけで構成されたかのような世界。
見上げるほどに濃度を増す空のグラデーション。
・・・そうだ、この蒼を見たかったのだ!
という具合にいちいち感動する、54歳オンナ。
といっても陽のあるうちにキャンプ地につかねばならない。だけど。
スタートが遅れようとランチタイムは悠々と。そう、ここはモンゴル、なのだから(笑)。
急がねば~急がねば~♪
お昼前にやっとスタートしたこの日の走行距離は240㎞ほどだったか?
スピードメーターも見なかったけれど後で撮影時刻を確認すると、休憩時間を除いた4時間半ほどでこの距離を走ったことになる。間に合わない!ということで最後は少しオンロードだったけれど。
つまずきはあったものの、走ったこともないスピードでのオフロードで一度も転ばなかった自分にまたまた感動な、54歳オンナなのだった。
まだ始まったばかりのオフロードの旅だというのに、もう完走したかのような達成感と興奮と幸福感に包まれる。
あちらで誰かがコケっと、こちらで誰かがコテっと、そんなこともあったけど、大きなケガのなかった今日の日に、バイクと仲間に、モンゴルの大地に、トクトーイ!!(乾杯!)
キャンプ地に到着した5時半頃には日が傾き始め、といっても完全に陽が落ちたのは8時過ぎ。

じわりじわりと漆黒の闇に包まれ、気が付けばこのキャンプと月あかりだけが煌々と光っていた。
生地から捏ねて作ってくれたホーショール(羊肉の揚げ餃子といえばよいだろうか)に舌鼓をうち、
天と地と、あるいは快く送り出してくれた家族に、あるいは旅のチャンスをくれた仲間に、
それぞれの想いで感謝を捧げながら何度も回ってきたアルヒ(モンゴルウォッカ)の沁みること沁みること。
けれども、まだ旅は始まったばかりなのだ。
シュラフに潜り込み、髪から漂う乾いた土とハーブの匂いに包まれながら闇に吸い込まれた。
※走行写真はBOSS、集合写真はヤっさん提供















































