【書籍紹介】「喰い尽くされるアフリカ」(トム・バージェス 集英社) | 三原朝彦 ~あさやんブログ~

三原朝彦 ~あさやんブログ~

前衆議院議員
自由民主党福岡県第九選挙区支部長のブログです。

 今夏はTICADⅥ(東京国際アフリカ開発会議)が初めてアフリカはケニアの首都ナイロビで開かれました。必ず夏には時間と資金を捻出してアフリカ視察を実行する私としては絶好の機会ですから勿論当該会議に参加しました。

 

 アフリカの自立を助ける我国日本としてはナイロビ会議成功の為、外務省やJICA(国際協力機構)の人達が手伝い役として多数出張し、アフリカ時間(つまり遅延)が度々生じて各種の会議が行われた事は致し方無いものの、それ以外では各国の首脳が一堂に会し、真剣に意見交換が行われ、私もアフリカの変化を強く感じることが出来ました。

 

 丁度TICADⅥの開催の時宜を得て新聞の書評に載っていたのがこの本「喰い尽くされるアフリカ」(トム・バージェス 集英社)です。この一冊を帯同してアフリカの旅に出発しました。今回の旅の目的はTICADⅥ参加とその後西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアのエボラ病罹災三国を訪ね、それらの衛生環境、医療事情を視察することでした。又その後に西アフリカでは比較的開発が進んで来ているセネガルも事情聴取をしました。

 

 と言うことで本の議論の中心主題である地下資源の採掘と資源国の変化、更には資源開発投資国の思惑とは視点を異にする私の旅ではありましたが、リベリア、シエラレオネ、ギニア三国共この本では不幸の典型例として記されています。先づはこの本で私は学び、いづれ機会を得て、投資国(特に中国)のアフリカでの資源の収奪と、資源売却後の利益の行方にからむ資源国国内の混乱や不正義にも眼を注ぎたいと思いますし、この本を読めば良心のある読者なら誰でも大いに義憤を感じる筈です。


 アフリカはオーナーシップを求めて来ました。つまり自らの足で立ち、自らの能力で国造りをやろうと決意しました。古くは1950年代の後半から独立国が生まれ、植民地の軛を解き、自らの力で国の開発を目指して来ましたが、国民の教育水準は低く、故に開発技術に欠け、資本が無い為に埋もれた地下資源を自ら掘出す事が出来ません。手取り早くこの資源を国造りに活用する方法は外国の技術と資金を導入して、開発された資源を売って先づは外貨を稼ぎ、その収入を基に国造りの為の優先順位を定めて適切に貴重な外貨を使用することです。


 所がお金が絡むことなので資源保有国の指導者達と投資国側の事業化との間で常に表に出せない儲け話があるのです。石油、ガス、鉄、銅、金、ダイヤモンド、いづれの産品も何時どれだけ産出され、誰がその利益を得たのか判然としない事実がずっと続いて今日迄来ています。売買収益がきちんと当該国の国庫に収められていて、適切に使用されていたならば、ナイジェリアは、アンゴラは、ガボンは、シエラレオネは、ギニアは可成り成長した国家である筈なのです。所がより多く資源で外貨を得る国程、貧富の差が生じ、国が乱れると著者は嘆くのです。正義感に揺り動かされ、模範的ジャーナリストとして現場主義に徹し、より多くの事情関係者に会う努力は誠に見上げたものです。資源に恵まれた許りに不幸に直面するアフリカ諸国の苦悩を赤裸々に述べてくれる臨場感溢れる本です。