『魔女と野獣』と同じく、今期覇権とはいかないけれど、通好みの『メタリックルージュ』。
『ブレードランナー』『トータル・リコール』など、往年の名作映画のオマージュともいえる本作は、アニオタじゃなくて、映画好きのハートを打ち抜いているのでは。
(というか視聴者が『ブレードランナー』を履修してる前提で制作してる気がする)
美少女は出てくるけれど、全身メカニックスーツで色気はゼロ。
セクシーなおねーさんは登場するものの、下品な感じはしない。
目指すべきテーマも「自我の在処」「自我の確立」で、哲学的。
俗っぽいものを捨て去った硬派な作りが好印象。
ジャンプアニメによくある説明台詞もないので、事態を把握するには会話と映像から推察するしかないんだけど、それがまたマニア心をくすぐるのですよ。
なんでもかんでも説明すればいいってもんじゃないものね。
意図を読み解こうとする力、大事。
今週は謎の人形師に侵入されて、ルジュの記憶が混濁する場面が印象的だった。
羽化する蝶はルジュの自意識、道化の仮面と兄はルジュを懐柔しようとする人形師。
母である科学者の映像にノイズが走っていたのは、何を示唆しているのか。
洋画のオマージュなので、役者さんの演技もリアル寄り。
興津さんの演技を聞いてるだけで、声マニアとしては滾るしかねえ!
バトル面では、この道化師少女との応酬がめちゃくちゃ気合入ってて、見ごたえたっぷりだった。
3DCGが主流になっている昨今、2Dの作画の戦闘シーンがよく動くというケースが少なくなってきているので、こいつは懐古厨にありがたい作品です。