冬の新番組それなりに楽しんでるんですけど、ラブコメ成分が足りず、物足りなく感じてるので、『大正オトメ御伽話』を見返してキュンキュンしてます。
珠ユヅ相変わらず癒されるわ~。
2021年一、二を争うベストカップル。
改めて聞き返すと、会沢嬢の声のトーンと演技いいッスね。
さて、今回は久しぶりに読書感想をば。
リアルが忙しくて一カ月間の読破数はかなり減ったんですが、読書はちまちま継続してます。
直近で読んだのは以下の通り。
吉川トリコ『余命一年、男をかう』
白川 紺子『後宮の烏』6巻
米澤 穂信『Iの悲劇』
高殿 円『トッカン 徴収ロワイヤル』
原田 ひ香『三千円の使い方』
三浦しをん『風が強く吹いている』
京極 夏彦『今昔百鬼拾遺―河童』
京極 夏彦『今昔百鬼拾遺―鬼』
京極 夏彦『今昔百鬼拾遺―天狗』
太田 忠司『和菓子迷宮をぐるぐると』
斜線堂有紀『恋に至る病』
真梨 幸子『お引っ越し』
半年分の読書量なので、一カ月に2冊読んでる計算かな。
アニメ化が決まった『後宮の烏』を除くと、印象に残ったのは『余命一年』と『Iの悲劇』『三千円の使い方』。
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吉川トリコ『余命一年、男をかう』(講談社)
久しぶりに買った単行本。
文庫化を待てないぐらい一ページ目のインパクトは私に抗いがたい期待感をもたらした。
『植物図鑑』のように、空から美形が降って落ちてくるというラブコメ…なわけがなかった。
吉川先生は既存の価値観やジェンダーに対して鋭く切り込んでくる御仁。
今作でも、女は男に養われるもの、プロポーズは男からするもの、結婚は愛を前提に行うものという空虚な「当たり前」にすぱすぱメスを入れてくる。
吉川先生といい、高殿先生といい、一切の装飾なく語られる女性の本音は清々しくて心地よい(男性は耳に痛いかもしれんがね)。
一番素敵なのは唯と瀬名の関係性。
初めはお金で繋がって、次は「末期の水」で繋がって、最後は形容するのが惜しまれるような「何か」で繋がる二人。
ヒーローの瀬名はチャラいが、実は人をよく見ていて、胸に熱いものを秘めている。
ああ言えばこう言う主人公の唯の性格は賛否両論あるだろうけど、私はすごく好きなタイプ。
口の悪さは寂しさの裏返しだし、不安の表れ。弱さを見せかけの強さで覆い隠そうとする女性は可愛い。
既存の女性性を押し付けてくる義母に対して「子宮を失っても私が女であることには変わりない」の一言は至言。
病気であっけなく死にたい唯と、唯に生きて欲しいという願いから苛立ちを覚える瀬名。
水と油のような二人がお金を介して関係を持ち、対立し、最終的に意地の張り合いを止めて共に過ごす様になっていく過程を読んでいると、切なさ、愛おしさなど、いろんな感情が溢れてきて止まらなかった。
アラサーとホストだっていい。
お金で始まる関係だっていい。
周りなんて関係ない。
自分達がしたいようにすればいい――そんなことを教えてくれた二人だった。
原田 ひ香『三千円の使い方』(中公文庫)
この先生の作品は初見。
ある一家の女性四人プラス知己の男性、合計5人の視点で語られるお金と家族に関する物語。章ごとに完結してるのでオムニバスとしても読めるし、各章ごとに繋がりもあるので連作としても読める。
読みやすい文体でサクッと読めた。
この歳には預金がいくらあって~、だとか、iDECOでアレコレを資産運用するのがお得だとか、なんかもう耳に痛い単語が出てくる出てくる。ひえー。
こういう現実的な話題をテーマにしている作品を読んでると、妙に焦りはじめるんだよね。
節約というリアルなネタがテーマの作品だけど、登場する女性陣はみな朗らかな人ばかりなので、女性同士のおっかない争いは(一部を除き)なし。
保護犬のために一軒家購入という目標を定めて貯金を始める次女、預金はあるものの今後に不安を覚えて働きに出始める祖母の話が印象に残った。
お祖母ちゃんが上品かつアクティブなお人柄で、20歳も年下の男性と園芸友達になれてしまうほど魅力的な人。
二回りも年下の男性に「可愛い人だな」と思われるなんて、若い頃はさぞもてたんだろうなあ。
ラスト、婚約者の返済金の問題を両親があっさり肩代わりしてしまったのはちょっと拍子抜け。
できれば次女と二人で苦難を乗り越えてほしかったかも。
ともあれ、自分も節約しなくちゃという気持ちにさせられる一作でした。
各章のその後の展開が気になる。