「記憶をなくした僕」から「記憶を取り戻した俺」へ―――――。
うわああああああああん、みなとぉおおおおおおお!!
日本一へ至るための居場所を失い、残されたのは名前も知らない仲間。
妹には密かに「記憶をなくした僕」を求められ、アイデンティティが揺らぐ今の湊をほんの少しすくい上げたのは、見たこともない自分からのメッセージ。
まさか、みなと(記憶をなくした僕)が自分の消失を予感して、ビデオレターを残していたとはねえ。
ビデオレターに映るみなと(記憶をなくした僕)の姿が目に入った時点で涙腺危なかったのに、山南高校のメンバー紹介が始まったところで、もう号泣。
事故で全てを失った努力家がもう一度愛した球技に打ち込むというのは王道の展開だけど、ただ記憶とスキルを失うんじゃなくて、喪失の間の空白期間に別の人格が割り込んでいて、それが一層切なさをかき立てているのが本作のすごいところだよなあ。
みなと(記憶を取り戻した俺)を動かしたのはかつてのコーチでもなく、現チームメイトのストーカー眼鏡栄太郎(呼び出し方がもはや恐喝)でもなく、「見たことない自分」っていうのがとにかく熱い。
日本一になりたいからアイツらを利用してやるまでだ、と悪ぶっているけれど、みなと(記憶を取り戻した俺)もだいぶ山南メンバーに心動かされているようだし、これはこのまま「記憶をなくした」みなとに戻らずに、「記憶を取り戻した」みなとのままで山南メンバーと再び絆を育むんだろうか。
まあ、あの意地の張り具合を見る限り、あとひと山ふた山ありあそうだけどねー。
しかし、あのワンマンみなとも決して彼の本質ではなく、かつてのコーチの期待に応えるために努力で作り上げたものだったと考えると、決して、記憶を取り戻した俺≠記憶をなくした僕って訳でもないんだろうな。
サブタイトルにもあるように「俺はずっと俺なんだよ」ってことなんだろう。
あ、どーでもいいことなんですが、みなと(記憶をなくした僕)の網浜くんに対するコメントが「見守ってあげて♪」だったのに笑った。
しも半身ってなんだ下半身だろ(笑)