イヌマエル…。
なんかもうこの一言に尽きる。
ゲームの20年前を描いた作品だと聞いていたので、
たぶんこうなるだろうなあ、という着地点に無事着地してくれました。
1話と最終話を比べるとイヌマエルの雰囲気がまるで違う。
偶然の不運に巻き込まれて人を殺めてしまい、
その後は多くの出会いと苦難、悲劇を乗り越え、
最終的には枷を背負っていく流離人になってしまった。
その姿は頼もしくもあるが、彼のもとの人となりを想うと悲しくもある。
イヌマエルが何かを悟ったような、阿部さんの演技がまた胸にグッとくるんだよ。
一方、ゲームのメインキャラであるレオくんは、ちょっと存在感が薄かったかな。
愛用の獲物の入手過程と顔の傷の由来が描かれたのは、ゲームファンには嬉しいところかもしれないけど、ダブル主役というにはレオくんの活躍はかなり後半になってからで、イヌマエルと比べると成長性も乏しい。
でも、「兄貴分の死を吹っ切る」のが彼の命題だったのだとしたら、
イヌマエルを許すことで、それは見事果たしたんだろう。
密輸組織のメンバーが生きてた(我輩はベンさんが好き)のは良かったけど、
その後、彼らはどこへ消えたのか。
ゲームは20年後なので、密輸組織の面々もまだ生きてる可能性が高いし、
そこの辺りはゲームをプレイしてってことなのかな?
最終回は戦闘シーンがよく動いてた。
11話に続き、BGMも印象的だった。サントラ欲しいなあ。
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イケメン揃いなわけでもなく、美少女揃いなわけでもなく、
アクション主体でも、異世界転生するわけでも、ラッキースケベがあるわけでもない
昨今珍しいシックな雰囲気の世界観とストーリーだった。
今どきのアニヲタ受けが良さそうな要素はないのに、
それでも続きが気になってみてしまうのは、監督とスタッフの手腕のなせる技なのだろうか。
単純に善か悪かだけで終わらせない話運びも渋くて好みだったなあ。
特にヘルマン隊長の存在は、キャラ的にも演技的にもインパクトが強かった。
それだけに、隊長死亡後は面白さが若干減速してしまったのが残念。
隊長はラスボスになると思ってたのに…。
中の人では、やっぱりイヌマエル役の阿部さんの演技が随一。
毎回、感情豊かなイヌマエルの喜怒哀楽を阿部さんが感情をたっぷり乗せて演じてるのを視聴するのも本作の楽しみの一つだった。
小野友樹さんの少年役はめったにお目にかかれないので新鮮だったし、
コンラッド役の興津さんも「食わせ者なのにいい兄貴分」という絶妙な味を出しててグッド!
あと、我輩、ベンさんも好きなのよ…。
加えて、忘れちゃならないのがBGMね。
とりわけ終盤の荘厳なBGM。
音楽担当は誰かと思ったら、横山克さんだった。俺得。
スタッフ及び演者の皆様、1クールお疲れ様でした。
叶うならその後の物語も見てみたい。
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評価 (★:1点、5点満点)
シナリオ ★★★★☆
キャラクター ★★★☆☆
演出・テンポ ★★★★☆
作画・美術 ★★★☆☆
音楽 ★★★★★
総合 ★★★☆☆
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