「日本語歌詞つきの音楽に狭く浅く接しているブログ主が、心に留まった歌詞を紹介し、思わぬ魅力やそこに秘められた意味を浮き彫りにしたい」シリーズの19回目です。
今回は、井上昌己 さんの「どんなふうにこの夜は終わるのだろう」 という曲です。
作詞が松井五郎氏でなければ注目しなかったかも(権威主義w)。
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リリース時期:1990年
初めて聴いた時期:2023年
作詞 : 松井五郎
作曲 : 中崎英也
改行というか、パラグラフが実際の歌唱内容と違うので、勝手にブロック化してみました。色の違いは、1コーラス目、2コーラス目、・・・です。
歌詞を見れば、ある夜 男女が結ばれるか否かの機微をテーマにしていることがわかると思います。
松井氏あるあるで、簡単な漢字で書ける言葉が ひらがなだったりもしますが、舞台は夜のドライブデート。
1990年ごろは、若者がまだ車好きだった時代。
何度も「なんども」という歌詞が登場します。
何度もしたことは・・・
・ため息をつく
・何か言いかける
・視線を合わせる
・微笑みかける
・髪をかき分ける
・ラジオをつける
・名前を呼ぶ
・時間を確かめる
・エンジンをかける
車でデートしながら、
場所を変えながら、
言葉を交わしながら(口説きながら)、
例えば「ホテルいく?」と言うことのいかに難しいことか。
できれば日付が変わるまでには、今日するかどうか結論出したいよね。
独身時代、実家暮らし&車を持っていた
中年世代には共感できるところが多いのでは?
安全地帯のLa-La-La
でも書きましたが、松井五郎さんの歌詞はあくまで抽象的。
生々しい言葉は冒頭の「Kiss」くらい。
「ゆびさきの永遠」とか「月の輝きが心まで届く」とか、
小学生でも知っている言葉なのに、言葉の"組み合わせ"と"流れ"で、深い臨場感が生まれています。
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この曲は、井上昌己さんの3rdアルバム『matiere』に収録されています。
このアルバム、作曲陣は
- 安部恭弘
- 崎谷健次郎
- 佐藤竹善
- 中崎英也
- 羽田一郎
- 上田知華
- 本人
他の曲にもいくつか短くコメントさせてください。
( )内は作曲者。
1.「星空からのエレベーター」 (安部恭弘)
羽田空港へ着陸する飛行機をエレベーターに喩えています。彼女が飛行機に乗っているのか、地上にいるのか、どちらとも受け取れそう。
2.「神様のミステイク」 (崎谷健次郎)
友だちの彼氏を略奪してしまう内容を、爽やかな曲調で歌いつつ、ちょっと後ろめたさを漂わせる曲。
3.「アドレスのないOne Room」 (佐藤竹善)
失恋と引っ越しを経験した彼女。佐藤竹善らしい明るいメロディーに乗せながら、まだ未練があり、「夢で逢い来るくらいは許してあげてもいい」と強がってみせるところがいい。
4.「どんなふうにこの夜は終わるのだろう」 (中崎英也)
今回はこの曲を取り上げました
5.「世界にひとつだけの涙」 (安部恭弘)
愛する人と結ばれているのに、不安もある。感極まって涙が出る。たぶん男性より女性にしかわからない気持ち。
6.「Tokyo夏休み」 (羽田一郎)
今井美樹の「Tokyo8月サングラス」に通じるものあり。夏休みにみんなは「トランクに忙しさをつめこんで」どこかへ・・・。
「遠い場所にばかり楽しいことがあるなんて限らない」からの盛り上がりが最高。
10.「matiere 21」 (上田知華)
アルバムタイトルでもある「matiere」はフランス語。英語でいうとマテリアル、つまり素材。21とは彼女の年齢でしょう。21歳になった女性のありのままを・・・受け止めたい。アルバムの中でもっとも艶っぽい内容の曲。
アルバムで本人を除けば唯一の、女性作曲家。
お亡くなりになった上田知華さん、彼女ほど女性ボーカリストに必要とされたメロディーメーカーを他に知らない。
井上昌己さんは、1994〜1997年頃によく聴きていました。
どんなところが魅力だったのか、それは難しい問いだったりします。
アイドルではないし、かと言ってMISIAのような本格派でもない。
おそらく、ちょっと悪そうな雰囲気があるところが彼女最大の魅力なのかもしれません。
当時は可能な範囲で過去アルバムも聴こうとしましたが、遡ったのは1992年発売の「彼女が泣いた夜」まででした。
やっと昨年くらいにサブスクで聴けるようになったので未聴だった5枚のアルバムを聴きました。
そのなかでこの「matiere」がとても気に入り、ネットで中古CDを購入してしまいました。
ジャケットや歌詞カードはシンプルでした。
写真はあまりなく、ここに掲載するものだけ。
松井五郎さんへ支払う報酬が高すぎて、アートに予算を割けなかったのかもしれませんね。
アルバム全曲のYoutube