「日本語歌詞つきの音楽に狭く浅く接しているブログ主が、心に留まった歌詞を紹介し、思わぬ魅力やそこに秘められた意味を浮き彫りにしたい」シリーズの9回目です。
( 著作権については、『こちら』に基いています )
今回は、安全地帯の 「La-La-La」という曲です。
先日農作業しながら聴いていたラジオ(NHKのらじるラボ)に、
作詞された松井五郎さんが電話でゲスト出演されていました。
世の中は今コロナで大変なときですが、あえて書いてみます。
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リリース時期:1984年
初めてちゃんと聴いた時期:1987年
作詞:松井五郎
作曲:玉置浩二
挨拶はモノクロームで
あなたの背中を誘う
扉をあけたまま
風の匂いをみて
愛しあえるのなら
さみしいことはない
さむい夜には ふたり 胸をあわせ
ペディキュアの色 決めるのは
おたがいの感じかたで
迷わずにいられる
はげしさとやさしさ
無理をしないのなら
毎日はたやすい
雨が降る日は 何も おこさないで
謎めいたパントマイムに
あなたの憂鬱は消える
陽ざしに閉じこめた
果実の彩りで
愛しあえるのなら
さみしいことはない
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1984年5月発売の「安全地帯Ⅱ」というアルバムの最後の曲です。
著名な作詞家はいくらでもいるけれど、楽曲から興味をもって作詞家を意識したのは
松井五郎さんが初めてでした。
この「La-La-La」は
リリースされてから3年後くらいに聴くことになりましたが、
中学生だった自分にはとても不思議な曲として感じられました。
大人っぽいと言ってもいいし、謎の多い、魅惑的な印象でした。
自分のイメージはこんな感じかも
大人になった今でも、安全地帯で一番好きな曲です。
前述のラジオでは、「安全地帯の曲は1コーラスが短いので作詞が難しかった」
とおっしゃっていましたが、松井五郎さんといえば、言葉の魔術師。
具体的なことを述べずに、抽象的な(訳のわからん)歌詞を書く能力がずば抜けて凄い。
例えば、最後の部分
「陽ざしに閉じ込めた果実の彩りで」
ですが、
「陽ざしを」ならとてもイメージが湧きますが、
「陽ざしに」と言われると途端に難しくなります。
そういう抽象的な表現が曲全体を支配していて
玉置浩二さんのメロディーとボーカルとの相乗効果もあり、
自分にとっては一生忘れられない曲になりました。
のちに「悲しみにさよなら」が大ヒットするお二人ですが
優れた才能が既にこの曲およびアルバム全体で遺憾なく発揮されていたと思います。
ところで、
安全地帯には井上陽水さん作詞で世に出た「恋の予感」という有名な曲がありますが、
当時、松井さんも同じ曲に歌詞をつけたそうですが採用されなかったそうです。
松井さんバージョンは、どんなタイトルで、どんな歌詞と世界観だったのでしょう・・・
聴いてみたいものです。
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2021.5.7 追記
松井五郎さんのtwitterに、かなり関連性があるツイートがありました。
比喩的
— Goro Matsui Works (@GML2014) May 3, 2021
暗喩的な
歌詞を
歌うのは
勇気がいる
わかりにくいと
言われるのは怖い
その意味で
玉置浩二の
キャパシティは
制限がない
彼が歌えば
体温と鼓動が
生まれ
レトリックよりも
感覚で
歌が響くからだ
すごく納得です。