2016年2月に読んだ本 | ちわ☆わんつーmemory 

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日々の忘れたくないこと

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:10冊




石の記憶 (文春文庫)
ーあらすじ・内容紹介ー
土地の記憶を読み取る霊能力者・火明継比古により、秋田県鹿角市の大湯ストーンサークルに残された太古の記憶が解き放たれる表題作ほか、道に迷い母親が自殺した別荘に辿り着いてしまった男の恐怖を描いた「母の死んだ家」や、盛岡の裏長屋を舞台にした幽霊譚「玄関の人」など、珠玉の伝奇&ホラー作品集。

感想
この作品が日の目を見た経緯が解説にもありますが、20年前に高橋さんが日本47都道府県のそれぞれを時代・場所を様々な形で小説にするシリーズができるは ずでした。その1回目で選ばれた秋田県鹿角市大湯のストーンサークル。物語は原始時代。なんと宇宙人まで登場しますが、ナギとナミが伝説として残ったであ ろうというストーリー。残念なことに、このシリーズは始まってすぐ、掲載した雑誌が休刊。シリーズも途絶えました。火明継比古という土地の過去を視れる超 能力者と私である作家のシリーズです。どんな時代と場所が選ばれるはずだったのか
読了日:2月1日 著者:高橋克彦

パピヨンルージュと嵐の星 - 海賊と女王の航宙記 (C・NOVELSファンタジア) パピヨンルージュと嵐の星 - 海賊と女王の航宙記 (C・NOVELSファンタジア)
ーあらすじ・内容紹介ー
ジャスミンに遠方から連絡してきたのは、惑星ブラケリマで整備士をしているガストーネだった。渓谷競走に参加した時、世話になった相手だ。この男の依頼を受けて、エルナト宙域にある飛翔機の開発工場“テンペスタ”に出向いたジャスミン・ケリー・ダイアナたち。ここでジャスミンが試験飛行を務めるのである。 しかしたとえ試験とはいえこの3人がかかわってすんなり終わるはずがない。ブラケリマの大統領が絡む大事件が彼らの登場を待っていた!?大人が主役の舞台 が開幕―!

感想
久々に初めから終わりまでワクワクで読めました。嫌味に感じる箇所もなかったし、やはり怪獣夫婦の話がいいわ。ジャスミンもかっこよく、ケリーもね。話は単純ですが、彼らと飛翔士(フライヤー)たちとの交流も楽しい。、ジャスミン男前!いつの間にか「海賊と女王の航宙記」というシリーズ名が付いていました。 ずっとこの航宙記だけでいいと思うのですが。ここでの事件は簡単に解決してますが、裏に大きな犯罪が!? 続いて行きそうなので、ひとまず安心
読了日:2月5日 著者:茅田砂胡


質草破り 濱次お役者双六 二ます目 (講談社文庫) 質草破り 濱次お役者双六 二ます目 (講談社文庫)
ーあらすじ・内容紹介ー
芝居者が嫌いな質屋の女主人と、芝居を捨てられない三味線弾き。
ふたりの心を溶かすのは、容易じゃない。
訳ありの住人ばかりが集う、通称“烏鷺入(うろいれ)長屋”に引っ越した役者の濱次(はまじ)。その家主で質屋のおるいは、筋金入りの“芝居者嫌い”だった。ある日、金を借りに来た三味線弾きの豊路に、おるいは意外な、けれど芝居で大切な役割を担う「あるもの」を質入れしろと言う。濱次シリーズ第二弾

感想
香風の幽霊に乗り移られて、長屋を追い出された濱次。移った先は女三人に用心棒の浪人親子が住む長屋。家主は森田座の座元勘弥のいとこなのに、姉はなぜか芝居嫌い。その理由を調べるように言いつかった濱次。清助は姉の方に一目ぼれ。と今回もいろいろな状況を絡ませながらスイスイ物語は進みました。人情の機微を理解するよう師匠の差し金で移ったと思った長屋でしたが、家主の弟の方が姉の芝居嫌いをどうにかしようとした結果。いやな奴と思った三味線弾きの心根を ほぐし、役が戻って舞台に立った濱次。どう成長するのか、先が楽しみ。


読了日:2月8日 著者:田牧大和
春疾風 続・三悪人 春疾風 続・三悪人
ーあらすじ・内容紹介ー
たまには三人、手を組むか?!
遠山金四郎、鳥居耀蔵、水野忠邦――曲者三人の若き日々。
浜松藩内での忠邦打倒の動きに、金四郎、耀蔵が悪知恵を絞って掻き回す。
浜松藩では、幕閣での出世のために自ら願い出て転封した、藩主・水野忠邦打倒の不穏な動きが起きていた。江戸上屋敷に、転封の際、諫死した二本松大炊の幽霊が出るとの噂まで立っている。そこで、金四郎と耀蔵は、忠邦のため一計を案じることにする。
遠山金四郎、鳥居耀蔵、水野忠邦、後に袂を分かつことになる三人が繰り広げる、好評『三悪人』に続く、悪知恵を絞った化かし合い。

感想
三悪人、今回もよかったです。金さんの思いが最後にわかるところも憎い。今回は忠邦の家内の造反と大奥の醜聞を三人がお互い腹を探りながら収めていく。スカッとします。悪人とタイトルにも付いているだけあって、「お主も悪よのぉ」って感じなのだけど、忠邦の器量も知らず造反する家中の侍たちがばかだねぇっ て思ってしまう。そしてうまく使われてしまった小夜が哀れだけど、最後に救われた思いです。女性の作家さんだからか、女の弱さ、哀しさもしっかり盛り込まれているところが好感持てます。続いてほしい作品。
読了日:2月9日 著者:田牧大和


酔(ゑ)ひもせず 其角(きかく)と一蝶(いっちょう) 酔(ゑ)ひもせず 其角(きかく)と一蝶(いっちょう)
ーあらすじ・内容紹介ー
芭蕉の一番弟子と謳われながら、一門に馴染めない俳諧師・其角と、豪放磊落な絵師・多賀朝湖(後の英一蝶)。二人は、不思議と馬が合った。ある夜、吉原の揚屋で太鼓持ちとして宴を盛り上げていた彼らは、二人の太夫に頼みがあると呼び出される。近頃、屏風に描かれた犬が動くところを見た遊女が、次々と姿を消 している。その謎を解いてほしいというのだ。女たちを救うため、二人は奔走するが…。女たち、そして男たちの息苦しいほどの哀切を描く、著者渾身の書下ろ し時代小説!

感想
俳諧師・其角と英一蝶(先品中ではまだ暁雲)が挑む吉原の花魁たちの失踪事件。実在し、交流のあったことも分かっている二人を謎解きというフィクションで描きながら、その心の絆も描いた作品。吉原で幇間狂雲堂として座を盛り上げている、その理由を絡ませて、権力に歯向かう暁雲。狂雷堂として暁雲にくっついている其角。吉原の哀しい女たちを助ける為に謎解きをしながら、その女たちの幸せに一役買う二人。最初はどのように始まるのか分からず、一蝶が出ているだけで選んだけれど、よかったです。
読了日:2月12日 著者:田牧大和


翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目 (講談社文庫) 翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目 (講談社文庫)
ーあらすじ・内容紹介ー
大部屋女形の濱次に、まさかの引き抜き話が。天下の中村座が、思いもよらぬ好待遇で迎えたいというのだ。しかし巧い話には裏があるのが世の常で……。芸に 生きる者たちの情熱と哀切を写し出す「縁(よすが)」のほか、伝説の舞いを生んだ在りし日の有島香風(こうふう)の奔走を描く表題作など全3編。シリーズ 第三弾
「とちり蕎麦」
「縁」
「翔ぶ梅――香風昔語り」

感想
3編入ったシリーズ3作目。タイトルの「飛ぶ梅」は初代香風と若い頃の仙雀の関わったお話。メインは「縁」同じ大部屋の女形たちの個性も出てきたし、濱次への期待なども描写されて、いい仲間だと思わせる話。中村座の平九郎が早変わりの代役を濱次にさせようと意図した引き抜き。そんな平九郎もやはりそれなりの役者だったと好感を持たす終わり方。また「とちり蕎麦」も森田座の二枚目役者紀十郎がいい役者だったことで読後感もよくなります。「縁」で仙雀が勘弥に濱次は芝居が出来ればそれだけで満足なので役に拘らないのさと告げました。納得。
読了日:2月13日 著者:田牧大和


異世界居酒屋「のぶ」四杯目 異世界居酒屋「のぶ」四杯目
ーあらすじ・内容紹介ー
異世界にも醤油がある?
居酒屋の噂は海を越え
不思議な縁を運んでくる
春が来て暖かな陽が差し込むようになった居酒屋「のぶ」。昼のランチ営業がはじまったことで「ヒガワリ」の定食を求める声が上がり、いつにも増して賑わっていた。
そんな中、連合王国からやって来た遍歴商人から買った豆が、大豆であることに気づいた大将としのぶ。
こちらの世界にも醤油があるかもしれない?
海の向こうにある連合王国について調べるうちに、とある男が「のぶ」の戸を敲く……。
異世界の食材を取り入れてより美味しくなった居酒屋「のぶ」、今日も営業中!

感想
4巻目ともなると登場人物もずいぶん増えて、とうとうタイショーたちと同じように日本からこの世界に紛れ込んで来てしまった人物が現れました。それも醤油職人と言う願ったり叶ったりの人物が!見習いハンスの悩みの種だった醤油。この回を読むほどに大豆の影響力の大きさに驚きです。もしこちらの世界から日本へ 帰れなくなったら…今まで以上にリアルな問題として二人に提示されました。
読了日:2月18日 著者:蝉川夏哉


中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇 中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇
ーあらすじ・内容紹介ー

横たわる美女、片や絶讃、片や大スキャンダル!?
同様の題材や図柄なのに、その意味や世の評価は時に正反対。人気シリーズ第4弾は様々な観点から2点の絵を対決、真相を紐解きます。

麗しの王妃が二人。壮絶な不幸伝説を残すのは…!?2枚の絵を比べることではじめて見えてくることがある!
感想
対決と言葉はきついけど、同じテーマで2点の絵を比べる今回。中野さんの本は絵の知識も増えるし、歴史も勉強できるし、大好きです。今回ほとんどは違う画家の作品を比べていますが、表紙だけは同じ画家。「エリザベート」は印象的で、すぐわかりますが、私が見たのとはドレスが違っている。何点も描いたのですね。そして同じ王妃という立場での対比。読み物として面白いです。それとこの本で、どうして赤ちゃん時代のイエスがかわいく描かれていない絵が多いのかわかりました。キュピーットと天使の違いもしっかりと
読了日:2月22日 著者:中野京子


神様の御用人 (5) (メディアワークス文庫) 神様の御用人 (5) (メディアワークス文庫)
ーあらすじ・内容紹介ー
晴れて御用人の“代理”から“本採用”となった良彦。しかし待遇は今までとまったく同じらしく…。そんな良彦に、今回も神様からの容赦ない御用が降りかかる。有名すぎる日本の英雄、それに七福神の一柱まで。しかも九州へ行けって交通費も出ないのに!?おまけにあの超現実主義神職に神様が恋わずらいってどういうこと!?
もはやただの食いしん坊になりつつある狐神・黄金とともに奔走する、大人気シリーズ第5作!

感想
ライトな印象なのに深い作品で、読むたびに日本人として忘れてはいけない事と思う作品になりました。今回は有名な四柱の神様とありましたが、大地主神(おおとこぬしのかみ)ってメジャー?地鎮祭で祀られるといえば分かりやすいですが、今回出てくる邇邇芸命や倭建命、蛭子命に比べ聞きなれない女神でした。地鎮祭大事だと再認識。そして出てくる神様が皆、忘れられたために力が削がれてしまって…これ、キツイねぇ。反省します。「掃除とは神業、穢れを払い清める尊 い仕事」父親から聞いた祖父の言葉、バイトで選んだ仕事でしたがここも深い
読了日:2月24日 著者:浅葉なつ


「絶筆」で人間を読む―画家は最後に何を描いたか (NHK出版新書 469) 「絶筆」で人間を読む―画家は最後に何を描いたか
ーあらすじ・内容紹介ー
あの有名な画家――
その最後の作品を知っていますか?
ルネサンス、バロック、印象派……もう、そんな西洋絵画の解説は聞き飽き た。知りたいのは「画家は、何を描いてきたか」、そして「最後に何を描いたか」。彼らにとって、絵を描くことは目的だったのか、それとも手段だったのか ―。ボッティチェリからゴヤ、ゴッホまで、15人の画家の「絶筆」の謎に迫る。

感想
西洋絵画の画家たちを「画家と神」「画家と王」「画家と民」と3分類されていることがとてもわかりやすかった。注文主があってこそ描ける画家という職業だ と、改めて思う。またルネサンスの三代巨匠。若くして亡くなったラファエロが17歳で工房を持ち大勢の助手を使っていたとは意外。また評価にしてもミケラ ンジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチより高かったとか。読めば読むほど、知らない事がいかに多いか…ナポレオンの絵で有名なダヴィッド断頭台へむかうマ リー・アントワネットのひどい絵。権力者にこびる人間の行き先は…
読了日:2月28日 著者:中野京子

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