「熱海殺人事件」「蒲田行進曲」などで知られる劇作家、つかこうへいさん(本名・金原峰雄、韓国名・金峰雄=キム・ボンウン)が10日に肺がんのため、千葉県内の病院で死去していたことが分かった。62歳だった。遺体は現在、都内の自宅に安置され、故人の遺言により葬儀は密葬で執り行われる。
つかさんは、「飛龍伝2010 ラストプリンセス」の開幕直前の今年1月25日に肺がんを告白。千葉県鴨川市の亀田総合病院で抗がん剤治療などを続け、病床から電話で役者に演技指導するなど執念を見せていた。
関係者によると、6月に入って危篤に近い状態に。今月10日午前10時55分、家族に看取られながら、同病院で息を引き取った。
つかさんは入院中、近親者のほかにはほとんど人と面会をせず、周囲には葬儀を密葬にすることや、お別れの会などを開かないよう話していたという。
つかさんは平成6年、自宅のある東京都北区に求められて「北区つかこうへい
劇団」を旗揚げした。8月には新作「新・蒲田行進曲」の上演を控えており、病床で台本を執筆中だったという。事務所関係者によると、公演や劇団の今後の活動については「未定」という。
つかさんは友人や知人に、2010年1月1日付けで、「友人知人の皆様、つかこうへいでございます。思えば恥の多い人生でございました。先に逝くものは、後に残る人を煩わせてはならないと思っています。私には信仰する宗教もありませんし、戒名も墓も作ろうと思っておりません。通夜、葬儀、お別れの会等も一切遠慮させて頂きます。しばらくしたら、娘に日本と韓国の間、対馬海峡あたりで散骨してもらおうと思っています。今までの過分なる御厚意、本当にありがとうございます」と遺言を残した。
事務所は「生前のご愛顧を感謝いたします」とコメントし、故人の遺言により葬儀は密葬としたことを明かした。
また、映画「熱海殺人事件」で日本アカデミー賞新人俳優賞と主演男優賞を受賞した平田満が悲しみのコメントを寄せた。
つかさんは在日韓国人2世として福岡県に生まれ、慶大在学中の1970年ごろから学生劇団に加わり、73年、「熱海殺人事件」で岸田國士戯曲賞を当時最年少の25歳の若さで受賞した。
代表作となったのは、大部屋俳優の悲哀を描いた82年公開の映画「蒲田行進曲」。80年に舞台で初演、つかさんが自ら映画向けに脚色し、深作欣二氏が監督した。門下生の平田満(56)、風間杜夫(61)に、当時のトップ女優、松坂慶子(57)が加わり、空前の大ヒットに。特に平田の“階段落ち”は涙を誘い、「銀ちゃんカッコイイ」「這い上がって来い、ヤス」の名ゼリフを生んだ。
私生活では、舞台「サロメ」に出演した熊谷真実(50)と80年に結婚したが、多忙によるすれ違いで82年に離婚。翌年、元つかこうへい劇団の女優で14歳年下の生駒直子さんと再婚して世の中を驚かせた。
厳しくも愛情あふれる演出は有名で、無名だったかとうかず子(52)、筧利夫(47)をスターに育て上げ、最近では小西真奈美(31)、黒木メイサ(22)がブレーク。石田ひかり(38)、内田有紀(34)、黒谷友香(34)、広末涼子(29)、石原さとみ(23)といった清純派女優やアイドルも演技派に脱皮させた。
また、映画「熱海殺人事件」で日本アカデミー賞新人俳優賞と主演男優賞を受賞した平田満が悲しみのコメントを寄せた。
平田は、「つかさんの突然の訃報に、今は何を申し上げてよいか言葉にならない状態です。あまりにも早いお別れにショックを受けています。ただただ残念です。大きな存在をなくしてしまったとしか言いようがありません。謹んでご冥福をお祈りします」と苦しい胸のうちを明かした。
映画「蒲田行進曲」など、つかこうへいさんの多くの作品に出演した俳優、風間杜夫さんは「訃報に接し、衝撃を受けています。今はまだ、とても信じたくない思いです。去年の冬から入院されていることは知っていましたが、人一倍、いえ百倍二百倍ものエネルギーを持っている方ですから、必ずまた元気な姿を見せてくれると確信していました。つかさんの教えを胸に刻んで芝居をする、そのことだけが、僕にできる恩返しです。心からご冥福をお祈りいたします」とコメントした。
映画版「蒲田行進曲」で主演した松坂慶子さんは「全身全霊で仕事に向き合う姿を役者に示してくれた」との談話を発表した。
平成5年に舞台「熱海殺人事件」に出演した俳優、阿部寛
は、「厳しいなかにも、常に役者への愛情が満ちあふれている方でした。20代の後半に、つか先生に出会え、役者として生きる自信を教えていただきました。ただただ感謝の気持ちで一杯です。できれば、あと一度だけ先生の舞台が踏みたかった」。
70年代から80年代に、舞台「熱海殺人事件」「蒲田行進曲」などに出演した俳優の加藤健一さん(60)は、「けいこ場でせりふを作る『口立て』の方法論は新鮮だった。せりふやテーマの掘り下げを目指すそれまでの演劇の主流に対し、俳優の肉体を見せることに主眼を置き、俳優は舞台で格好良くなければならないという信念を持った人だった。」
「僕にとっては師匠。芝居では食えないと言われた時代、芝居で食えることを教えてくれました。『見せる芝居』と『考える芝居』を両立させた人です。けいこ場では体温が2、3度上がっていました」
「大きな星がまた一つ落ちた。さみしいです。」と悼んだ。
つかさんの舞台でデビューを果たした黒木メイサと、1997年に「北区つかこうへい劇団」に入団しモデルから女優への転身を遂げた小西真奈美が悲しみのコメントを寄せた。
「熱海殺人事件・平壌から来た女刑事」でデビューして、今年2月に「飛龍伝2010ラストプリンセス」にも主演したばかりの黒木さんは、「ニュースでつかさんの訃報を知り、大変驚いております。芸能界に入り初めてお仕事させて頂いたのが、つかさんでした。15才で田舎から出てきた、何も知らない何もない小娘を育てるべく、つかさんはたくさんの愛を注いで下さいました。つかさんに恩返しをしたいという思いで役者をやってきました。これからもその想いを抱き、やっていきたいと思います。ご冥福をお祈りいたします」とデビュー時からの支えであったつかさんの存在の大きさを感じさせるコメントを発表。
舞台「寝盗られ宗介」(98年)でデビューした小西さんは、「あまりにも突然の事に、まだ信じられない気持ちでいっぱいで、今は言葉にする事が出来ません」と率直な思いを明かしている。
2年前、「幕末純情伝」に出演した石原さとみさん(23)も「つかさんと過ごした日々は毎日が楽しかった。『2年後にさとみとやるものを今考えているんだよ』と今春、電話口で笑いながら話してくれた。今は考えるのがつらい」とのコメントを寄せた。
来月、東京・渋谷のシアターコクーンで上演される「広島に原爆を落とす日」は、つかさんの自伝的要素が反映された作品。演出の岡村俊一さん(48)は、「つかさんの生きた証として、公演をやり遂げたい。僕の中ではあの人は永遠に生き続けている」と、声を詰まらせた。
つかこうへいさん作の再演舞台「広島に原爆を落とす日」(8月6日~)に出演する俳優の筧利夫(47)が12日、都内で会見をした。朝のニュースで訃報を知り、「まったく信じられない。舞台を成功させることが、つかさんの病気を治すことだと思っていたのに…」と無念の表情。94年の「飛龍伝」から、つか作品にたびたび出演。「カーブではなくストレートを思いっきり投げることを教わった。つかさんは天才。代わりになれる人はいない」。亡くなった10日は、くしくも「広島~」のけいこ初日。キャストらが気持ちをひとつにしたばかりだった。「頑張るとか月並みなことは言えない。見ていてください。やります」と力を込めた。
http://news24.jp/entertainment/news/1612878.html
「広島に原爆を落とす日」は79年に西武劇場(現パルコ劇場)で風間杜夫主演で初演され、84年に小説化された。97年に稲垣吾郎主演で再演され、翌98年に広島公演も行われた。
今回は初演版と小説を構成した完全版となり、演出は岡村俊一氏。最愛の者の頭上に原爆を落とさなければならなかった犬子恨一郎海軍少佐(筧)を主人公に、真珠湾開戦の真実、ドイツに原爆を落とさせるように工作する恋人百合子と犬子の運命、2人はなぜ日本を敗戦へと導かねばならなかったのかを壮大なフィクションで描く。
つか氏は79年の「広島-」初演を演出し、5年後に長編小説として発表した後は自らは手を付けていない。97年の再演は劇団☆新感線のいのうえひでのり氏が演出。それだけ思い入れが強い作品だが、今回の上演については「かまわんよ。好きにしてくれ」と最大限のお墨付きを与えている。
岡村氏は広島出身で、両親も被爆し、亡くなった親族もいる。「戦後65年、原爆のことを知らない人が増えている。今、原爆を語り継ぐ権利があるのは日本だけ。主人公の犬子がなぜ歴史から消えたかをリアリティーを持って見られるものにしたい」。主演はつか作品の常連でもある筧を起用した。「つかさんのせりふは独特。それをよく知る人とともに戦おうと思った」。つか氏の思いを受け継ぎ、広島に原爆が落とされた8月6日に幕を開ける。
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つかさんの作品は舞台を映画にした作品も多く、演劇も戯曲も脚本も小説も受賞をしている。
松坂慶子さんのファンなので深作欣二監督の角川映画「蒲田行進曲」が一番好きだけど、「蒲田行進曲」は京浜東北線の蒲田駅の発車メロディにも起用されている。
初演の舞台80年は加藤健一さん(銀四郎)、根岸季依さん(小夏)、柄本明さん(ヤス)。82年は加藤健一さん・風間杜夫さん(銀四郎)、根岸季依さん(小夏)、平田満さん(ヤス)。99年・2000年は錦織一清さん(銀四郎)、小西真奈美さん(小夏)、草なぎ剛さん(ヤス)、2006年は錦織一清さん(銀四郎)、黒谷友香さん(小夏)、風間俊介さん(ヤス)、佐藤アツヒロさん(中村屋)でした。
「熱海殺人事件」(86年)は高橋和男監督・仲代達矢さん・風間杜夫さん・志穂美悦子さん出演。
「この愛の物語」(87年)は舛田利雄監督、中村雅俊さん、藤谷美和子さん、近藤真彦さん、根津甚八さん、原田芳雄さん出演のスタントマン達の愛と友情、マッチが体当たりでスタント・シーンに挑戦した。
「青春かけおち編」(87年)は松原信吾監督・大竹しのぶさん・風間杜夫さん・岸田今日子さん・田中健さん。
大きな反対を受けたわけでもなく、また大きな障害があるわけでもないのに古典的な“かけおち”という行為に出た、気弱で優柔不断な男と強くたくましい女の恋愛コメディ。
「寝盗られ宗介」(92年)は岩松孝二監督、原田芳雄さん・藤谷美和子さん・筧利夫さんが出演。
女房に他の男との駆け落ちを繰り返させるドサ回り一座の座長・宗介(原田)と、その内縁の妻で、一座の看板スター・レイ子(藤谷)。座員たちとの人間模様を交え、2人の壮絶な愛の葛藤、道行きを描く。
「二代目はクリスチャン」(85年)は志穂美悦子さん主演、井筒和幸監督がアイドル映画を撮っていたころの角川映画。志穂美悦子さん、柄本明さん、岩城滉一さん、蟹江敬三さん出演。
美人シスター(志穂美)に惚れたヤクザの二代目天竜(岩城)とやはりシスターに惚れた刑事(柄本)と張り合い、二代目はシスターと結婚にこぎつけるが・・・というハチャメチャコメディ。アクション女優志穂美さんがしとやかなシスターに!でもやっぱりシスターが殴りこみで殺陣アクションという志穂美さんのためのクローズアップ映画。志穂美さんはビジンダー。長渕剛さんと志穂美さんが結婚されて引退してその後の主演作品が無いのが残念。
映画「幕末純情伝」は、沖田総司が女で牧瀬里穂さん、渡辺謙さんが坂本龍馬、杉本哲太さんが土方歳三で三角関係になるコメディ。
つかさんの映画や舞台に出ると評判になって売れるつうことだね。舞台戯曲の映画化は、向き不向きもあって、映画は監督の物だから興行的に良くないものもあったようですが、アイドルファンにはうれしい作品でした。映画の話になると尽きないですね。
演劇ニュースに筧さん主演の「広島に原爆を落とす日」の制作発表が出ていて、大口兼悟さんも出演で、登壇されていたから記事にしようと思っていた所に、この訃報でびっくりしました。
東京公演は、Bunkamura シアターコクーンで8月6日から22日まで、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて8月27日から29日まで。
http://news.livedoor.com/article/detail/4872291/
つかさんも喜んでくれるような舞台になるといいですね。
慎んでご冥福をお祈りいたします。
