伯父夫婦宅での療養6日目。
午前7時頃、起床。
朝食後、所用のため、一時帰宅。
帰宅中、訪問介護の女性がやって来て、洗髪、
身体洗浄、オムツ替え、点滴の処置。
抗がん剤をタキソールに切り替えて「抜け毛」が
始まって以来、一度も髪を洗っていなかったお袋
であるが、久しぶりの洗髪で見た目にもずいぶんと
さっぱりとなった。
午前11時30分頃、点滴の後処理のため、伯父夫婦
宅へ戻る。
午後、訪問介護ステーションから電話。
臨終の時が近づいていると判断したのか、夕方もう一度
お伺いしたいとの事。
午後5時頃、看護師1名と実習生1名来訪。
体温および血圧測定の結果、やや体温は高いが血圧は
安定しているとの事。
もっとも、痰が頻繁にからむようになったため、「吸引機」
を借りる事にする。
その後、お袋の幼馴染の男性が見舞いにやって来る。
夜、兄貴と俺の二人でオムツ替えを担当。
また、吸引機で数回痰を除去する。
脳梗塞が進行したのか、最早、こちらの呼び掛けにいっさい
反応する事もなく、ずっと同じ姿勢のまま、手足を動かす事も
なくなった。
瞳孔反応なし。
いわゆる「脳死」に近い状態と思われる。
唯一の救いがあるとすれば、もう「痛み」や「苦しみ」のために、
地獄のような思いをする能力さえ失われた事である。
すでに「人間としての命」を終え、あとは「生物としての命」の
火がゆっくりと消え去ろうとしている。
昨晩と同じく親子三人川の字で寝て、今夜は、俺がずっとお袋
の手を握りながら就寝。