伯父夫婦宅での療養5日目。
午前6時、起床。
相続関係の手続きのため、兄貴一時帰宅。
午前10時頃、訪問看護の女性が来宅。
最早、いつ亡くなってもおかしくない状態という事で、
「死の前後の状態とその対処について」
というタイトルの臨終の際に患者に現れる様々な兆候を
箇条書きしたリストを手渡される。
まさに「とうとう」「いよいよ」という心境。
自分の中の緊張感が一気に高まる。
点滴中、自宅の雑用を片づけるため、一時帰宅。
午後1時頃、父方の伯父(長男)が見舞いにやって来る。
その後、八王子の伯母と七里の伯母親子が到着。
午後2時頃、兄貴が差し入れのケーキ持参で伯父夫婦宅
に戻って来る。
夕方、雑用を済ませるため、もう一度帰宅。
その際、隣家の奥さん(町内会副会長)にお袋の状況を
すべて打ち明け、今後の協力をお願いする。
伯父夫婦宅に戻った後、みんなでケーキを囲んで束の間の
ティータイム。
お袋には、ケーキ代わりに、小さな氷の粒を口のそばに持って
いくと、そのまま10粒程自ら食べる。
夜、お袋の身体の洗浄とオムツ替えを息子二人(兄貴と俺)で
担当。
すでに会話こそ不可能になっているが、こちらの呼び掛けに
「うめき声」で反応したり、オムツを履かせるために身体を動かした
際に、はっきりと「痛い」としゃべる等、所々でまだ「意識が生きて
いる」といった印象。
また、「鼻を掻く」「髪に触る」「足を動かす」「ずり落ちたズボンを
自ら直す」といった能動的な行動も随所で見られ、まるで
「失われゆく脳機能と最期まで失われまいとする脳機能」がお袋
の中で必死に闘っているように見える。