4月の澄んだ空気の中、莉奈はいつもより15分早く家を出ることにしました。


4月のランデブー:始業前の「私」を取り戻す時間

駅へと続く道、新緑の香りが混じった風が頬を撫でます。通勤ラッシュの波に飲み込まれる前に、莉奈が向かったのは、街角にあるお気に入りのカフェでした。


開店直後のカフェは、まだ静けさが満ちています。

莉奈は窓際の席を選び、温かいカフェオレを一口。

「あぁ、美味しい…」

その瞬間に、新年度特有の「ちゃんとしなきゃ」という強張りが、指先から解けていくのを感じます。

カバンから取り出したのは、ラベンダー色の表紙のプリズム・ノート




ノートに綴る「今日のお守り」

窓から差し込む斜めの光が、ノートの真っ白なページに虹色を落とします。莉奈は万年筆を手に取り、ゆっくりと今の自分を書き留めていきます。

  • 今の体調: 少し肩が重いけれど、これはアップデートのサイン。
  • 今日の約束: お昼休みはスマホを見ず、空を見上げること。
  • エスケープ予報: 15時の会議が終わったら、深呼吸して「場外」へ。



軽やかな一歩へ

わずか10分の、自分自身とのランデブー。

ノートを閉じ、バッグに仕舞う頃には、莉奈の瞳には凛とした輝きが戻っていました。

「さあ、今日も私の一番の味方でいよう」

カフェの扉を開けると、先ほどよりも明るくなった春の光が、莉奈の進む道をプリズムのように照らしていました。