フルダラビンの発ガン性 | 慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

自分とは到底無縁の病気だと思っていた慢性リンパ性白血病になりました。20万人に1人という確率です。しかも、かなり進行速度が速いようです。

 CLLの標準治療はFCR(フルダラビン•シクロフォスファミド•リツキシマブ)です。FとCは急性白血病などの二次がん誘発リスクがあるため、外国では、FCRはできるだけ避けて、イブルチニブ単剤やリツキシマブと併用した二次がんのリスクがない治療を臨床試験に応募してやっている人が結構いるようです。外国でも日本でも、現在は、最初から(第1選択治療薬)としては保険適用できませんが、いずれ将来はできるようになりそうです。

 FCの組み合わせが最悪で1~2%くらいが骨髄異形成症候群などの致死的な急性二次がんが誘発されたという論文がありますが、フルダラビン単剤の場合、そのような論文はほとんど見当たりません。このため、フルダラビン単剤なら大丈夫かな?と少し楽観していましたが、やはりリスクはありそうです。フルダラビン単剤の発ガン試験データはありませんが、染色体異常を起こすことがわかっています。染色体異常を起こすということは、発ガン性があるということでもあります。フルダラビンはDNAの部品の1つによく似た構造をした偽物の部品なので、これが複製中のDNAにとりこまれると複製がストップします。DNAの複製がストップした細胞の多くは死滅しますが、生き残ったものは、染色体に異常があり、その異常は急性白血病などを起こすような染色体異常である可能性があります。

 リツキシマブは細胞表面分子に作用するので発ガン性はありませんが、急性アレルギーのリスクがある上に、CLLリンパ球だけでなく、正常なBリンパ球も殺すので免疫系が一時的に壊滅状態にまで下がります。正常なBリンパ球の方がCLLリンパ球よりも増殖スピードが速いためしばらくすると、相対的にCLLリンパ球が少なくなります。ということは、CLLリンパ球の増殖スピードが正常リンパ球より速い場合、リツキシマブはあまり意味がなさそうです。長い年月をかけてCLL細胞が増えてきた場合は、リツキシマブ単剤でも効果を発揮するのだろうと思います。しかし、高齢者の死亡率の第3位が肺炎であることを考えると、60才過ぎてからのリツキシマブはハイリスクです。

 やはり、イブルチニブやベネトクラックスのようなDNAに作用しないシグナル伝達阻害薬が第1選択薬として、もっと安価に使えるようになると一番いいのですが。