慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

自分とは到底無縁の病気だと思っていた慢性リンパ性白血病になりました。20万人に1人という確率です。しかも、かなり進行速度が速いようです。

 イブルチニブ初めて3〜4年、1錠半の服用で、WBCも10万から1万まで下がりました。ところが、2ヶ月くらい前に心房細動が出ました。普通なら、循環器内科で詳しい再検査をすると同時にリスクの少ない(3分の1くらい)ザヌブルチニブか、おそらくもっと心臓リスクが小さい可能性があるピルトブルチニブに変更するのが、世界の常識ですが、なぜか担当医は、カテーテル手術で心房細動を治療するまでは、薬は処方しないと、素人でも考えないようなことを言い出しました。循環器内科は別病院も含めて2件、受診しましたが、薬の処方のみでいいだろうとのこと。循環器内科の診断を伝え、副作用の小さい薬にかえてください、と言うと、「では、CTなど検査を受けますか?」などと、言い出す始末。

 話にならないので、新しくきた教授に直接、「担当医の判断は教室の方針なのか、それとも担当医の独断なのか?担当医の独断なら担当をかえてほしい」旨を伝えました。すると、「CTなどの検査を頻繁にしないと薬が効いているかどうかわからない」、心房細動の治療は必要だとか、「あなたは、薬の量を2錠しかのんでいない。標準治療では3錠飲むことになっている」など、随分丁寧に文書にして説明を受けました。しかし、一方的な説明のみで、現代医療の原則であるはずの「医師と患者の共同意思決定により診療方針は決定される」という考えは皆無のようでした。

 今の担当医は5人目です。新しくきた教授はCLLの専門のようですが、CTの定期検査は、欧米でも日本の血液内科学会でも推奨されていません。薬の量も、副作用に応じて減量することが、薬の説明書にも明記されています。最大量の3錠を服用した臨床試験では、何%かは副作用で死亡しています。(ついでに言うと、最近始まったイブルチニブ/ベネトクラックス併用療法の治験では、6%くらいの患者が副作用で死んでいます。効果は抜群ですが、リスクも覚悟しないといけません)。

 「CTはやりたくない」という僕の要望は、学会の指針に従ったものであるにもかかわらず強要されるのはなぜでしょうか?一律にデータをとりたいのでしょうか?患者は実験動物ではありません。昔、共同研究者であった医学部の教授が言ったことを思いまします。「ここには、患者を人とも思わぬ人間がいるのですよ」と。学部は違えど、僕も数年前までここの大学の教授でした。他学部のこととはいえ、「患者は医師の指導に一方的に従うべき」とする旧態依然の考えには賛同できかねます。

 もう二度と、この病院に来ることはないだろうと、病院を後にしました。かといって、県内に数人しかいない専門医を探すのも至難。ザヌブルチニブかピルトブルチニブにすんなり変更してくれる医師を探すとなるともっと大変です。加えて、心房細動などの不整脈もなんとかしないといけません。しかも、大学病院で治療方針が納得いかないといって飛び出した患者を受け入れてくれる医療機関はないかもしれません。窮地に追い込まれました。