どうすれば高齢者の機能を改善できるのか?2 | 進撃の理学療法士

進撃の理学療法士

藤田晋さんに憧れています。
介護分野で会社を立ち上げ、小さな通所介護施設を運営しています。
『全ての人が生きがいを持って生活できる社会を作る』
これを私の会社のミッションステートメントとし、バリバリ働きます!!

最近は1年目から介護系の施設や部門に就職する理学療法士が増えてきているそうです。

 

 

私としては、むしろ今後高齢者に対するリハビリテーションこそ重要になっていくと予想しているのでむしろ良いと思うのですが、何をすればよいのか?何をよりどころにすればよいのかわからない人も多いと思いますので、実践で役に立ち知識をまとめておきます。

 

 

 

まず一つ目

 

平均年齢90歳の高齢者を対象に、高強度レジスタンストレーニングを実施した結果、下肢筋群の筋肥大と筋力増加を認めた。

 

Fiatarone 1990

 

 

そして二つ目

 

1RMの85%の強度で膝屈伸運動を週3回、9週間実施した結果、筋力が高齢者男性で26.5%、女性で28.8%、大腿四頭筋体積が男性11.5%、女性12%程度増加した。

 

Ivex 2000年

 

 

はい。まずここでどのような情報を得るでしょうか?

高齢者でも高強度トレーニングを行えば筋力が改善する?

 

 

確かにそうです。しかしこれを実際のリハビリテーションの現場に当てはめるには少し言葉の定義を知っておく必要があります。

 

 

筋力とは何か?これが大切です。

これをわからないとリハビリテーションは成功しません。

 

 

筋力とは

 

筋断面積の大きさと筋出力によって生じる筋収縮の程度です。

つまり、

 

筋力向上=筋出力向上+筋肥大

 

 

なのです!!これが重要です。

 

 

ほとんどの人は筋出力向上を筋力の向上だと勘違いしています。だからすぐ戻ってしまうのです。

筋出力の向上というのは

 

「神経系の順応(neuraladaptation)」

なのです。

 

筋力トレーニングの最初の2~3週間の筋力増強の要因の大部分はこれです。

 

 

 

つまり、神経が適応し、もともとある筋線維の運動に対する動員率が増え、筋力が向上するのです。これで安心していてはいけません。この神経適応期を越えてトレーニングを続けていくと筋肥大期間に入ります。

 

 

 

これが重要です。筋肥大しているかどうか。

 

 

「筋肥大」

 

筋全体の体積と横断面積が増加すること。筋肥大は遅筋よりも速筋に多く見られ、通常6~7週間の抵抗運動の後になってみられる。

筋肥大はここの筋線維が肥大することがほとんどで、筋線維の数が増加することは稀にしかない。

 

*文献によっては4か月以上の長期トレーニングによって筋線維が増えるとの報告もある。

 

 

 

ということで高齢者に対し筋力改善を目指すのであれば、筋出力の測定だけでなく、上肢や下肢の集計を測定し筋肥大も測定する必要性があります。

 

 

 

運動としての理想は

 

高強度トレーニングで週2~3日の実施が理想です。

*だいたい1RMの80%ほど。10RMで10回3セットが最も効果的です。

*ただし、何らかの疾患がある場合は1RMの40~60%程度が良いです。

 

 

RMとは?

1RM=最大筋力。1回行うと限界になる運動です。10RMというのは10回できる運動。およそ1RMの80%の筋出力に相当します。

 

 

 

おまけ【高強度トレーニングで知っておきたい基準】

 

アンダーソン・土肥の基準

Ⅰ運動を行わない方が良い場合

1.安静時の脈拍数が1分間に120回以上

2.下の血圧120以上

3.上の血圧200以上

4.労作性狭心症がある方

5.一か月位以内に心筋梗塞をした方

6.うっ血性心不全の方

7.不整脈

8.運動前、すでに動悸息切れがある方

 

 

安全を見極めることが大切です。