私も食い倒れたい (甘露なごほうび:渡辺満里奈) | 翠日記

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イラストレーションを描いてます。本を読んだり映画を見たり走ったり食べたりするのが好きです。
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マガジンハウスから2003年に出版された、渡辺満里奈さんの食い倒れエッセイ。
ブックオフでたまたま買って、風呂のなかとか癒されたいときにつれづれに読んでます。


この本の良いところは、文体。いいきり調の男っぽい文体で真剣に食べ物について語ってます。その真剣さがよい!!あんまり女性らしい文体だとこういうのってわりとつまんないかんじになります。ガツガツ畳み込んで語る系の文章にして初めて面白さがでてくるのではないかと思う。女子を引き寄せる文体です。


女子校でグループの中で一番センスのよいオピニオンリーダーの女の子がハキハキ書いている、ような感じのエッセイです。こういうエッセイ本作りがうまいのはマガジンハウスならではというところでしょう。

たかがクイモンのことでこんなに…と読者を呆れさせるほど食べ物大好きな彼女。でもこの人の食のセンスはかなり良いと思います。結構昔の本ですが今読んでもまあまあ生き残ってるお店や流行食材について語っているので先見の明があるということなのでしょう。


それと小池アミイゴさんのイラストがすごくうまい。エッセイにつけるイラストはコレくらい踏み込んでもいいかんじですね。ちゃんと場を読んで節度がありつつギリギリまで迫った踏み込み方をしています。文章とイラストの理想的な相乗効果を生み出してます。


「村上ラジオ」(これもマガジンハウスですね)のすっとぼけた大橋歩さんのイラストもかなりエッセイイラストとして秀逸でしたが、小池アミイゴさんのもなかなかです。おしゃべりが上手なイラストは読者をつかみます。