コロナが流行して飲食店(特にチェーン店)ではいろんなことが変わったように思います。
人財不足という大きな問題があります。
最近チェーン店へ行くと、大概オーダーはタッチパネル。配膳もロボットが増えてきて、店員さんと顔を合わすことは減っています。
お料理を運んできてくれる時だけ顔を見られるお店も多いですが、マスクをしていることもあって笑顔を感じられることは本当に少なくなってきました。
以前、食事をしようと入ったチェーン店での出来事。
店舗はそれほど大きくないのですが、席数はそれなりにありました。
テーブルにはタッチパネルがあり、それを使ってオーダー。
料理が出てくるまでいつもより時間がかかっているようでした。
「どうしたんだろう??」
そう思いながら店内を見渡してみると・・・
ホールにいるスタッフさんは1人だったのです。
20代前半くらいの女性でした。
「え?一人でこの席数さばいてるの?」
と思った私。
お料理を運ぶ、お客様が帰られた後のテーブルの片付け、セッティング、さらに会計まで。
すべて一人でこなしていました。
そして鳴り止まぬテーブルからの呼出チャイム。
タッチパネルだからと言って、すべてタッチパネルが対応してくれるわけではありません。
呼出の多くはこれでした。
「頼んだ料理まだ来ないんだけど・・・」
ホールスタッフが一人でキッチンスタッフが5人いるとは考えづらい。
多分一人、もしくは二人くらいで対応していたのかもしれません。
ホールスタッフさんを見ていて、私は段々かわいそうになってきました。
人がいないから機械で助けてもらっている部分があるはずなのに、機械という無機質なものにオーダーをしているからか、お客様の心も少し冷たくなってしまうようにも感じました。
顔が見えないメールや電話でのクレームは厳しい言葉が多くなるのと似ているような気もしました。
ホールスタッフさんは息つく暇もなく動き続けていました。
私の隣の席のテーブルの片付けに来たスタッフさん。
小さく、本当に小さくため息をついたのが聞こえてきました。
食器を重ねこれからキッチンへ・・・の瞬間にお会計の呼出し。
仕方無く食器をそのままにレジへ向かっていきました。
その時でした。
キッチンからスタッフさんが一人出てきて、置かれたままの食器を下げに来たのです。
「お!助っ人来た!」
と私は少し嬉しい気持ちになったのですが、キッチンスタッフさんがテーブルへ来てつぶやいた一言にまた悲しくなったのです。
「ったく・・・何やってるんだよ・・・」
この言葉を聞いて、「ひどいな」とは思えませんでした。
きっとキッチンも大変なんです。
心の余裕がなくなってしまっているんだと思いました。
助けてもらうはずの機械に振り回されてしまう人間。
体力の限界よりも先に心が壊れてしまうんじゃないかと思いました。
食事も終わりそろそろ帰ろうかと席を立とうかと思いましたが、ホールスタッフさんが少しでも落ち着いたところで席を立とうと思いました。
そしてレジへ。
私は声を掛けずにいられませんでした。
「一人で大変だね。」
「はい・・・キツイです(^^;)」
この言葉をお客様に返すのは間違っているのかもしれません。
でもその言葉が思わず出てしまうほど辛かったのだと思いました。
「一人で大変だけど頑張ってね!」
「ありがとうございます。頑張ります!」
もしこの一言で彼女が今日を乗り切れるならと思って声をかけてきました。
私にできることはそれくらいのことでしたが、彼女が笑顔になれる日が来るといいなとそう思いながら店を出た私です。
この問題、どうしたら解決できるんだろう・・・
考えてみようと思います。
では、皆さんの明日に笑顔がありますように!
【Vol.1954】