土曜日も結局、出勤した。僕以外にも、出勤してくる人は少なくなかった。
窓際の少し大きな机に、予算関係の書類をいっぱい並べて整理していた。
暖房の効いていない職場は寒かった。温かいコーヒーなどを飲みながら仕事をしていた。
窓の外は雪が降っていた。そして、道路を挟んで反対側の建物の屋上では、何かしらの工事がされているようだった。
黒いカッパを着てヘルメットをかぶった作業員が、5、6名ほどいて、重そうな器具や材料を運んでいるのだった。
見ていて、あまりに大変そうでため息が出た。
結局、仕事は中途半端なところでやめた。やる気が全然、続かないのだ。
車に乗って文房具屋に行き、いくつか必要な文房具を買うと家に帰った。
家に帰って引き出しの整理をしていると、高校時代に書いた小説が出てきたので読んでいた。
あまりに今と同じ感覚だったので、少し笑ってしまった。
(高校の頃書いた小説より、途中から)
夏休みが終わった。自転車に油を差して高校に久しぶりに出かけていくとお利口なやつらが、下駄箱に靴を入れながら話をしていた。
「でる単どこまでいった?」
「一応、ひととおりはやったよ。」
僕はゲッソリしていっそこのまま帰ろうか、と思いながら下駄箱の前で立っていた。労働階級の英雄になるのはたいへんなことだよ。遠くの空に僕はぼんやりとつぶやいた。
勉強がしたくなくて、勉強から逃げていることは自分が一番知っていた。本ばかり読んでいることも、一日中眠ってばかりいることも、みんな自分に対する口実なんだ、勉強しないことのさあ。僕は自分に言った。
「卑怯だよ、おまえは。」
「ああ、僕は卑怯だ。でもそれがなんだって言うんだい?」
校内試験は2日後だった。僕はウイスキーを飲んだり本を大量に読んだりして少しも勉強をしなかった。口実づくりもたいへんだあ、僕はいつも自分に言った。俺の勝手だろ、僕は答えた。
作文は明と7月頃から交換して書いていた。
「最近、だんだん芸術性が失われてきた。」
明はある日信じられないほど真面目な顔で、偉そうに俺に言った。「俺のは始めっから芸術性なんてないんだよ」僕はそう思いながら少し笑って
「うーん、まったくなあ。」とうなってみせた。校内試験までの2日間はあっという間に過ぎていった。
(まだまだ続く)
思い出してみたら、僕は高校の頃、いろいろでめんどくさくて生きているのが嫌だった。
恋愛で悩むなんて、人生のことを考えて悩むより、ずっと小さなことだと思っていた。
あの頃、SFもかなり読んでいたせいもあって、僕は将来の自分がなんとか高校時代の今の自分に助言をしてくれないものかと、祈っていた。
「僕はどう生きればいいんですか?」あの頃はそう、真剣に悩んでいたのだ。
今なら、いくつも当時の僕に助言ができるけれど、とりあえず、「労働階級の英雄になるのは、やっぱ、たいへんなことだったよ。」と話しかけてあげたいなあ、と思った。