31日の夜は、姉の家に行った。そして従兄弟が送ってくれたという、高価で美味しい日本酒を飲み、姉が作ったおせち料理を食べた。

 

それから、姪と近所の神社にお参りをした。神社に着いたのはまだ午後9時台で、お参りをしている人は誰もいなかった。

 

本堂につながる境内の通路の両脇には、竹でできた灯篭があったが、それもまだきちんと立ってはいなかった。そして、本堂の隣にある事務所のなかでは、神社の飾りつけの準備をしている人たちがいた。

 

「賽銭箱がないなあ。」本堂には着いたが、格子の戸は閉まっていた。

 

神社には、本堂のほかに学問の神様だと言われている小さなお宮があると姉から聞いていた。

「じゃあ、そっちに行ってみようか?」

姪は、姉がいう、その小さなお宮は、本堂の左側にあるという。でも俺は、右って聞いたような気がしていた。「右じゃなかったっけ?」

「絶対、左だって。」姪がいうので左に行った。

 

「ほら、やっぱこっちじゃん。宮満天(ぐうまんてん)って書いてあるよ。」姪が得意げに言う。

「本当だ。でも、これ、天満宮(てんまんぐう)って読むんじゃないの?ぐうまんてんって何? Good!満点!って意味?」しばらく笑っていた。

 

そうこうしているうちに、本堂の扉が開いた。

 

本堂のなかで準備している人たちと話したら、やはり、9時から準備を初めて、11時くらいまでに設営する予定だったらしい。

 

そして、まだ俺たち以外には、誰も参拝客はいなかった。賽銭箱にお金を入れて、今年がいい年になることを祈った。

 

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翌日の元旦は、勉強しようと思ったけれど、なかなかやる気が出なかった。そうこうしているうちに、年賀状が届いた。年賀状をいただいたけれど、出していない人は1人だけだった。その人あてに年賀状を書いて、それからまた、ネット麻雀などをして、ダラダラと過ごした。

 

そして、大学の試験をオンラインで1科目だけ受けて、そしてまた1月1日のうちに名古屋まで戻ることにした。

 

高速を走っているうちに地震があったらしいが、気がつかなかった。ただ、ラジオから「津波が来るから逃げるように。」という声が繰り返し流されて、だんだんと怖くなってきた。

 

それでも、普通に運転して、名古屋のアパートまでたどり着いた。

 

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1月2日は朝から、オンラインで大学の試験を受けるつもりだった。しかし、いろいろと準備をしていたら、自分が手帳を実家に忘れてきたことに気がついた。手帳にはこれからの予定が事細かに記載されている。

 

仕方がないので、実家まで手帳を取りに、車で往復した。「正月早々から、何やっているんだ、俺?」と思いながら運転していた。手帳は実家にちゃんとあった。

 

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それで1月4日までに、大学の6科目の試験をやり終えた。一応、10問の質問を読んでから、テキストで、解答するページを何となく記憶して、それから試験をいきなり受けた。

 

もっともイラストや図が必要になるような試験問題だけは、事前にスキャナ取り込みをしていた。でなかったら、俺の実力では絶対に間に合わない。

 

結果はどうだかわからないが、この休みのうちに7科目中6科目の試験を終わらせたんだから、なかなかだと思う。

 

実は1月2日に、実家の近くで飲み会が予定されていた。しかし、幹事の息子がインフルにかかって中止になった。この中止がなかったら、俺の大学の試験もどうなっていたかは、わからない。

 

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5日は、普通に仕事を終えた後、また実家まで戻った。そして、6日には野沢温泉に行った。

 

野沢温泉で、20年以上ぶりに、ニュージーランドの女性の友達と、その家族(夫と双子の娘2人)と食事をすることになっていた。彼女は、年末から1月初旬まで、東京、長野、新潟を、スキーをしながら旅行して過ごすのだという。

 

この日のために、密かにewaというアプリで英会話の特訓をしていたのだが、やはりそれなりのレベルにまでしかなっていなかった。

 

彼女の夫は、プロポーズのときに、怪盗ゾロのコスチュームを着ていたことは前に聞いていた。

「彼の名前はアンガス」と友達が紹介してくれる。「またの名をゾロ」と俺がいったら、ちゃんと通じた。

「またの名を」は「AKA(えーけーえー)」という。「Also known as」の略だ。

「AKA Zolo」で、本当に通じるのかなあって思っていた。ネイティブでない俺には、毎回英会話も手探りだ。

 

双子の娘はとてもきれいで、何かと気を使って話しかけてくれる。それがよく聞き取れない。

 

友達が娘に「もっとゆっくり話してあげて。」と言ってくれる。彼女がゆっくりと俺に言う。「勉強で、いろいろ覚えることが多いと頭がヒッピーになる。」

「頭がヒッピー?」

友達に聞くと「ヘビーになる(重くなる)。」と言っていたらしい。ニュージーランドの発音のせいなのか、俺にはヒビーに聞こえてしまう。

 

きれいな女の子が話しかけてくれるのに、今一つスムーズに答えられない。いろいろともどかしかった。英語の勉強も、もっともっとしないとな、と思った。

 

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大学の試験はあと1教科、「測量」が残っている。問題文を読んだが、これはスペイン語で書いてあるのかな?と思うほどわからない。

 

数少ない、大学の知り合いに「測量の試験がわからないんだけど、なんとかして答えをゲットする方法がある?」か聞いてみた。

 

「測量?そもそも取ってない。」「なるほど。」賢い学生は、測量なんて科目をそもそも取らないのだ。「みんな難しいって言ってるよ。」「そうだと思う。」

 

それで、1度は、この科目を捨てることも考えた。これで、今年度の大学の勉強はおしまい。あとは来年度からがんばろうと。

 

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野沢温泉についたあと、ニュージーランドの友達と食事に行く前に、しばらく時間があった。

 

それで、「測量」の試験問題を印刷していたものをにらんでいたら、「いや。これは意外と解けるぞ。」と思い始めてきた。

 

試験はあらかじめ出されている10問の問題からランダムに2問が出される。いろいろと考えていたら、10問中5問くらいは実力で解けそうだった。残りの5問から2問が選ばれたら、仕方がないけど、できる5問から2問が当たればこの科目も単位がもらえそうだ。

 

それで、待ち時間の間に、とりあえずは5問の解答を目指す決心をした。5問だけなら、月曜日だけで、解けそうなところまでは筋道を立てることができた。変なはなしだが、筋道を考えるのは、意外と楽しかった。

 

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「ワイルド・スピード スカイ・ミッション」をまた見た。

6年ほど前に見ていたらしいが、ドバイで、ビルからビルにスポーツカーで飛び移るシーンを見るまで、以前見た映画だと気がつかないほどに忘れていた。

 

何も悩まずに、主人公の過剰なセリフを「よく言えるなあ。」なんて思いながら見ることができる。

 

主人公たちは「作戦」などといっているが、毎回、行き当たりばったりで、作戦に知性を感じることはない。それでも、過剰なアクションの連続で、それなりに楽しく最後まで見た。

 

まあ、こういう映画も必要だ。高校生くらいにはちょうどいいと思った。あと、いろいろで疲れた中年男にも。