【ネタバレ感想】『グランド・ブダペスト・ホテル』 | 山中@middlielのブログ

山中@middlielのブログ

趣味や日常のこと

 

 

 

 

2024年5月25日(土)に、ジルさんと映画『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)をプライムビデオ見ました。


 

概要と予告編

ヨーロッパ随一のホテルを仕切る"伝説のコンシェルジュ"グスタヴ・Hと、彼が最も信頼を寄せるベルボーイのゼロ・ムスタファが繰り広げる冒険ミステリー。レイフ・ファインズ、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウほか豪華キャストが出演する。

 

 

 

ここからネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

 

今は寂れた「グランド・ブダペスト・ホテル」。

ホテルの場所そして物語の舞台はアルプスの麓の東欧の某所。時代は現代と1960年代と1930年代、特に30年代が中心です。

 

こんなホテルに滞在してみたいなあと思いながら見ていました。

 

 

物語は、かつてここで働いていたロビーボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)が、宿泊客の一人(若き日の作家/ジュード・ロウ)に昔語りをしてそれを映像化する形で展開しています。

 

え、ジュード・ロウだったのか!?

いきなり脱線しますけど。

彼が出演した『ガタカ』大好きなんです。

 

ゼロが働いていた当時のホテルは、ピンクの外装がとても可愛らしく内装もお洒落、更にはゼロの師匠であるレイフ・ファインズ演じるグスタヴは金持ち老婆にモテモテなレジェンド的コンシェルジュ。

この時は勿論沢山の客が来ていました。


そのレジェンドなコンシェルジュ目当ての資産家の老婆が亡くなったことで、彼らは遺産相続に巻き込まれてしまいます。

 

どこの世界でも遺産争いって怖いね、と思わずにはいられない。

特にウィレム・デフォー演じる用心棒がヤバい。

そして彼、この前見た『オリエント急行殺人事件』のドイツ人教授役の人!

調べたらもっと「この人は!」てなりそう。豪華な面々だ。

 

閉館直後の美術館でターゲットを追跡して暗殺。

関係者の姉を暗殺して生首を届ける。

あっさりと仕事を遂行していく、ジワリジワリと恐怖を感じる役でした。


そうそれと、用心棒を雇っている遺産を受け取る権利がある人をエイドリアン・ブロディが演じていました。

どっかで見たことある人だと思ってみていたのですが、名前を見て思い出しました。

『戦場のピアニスト』の主役をした人。

彼も役にハマっていて良かったです。

 

舞台が東欧で20世紀前半~中頃ということで、建築物が自分にとっては新鮮でした。

歴史ある木造建築のお屋敷に動物の剥製が沢山飾っているお部屋などは、西ヨーロッパのお屋敷とはまた違った趣です。

 

 

それと雪山の上にある修道院が出てきました。ということで、雪山あたりの感想をまとめて。

そこでは振り香炉が使われていました。

これはキリスト教のカトリックではあまり使われず、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)から始まった東方正教会(ギリシャ、東欧、ロシアが中心)で多く使われているもの。

 

そういったところは架空の国を舞台にしながらも、リアリティを出しているなあと思ってみていました。

 

それにしても! ロープウェイのシーンは高所恐怖症にはヒェッてなりました。

あんなところでジャンプして飛び移りたくない……!!

 

上に書いた用心棒と書いて殺し屋と読む的な相手がグスタヴとゼロを追いかけてくるのですが、ここでのウインタースポーツのシーンは見ていて面白かったです。

すべてミニチュアで作られていて(作り物だとすぐ分かる代物)、スキーやらボブスレーやらを早回しで見せるのです。

シリアスなシーンに挟まれるこれが、脱力感とともにクスッと笑えました。

 

 

ゼロの面倒見が良いグスタヴ。そしてそれに応えようとするゼロ。

ゼロって悲しい境遇があって故郷を失い無国籍。

様々なやり取りの中で、二人に感情移入したり、笑わせてもらったりしました。

 

 

記憶に残っているシーンは、グスタヴが(訳あって捕まり)監獄から脱走するシーン。

ゼロとゼロの彼女がそれに協力し、ケーキの中にヤスリなどを隠してグスタヴに差し入れをします(デリケートなケーキだから役人も壊して調べなかった)。

 

コメディタッチでテンポよく描かれる脱走のシーンは、一番笑えたところかもです。

 

無事脱走が成功して二人は再会した時、遠くにいかず結構悠長に話をしているシーンがあります。

そこでグスタヴはゼロに対してあれこれ怒ったりしますが、ゼロの境遇を知ると「済まなかった」と心から謝罪します。

だけど「2人は兄弟」とグスタヴがゼロに対して言った言葉を、ゼロがグスタヴにそのまま返し彼を許します。

その場面はとてもジーンとくるシーンで好きでした。

 

――で、その直後、案の定脱走がバレて、慌てて逃げる羽目になるコメディな場面になるところまでワンセットで気に入っている場面です。

 

 

物語の最後には、主要人物が病や第二次世界大戦に巻き込まれて悲しい結末となったことをゼロが語ります。

そういうところに、「はぁ」と思わずやりきれない想いを感じずにはいられませんでした。

 

 

可愛らしいホテルにアートな映像世界が特徴的。そして、コメディを交えつつ、切ないヒューマンドラマでした。

 

こういった作品は好みなんです。

だから、ウェス・アンダーソン監督の作品は始めてでしたが、他にも彼の作品を見てみようと思います。